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Text File  |  1996-04-30  |  28KB  |  379 lines

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  9. モデム設定マニュアル
  10.  
  11. 相川 恭寛
  12.  
  13. ● はじめに
  14.  
  15.  CASTERM はこれまでのマッキントッシュのターミナルソフトと違う所が多いため、モデムの機能をフルに使用するための AT コマンドの設定が必要です。なにかと簡単には設定できない場合もあると思いますが、本マニュアルを参考に細かく設定していってみてください。
  16.  
  17. ※本文中の MNP は = Maicrocom Network Protocol の略です。MNP は米国のマイクロコム社が開発・提唱した規格です。
  18. ※AT コマンドは、米国ヘイズ社が開発したコマンド体系です。
  19. ※このマニュアルに掲載されている会社名、商品名は一般にメーカー各社の登録商標、または商標です。
  20.  
  21. ● 注意事項
  22.  
  23.  本文中で、私が解かる範囲での AT コマンドの設定内容を説明しております。これらの内容について未確認のものが多いため、必ず貴方本人で確認をしたうえでの使用を前提とします。特に各個別のモデムに対しての設定内容等は注意してください。
  24.  
  25.  本文を参考にしたために、貴方が損害を被ったとしても、一切責任を負いかねます。貴方自身の責任で使用してください。
  26.  
  27.  このマニュアルの中でわからないことがあった場合、モデム関係の本や、最近では何種類かのパソコン通信雑誌が出版されていますので、それらを参考にしてみてください。
  28.  
  29.  
  30. ●モデムコマンドの設定について
  31.  
  32.  先にも申し上げましたが、CASTERM の各機能を使用するにあたり、モデムコマンドは細かな設定が必要です。
  33.   これから CASTERM を使用するためのコマンド設定を 1 づつ説明していきます。しかし現在様々なモデムが販売されており、同じメーカーでもモデムのコマンドの設定が変わってきます。ですから、貴方の使用しているモデムのマニュアルをよく読んで、このマニュアルにそって設定していってください。
  34.  
  35.  ここで、これまで色々問い合わせがあった内容について感じたことを少々述べさせて頂きますが、かなりのユーザーの方が、マニュアルを読まずにメールで問い合わせてきております。
  36.  マッキントッシュユーザーは、特にマニュアルを読むのが嫌いな方が多いようですが、モデムはマッキントッシュではないのでそれなりに細かな設定をしなければ高性能な機能を使用できないとお考えください。
  37.  私が思うに、多くのマッキントッシュユーザーは、モデムの設定がうまくないため、電話料金でかなりの損をしているのではないかと思います。
  38.  現在販売されているモデムの設定は非常に複雑になる一方ですが、CASTERM を使用することを機会に、使用しているモデムについて細かく理解してみるのはいかがでしょうか?
  39.  
  40.  では、モデムのコマンド設定について説明していきます。
  41.  ここで、説明する内容は私の知識の中で説明しますので、不具合や間違いがあった場合について最初におわびしておきます。
  42.  
  43.  まず最近のモデムには、認識できるコマンド形態が 2 種類あります。
  44.  
  45.   ・ヘイズ社 AT コマンド
  46.   ・CCITT V.25bis コマンド
  47.  
  48.  これは将来もっと増えるかもしれませんが、通常販売されているモデムはこの 2 つをサポートしていると思います。使用するモデムによっては、"ヘイズ社 AT コマンド" のみのものもあります。これは、簡単に考えて頂くのにはモデムの言語だと考えてください。要するに、2 つの言語がモデムに対して使用できるわけです。
  49.  
  50.  モデムの歴史的に、ヘイズ社 AT コマンドをサポートしていないモデムは無いとは思いますが、一部特殊なモデムでは使用できない場合もあるかもしれません。CASTERM では、このヘイズ社 AT コマンドを使用してモデムの制御を行いますので、AT コマンドを使用できないモデムでは CASTERM は使用できません。この 2 つのコマンド形態のどちらをモデムが認識するかわからない場合は、モデムの説明書を読んで調べてみてください。コマンドによって切り替えるものもあれば、モデム本体の DIP スイッチにて切り替えるものもあると思います。
  51.  
  52.  これから先にの説明は、AT コマンドについてのみの解説になりますので、ご使用されているモデムをAT コマンドが使える状態に設定してください。ほとんどのモデムはそのままの状態でATコマンドモードですが、モデムのマニュアルを今一度、確認してみてください。
  53.  
  54. ●AT コマンドとは
  55.  
  56.  AT コマンドとは、モデムにおくるコマンドの頭に "AT" という 2 文字をつけて送るコマンドです。
  57.  例えば、
  58.  
  59.  ATZ<CR>
  60.  (<CR>はリターンキーを入力)
  61.  
  62. などです。
  63.  
  64.  この場合、最後の文字 "Z"(ゼット)がコマンドになります。貴方のお持ちのモデムのマニュアルで、AT コマンドの "Z"、 またはリセットコマンド等を調べてみると、モデムのリセットについて書かれていると思います。つまり、"Z" の 1 文字はモデムのリセットを行うコマンドとなります。
  65.  このように AT コマンドは、文字や数字あるいは記号によって、モデムを細かく設定することができます。
  66.  ここの例では、1 つのコマンドの例で書きましたが、"AT" を最初として複数のコマンドを並べて記述して、最後に <CR> コードを送ることによりモデムがそれに対してコードを返してきます。
  67.  この返してきたコードをリザルトコードと言います。このリザルトコードも基本的なコードについては統一されておりますが、各メーカーの独自のカスタマイズを行って拡張されているものが非常多いです。Version2.0 より MODEM EDITOR を使用してモデム毎に返されるリザルトコードを登録することが可能になったので、使用しているモデムに合わせて正確なリザルトコードを登録可能です。
  68.  
  69.  AT コマンドは、"AT" の後にずらずらと並べて記述することができますが、モデムにも "AT" の後に並べて記述できる最大文字数がありますので、あまり長くなった場合は注意が必要です。この最大文字数はメーカーによってまちまちなので、これについてもモデムのマニュアルを参考にしてください。
  70.  
  71.  
  72. ●モデムの速度、通信プロトコル
  73.  
  74.  ここでこれから設定する AT コマンドについて、貴方のモデムが持っている機能の幾つかを知らなければならないため簡単な用語説明を致します。
  75.  
  76.  多分、使用しているモデムの速度が判らない方はいないとは思いますが、貴方のモデムの速度を確認してください。1200、2400、9600、14400、28800 BPS などと記載されていると思います。これはモデムが電話回線の中で転送できる最高スピードを意味します。
  77.  
  78.  そこで、2400 BPS 以上のスピードを持つモデムの方の場合は、端末速度がいくつまで対応しているか調べてみてください。ここで言っている端末速度とは、貴方のモデムとマッキントッシュがモデムケーブルで接続されている間の速度のことを意味します。
  79.  
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  81.  
  82.  
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  84.  
  85.  
  86.  
  87.  
  88.  
  89.  この端末速度ですが、モデムのマニュアルによっては通信速度、ターミナル速度、実効通信速度、Throughput Speed、端末固定速度、シリアルポート速度等、まちまちなのでモデムのマニュアルをよく読み調べてみてください。
  90.  例えば、「モデムの速度は 2400 なんだから、2400 が最高スピードにきまっている」と決めつけないで、じっくりモデムのマニュアルを探してみてください。もちろんモデムによっては、2400 しか無理な場合もあります。
  91.  1200 BPS 以下のモデムを使用している方はこの端末速度については記述されていないはずなので、探しても記述されていないでしょう。
  92.  多分、2400 BPS 対応モデムで、V.42bis 対応、MNP 対応モデムなどと書かれているモデムの方は、端末速度は 9600 BPS をサポートしているなどと記述されていると思います。
  93.  このスピードは、速いければ速いだけ良いにきまっていますが、先にも述べたとおり、モデムに接続された電話線の中で使用する速度は、2400 BPS モデムなら 2400 BPS 以上は無理なので意味がないとお考えになると思いますが、その他のモデムの機能を考慮してこれから説明していきます。
  94.  
  95.  このマニュアルの先頭で、V.42bis 対応、MNP 対応と書きました。現在販売されているモデムの大体のモデムは MNP 対応とか、V.42 対応と記述されていると思います。モデムのマニュアルには、よく CCITTV.42 とか、CCITT V.42bis とかと同じような言葉がでてくるので、混乱することが多いと思いますが、注意してください。
  96.  ではここでちょっと整理してみます。
  97.  
  98.  まず、モデムが MNP 対応とか V.42bis 対応等と記述がある場合は、貴方のモデムとホストのモデムとの間で、データ訂正機能、データ圧縮機能の 2 つの機能を用いて通信することができるわけです。
  99.  
  100.  データ訂正機能は、電話回線内の不具合によって(ノイズなど)データが破壊されたときに訂正する機能です。
  101.  
  102.  データ圧縮機能とは、貴方のモデムとホスト側のモデムの間で、データを圧縮して送る機能のことを意味します(ただし MNP の場合はクラス 5 以上の場合です)。
  103.  
  104.  このデータ訂正機能と、データ圧縮機能の 2 つの規格のことを、MNP、LAP-M、V.42bis、とかという規格名称で表わしてあります。ではここで何が何を意味しているか分けていくと、
  105.  
  106. データ訂正機能
  107.  ・MNP3 〜 と書かれているモデム。
  108.  ・LAP-M(CCITTV.42)と書かれているモデム。
  109.  
  110. データ圧縮機能
  111.  ・MNP5〜 と書かれているモデム。
  112.  ・V.42bis と書かれているモデム。
  113.  
  114.  ここでこのようなモデムを使用するのに何でこんなに色々あるんだと、お考えになるかもしれませんが、これは規格を決める方々にお任せするということにして、使用できるパターンを分けていきます。
  115.  
  116. データ訂正のみ
  117.  ・〜 MNP4 機能
  118.  ・LAP-M
  119.  
  120. データ訂正+データ圧縮
  121.   ・MNP5 〜 機能
  122.   ・LAP-M + V.42bis
  123.  
  124. と分類できます。ここの例はあくまでも、CCITTV.42、またはMNP5 までの機能をもったもので基本的なものです。貴方の使用しているモデムがもっと高性能の場合は、もっと沢山の設定、あるいは例外設定等も可能な場合もあります。また、逆にこれらの機能をまったく持たないモデムもありますが、大手の商用ネットなどの場合、ほとんどがこれらの機能を対応しています。ここで、解説したデータ訂正+データ圧縮を用いることにより、より高速にデータの転送ができるわけです。
  125.  
  126.  先のモデムの端末速度の必要な理由は、このデータ圧縮を行う場合に非常に有効なものとなってきます。データ圧縮は、貴方のモデムとホスト側のモデムとの間でデータが圧縮された状態で送られ、受け側のモデムでそれが展開されます。ここで、2400 BPS で電話線を伝わってきたデータも圧縮方法によっては 200 〜 300% にもなるためモデムと受け側の端末の間の速度が早くないと、データがモデムで止められ高速な転送ができないわけです。このような方法によって、モデムの転送速度はあまり速くなくても、より高速にデータのやり取りが可能となる訳です。具体的に端末速度の指定は、CASTERMのモポート設定で行います。
  127.  
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  148.  もし、マニュアルに端末固定速度の解説がない場合は、モデムの速度から、上にポート設定のスピードをあげて設定して、モATZモと入力して、モデムからリザルトコードが返されたならば、そのポート速度がモデムの端末速度として対応されていることになります。最近の高速モデムの場合、9600BPSのモデムでは、19200BPSか38400BPS、14400BPSの場合、38400BPSか57600BPS、28800BPSの場合、115200BPSに設定することができます。但し、これまでのマッキントッシュは57600BPSまでしかサポートされていませんでした。DMA対応のシリアルポートを持つマッキントッシュは、115200BPS、230400BPSの指定が可能です。アップグレードカードなどによってPower Macintoshにした場合は、57600BPSまでしかサポートされていないことがほとんどなので、ご注意ください。
  149.  
  150.  ここで話が前後しますが、先のデータ訂正、データ圧縮の選び方を説明していきます。皆さん当然データ圧縮率が高く、データ訂正機能が動いている状態がよいとお考えになると思いますが、相手のホストがこれらの方式をサポートしたモデムを使用していなければ、これらは実行できません。(しかし現在の2400BPS以上ホストのほとんどは、データー訂正、データ圧縮対応のモデムが使用されています。)実際ホストがどの機能をサポートしているかわからない場合、MNP と V.42 の 2 つにわけて考え、テストしてみるとよいでしょう。ちなみに MNP の数字が 5 以下の場合は、その下のクラスはサポートされています。すなわち MNP5 の設定をおこなって、ホストが MNP4 の機能しかもっていない場合は、自動的に自分のモデムが MNP4 に落とされる機能を持っています。このネゴダウンする設定は、モデムによって色々ありますが、オートリライアブルモード、リライアブルモードとモデムのマニュアルに記述されているところを参考にしてみてください。
  151.  
  152.  しかし、アクセスするホストが、これらの機能をサポートしている場合においても、データ訂正、データ圧縮をしても転送レートが上がらない場合があります。これは Xmodem、Ymodem、QuickVAN、BPlus 等のバイナリ転送プロトコル(CASTERM の Protocol メニューの Xmodem)等を使用した場合そのようなことがあります。
  153.   多分、貴方のお持ちのモデムが MNP 対応モデムの場合マニュアルのどこかに記述されていると思いますが、この場合 MNP4 で接続してデータ圧縮を行わない(データ補正のみ)接続をすることにより、転送レートを上げることができます。通常ホストに登録されているファイルは何等かのソフトウェアにて、圧縮されたデータが登録されいると思いますが、(LHArcや、JPEG画像など)このデータはすでに圧縮されているため、MNP5で圧縮してもデータはこれ以上小さくならない状態になっていることになります。そのため、一度圧縮したものを、もう一度圧縮してデータを転送するため、逆に転送に時間がかかってしまうことになります。
  154.  
  155.  データ訂正・データ圧縮を用いた場合、V.42(LAP-M) + V.42bis が使用できるならば、この設定がよいでしょう。最大 300% ぐらいの伝送効率となります。V.42 機能(データ転送)を使用した場合、相手のモデム(ホスト側)が V.42 をサポートしていない場合は、〜 MNP4にての接続がためされます(国産モデムでは、MNP5 のオーバースペックを持ったものもあるようです)。
  156.  
  157.  以上、簡単ではありましたが、このように現在市販されているモデムの多くはこのような機能がサポートされています。本来は設定するコマンドの内容を記述していきたい所なのですが、各メーカー独自のカスタマイズを行っているため、私の力だけでは、調べきることができません。そのため最初にも書きましたが、貴方の使用しているモデムについて、細かく理解して設定していって頂くしかありません。CASTERM では、最大 5 種類のコマンドを設定できるようになっていますので、これらをうまく使い分ける設定をがんばって行ってみてください。
  158.  
  159.  
  160. ●CASTERM でのコマンド設定
  161.  
  162.  AT コマンドを設定する前に、これまでに説明した内容を考慮して、モデムファイルのATコマンドを設定してください。
  163.  モデムの設定のスピードは、貴方の使用しているモデムの端末固定速度(端末固定速度が設定できない場合は、モデムの通信最高速度)を設定し、パリティは無し、ストップビットは 1 ビット、データ長は 8 ビット、フロー制御はバイナリ転送プロトコル(Xmodem、Ymodem、QuitckVAN、MLink等)を使用する場合、必ず DTR/CTR のみをチェックしてください。
  164.  
  165.  では、これから CASTERM で最低必要とする AT コマンドの設定を説明していきます。
  166.  
  167.  まず、必ず設定するAT コマンドの中に、以下の内容を記述してください。
  168.  
  169.       ATQ0V0E0
  170.  
  171.  この内容は CASTERM のオートログインするために必ず必要です。これらのコマンドについては、AT コマンド対応のモデムではすべて同じものなので、マニュアルを調べなくても問題ないでしょう。
  172.  
  173.  具体的にどのような動作をするかと言うと
  174.  
  175.     Q0 : リザルトコードの有無の設定(リザルトコードありに設定)
  176.     V0 : リザルトコードの表示形式の設定(数字形式に設定)
  177.     E0 : コマンド入力時のエコーの設定(コマンドエコーなしに設定)
  178.  
  179. になります。
  180.  
  181.  これらについて細かく説明していくと、まず最初の "Q0" はモデムにコマンドを送ると、それをモデムが受け取ったことを示すためにリザルトコードを返してきます。ここでの設定は必ず AT コマンドを送ったときにモデムからリザルトコードが返ってくるように設定します。
  182.  続いて、"V0" ですが、モデムには 2 つのリザルトコードの表示方法があります。単語形式、数字形式の 2 つです。CASTERM での設定は、"V0" コマンドで数字形式の設定をしてください。
  183.  最後の "E0" ですが、これはコマンドエコーの設定です。これについては、通常、キーボードから、AT コマンドを入力すると画面に表示 「ATxxxx」と入力した文字が表示されると思います(表示されなければ、モデムの電源が入っていないか、端末スピードがあっていないか、ケーブルの接続不具合、もしくは、エコーなしに設定されている状態です)。ここで表示される内容は、キーボードの内容が直接表示されるのではなく、マッキントッシュのシリアルポートから入ってきた内容が表示されます。ここの設定をすることにより、AT コマンドに関してこのエコーバックを表示しないようにする訳です。
  184.  
  185.  続いて、オートログインを可能とするためにもう1つ絶対設定して頂きたい内容があります。
  186.  
  187.  モデムがホストと接続したときに返してくるリザルトコードについてです。現在のモデムは先の説明のように色々な接続方法があります。これらの接続方法によって返されるリザルトコードが変わってきます。したがってこれらの情報を CASTERM で認識して、オートログイン時のダイアログに表示するのですが、モデムによってこのリザルトコードを 2、3 に分けて送ってくるものがあります。
  188.  CASTERM ではこの返されるリザルトコードを 1 つに設定してください。大体のモデムは 1 つのみなのですが、コマンドを拡張すると、自動的に変わってしまうことがありますので、この設定をモデムマニュアルを参考に探してみてください。多分、多くのモデムでは、Xn(nは数字)、あるいは Wn などで設定できると思います。
  189.  モデムのマニュアルを参考にして、幾つのリザルトコードが返されるかわからない場合は、設定している AT コマンドをキーボードより入力すると、"0" と表示されると思います(すなわち "OK")。その後、キーボードより ATDP(パルス回線)、またはATDT(トーン回線)の後に目的のホストの電話番号を入力して、return キーを押します。するとホストに電話をしてホストと接続すると数字形式のリザルトコードが表示された後、ホストからのデータが表示されると思います。この数字が 1 行のみの場合は、CASTERM で正常にオートログインできます。要するに、2、3 行に分けて表示されないように設定してください。
  190.  
  191.  以上が CASTERM での最低基本設定となります。このコマンドを、貴方のモデムに合わせて拡張していきます。
  192.  
  193.  
  194. ●AT コマンドの拡張設定
  195.  
  196.  これまでに説明した内容は非常に基本的な範囲のものです。ここからの設定事項はモデムのメーカー機種によって統一されていないものが多いので、貴方自身がモデムのマニュアルと参考にして設定していかなければならないものです。
  197.  
  198.  これまでに多くの電子メールにて質問された内容の中でバイナリプロトコルがうまく動作しないというものが多くありました。頂いたメールの大半は、AT コマンドの設定についての記述、使用しているモデムに関する情報がないため答えようのないものが多くあります。とは言ってもすべて答えられるほどの情報を私自身が持っておりませんので、個人のお力で設定して頂く以外はありません。
  199.  
  200.  通信ソフトを販売しているメーカーのように、初期に各機種別のモデムに合わせた AT コマンドを組み込みたいところですが、残念ですがそこまでの対応はできません。
  201.  
  202.  そこで、ここからの設定方法とモデムのマニュアルを参考に快適な通信ができるよう設定していってみてください。
  203.  
  204.  AT コマンドの設定ポイントとして
  205.  
  206.     ・モデムのフロー制御は、ハードウェアフロー制御
  207.       (RTS/CTS(DTR/CTS)、RS/CSのみの制御)
  208.  
  209.     ・CD、または DCD は接続時のみオン状態。
  210.       (キャリア信号の制御:但し、続くモデムケーブルについてを参照してください。)
  211.  
  212.     ・モデム—モデム間のフロー制御は、Xon/Xoff は使用しない。
  213.  
  214. です。
  215.  先のコマンドに対してこれら 3 つを使用しているモデムに合わせて設定してみてください。これらは AT コマンドでなくモデム本体についているディップスイッチでも設定できる場合があります(オムロン MD24FS シリーズ等)。
  216.  
  217.  モデムのフロー制御については Xon/Xoff のソフトウェアフロー制御と、RTS/CTS によるハードフロー制御の 2 つがあります。
  218.  
  219.  ここで言っているフロー制御とは、モデムと端末(貴方の使用しているマック)の間で、ホストより大量のデータが送られてきた場合において、端末側の処理が遅くてデータが転送できなくなったときに、データを送る/止めるの制御のことを意味します。すなわちデータを流すためのスイッチのようなものです。これを、ソフトウェア的に、転送してくるデータにある特定のデータを入れておいて、データの転送をオン/オフする方法と、モデムケーブル内の別の信号を参照して、データのオン/オフを行うハードウェア的に行うもの 2 つがある訳です。
  220.  これについて「なぜソフトウェアフローではだめなのか」を説明すると、Xon/Xoff で使用される特定のコードは通常のテキストデータには表示されない(表示してもデータにならない)のためです。しかし、これはテキストを表示する範囲においては問題ないのですが、バイナリデータの転送時(ダウンロードなど)は、この Xon/Xoff で使用される特定のコードが混じっている場合もあります。そのためデータを転送中に、Xon/Xoff によるデータコードが混じっている場合、モデムはそれを Xon/Xoff コードとして判別して誤動作してしまうためです。もしよくわからない方は、モデムのマニュアルや、パソコン通信関係の雑誌等を参考にしてみてください。
  221.  これまでにバイナリプロトコルがうまく動作しない場合があった方でこれらの設定を行ってない方は、必ず設定を確認してください。
  222.  
  223.  話が前後しますが、ここで RTS/CTR、DTR/CTR、RS/CS と幾つも書いてあるのは、モデムのマニュアルによって記述方法が違うためです。どうしてもマニュアルに無いようでしたら、Xon/Xoff に対してのフロー制御としてマニュアルに書かれているとおもいますので探してみてください。
  224.  
  225.  このハードフロー制御については、バイナリプロトコル(Xmodem、Ymodem、QuickVAN、MLink 等)を使用する方は、絶対設定してください。ホストにもよりますが、CASTERMでテキスト転送、Zmodem,BPlusを使用する場合は Xon/Xoff のソフトウェアフローでも問題ありません。
  226.  
  227.  ここで例を記述します。
  228.  
  229.     &K3 : モデムシリアルポートの RTS/CTS フロー制御
  230.     ¥G0 : モデム—モデム間での Xon/Xoff はオフ
  231.     &C1 : DCD は回線接続中のみオン
  232.  
  233. などです。
  234.  機種にもよりますが、これらはモデム本体のディップスイッチにて設定可能なものもあります。これはあくまでも例ですので必ずお手持ちのモデムマニュアルを参考の上設定してください。
  235.  
  236.  これらについて設定できましたら、MNP4、V.42等のデータ補正機能、MNP5、V.42bis等のデータ圧縮機能の AT コマンドを続けて設定していけば、より効率のよい通信ができると思います。
  237.  CASTERM では 5 つの AT コマンドをホストに合わせて選択できるようになっておりますので、テスト設定等を行ってよりよい AT コマンドを煮詰めていってください。
  238.  
  239.  本来ここで書くべきことではないような気がしますが、AT コマンドを設定して行く間に色々なホストに接続してテストしていると、うまく接続できない場合があると思います。これについて明確には言えませんが、電話回線の回線品質、モデム—モデムの相性、モデムメーカーの独自のカスタマイズ等によって問題が発生します。私も色々なホストと接続してみましたが、うまく接続できたりできなかったりと非常に不安定な状態の場合もあります。得に最近の高速モデム(9600 BPS 以上のもの)については非常に問題が多いようです。注意して設定していってください。
  240.  
  241.  以上、AT コマンドについての設定方法を記述しましたが、どなたも最初はなかなか理解に苦しむものだと思います。最近のモデムは設定項目が非常に多く、初心者の方は特に迷ってしまうものです。ここまでに記述した内容を理解するにも困る方もいると思いますが、基本的にこれらについて設定すれば問題なく通信できると思います。
  242.  
  243.  ここで、OMRON社、AIWA社 のモデムに関する AT コマンドの例をあげます。あくまでもテストしたものはほんの一部なので、もし貴方の使用しているモデムがあった場合は確認の上、使用してみてください。なお、ここに記述してあるコマンドは、MNP 等の設定は行っておりませんので、使用する場合はモデムのマニュアルで調べて使用してください。
  244.  
  245. << OMRON >>
  246. ・MD-2400
  247.     ATQ0V0E0X4B2J0M1¥A3¥G0¥J0¥Q2¥V2&E0&Q3
  248. ・MD24FS5
  249.     ATQ0V0E0X4¥G2¥J0¥Q2¥V2&Q2&E0¥K2%E1&M5¥D0
  250. ・MD24FS7
  251.     ATQ0V0E0X4&Q2¥G2¥C1¥J2¥K2¥V2¥Q2%E
  252. ・MD24FP4
  253.     ATQ0V0E0X4&P2L3¥N3¥V1¥J0¥Q2
  254. ・MD24FP4II
  255.     ATQ0V0E0X4&P2L3¥N3¥V1¥J0¥Q2
  256. ・MD24FP5
  257.     ATQ0V0E0X4¥J0¥Q2¥K2¥V2%C1%E1
  258. ・MD24FS/FC
  259.     ATQ0V0E0X4¥J0¥A3¥Q2
  260. ・MD24FN5
  261.     ATE0V0X4¥J0¥V2
  262. ・MD96FS5
  263.     ATQ0V0E0X4B2J0M1¥A3¥G0¥J0¥L1¥Q2¥V2&E0&L0&M5%C1
  264.  
  265. << AIWA >>
  266. ・PV-M24
  267.     ATQ0V0E0B0&C1&D2¥J0¥Q3¥V2¥G0¥X1
  268. ・PV-M24VM5
  269.     ATQ0V0E0B0&C1&D2¥J0¥Q3¥V2¥G0¥X1
  270. ・PV-A24B5
  271.     ATQ0V0E0X4¥J0¥V2¥Q3
  272. ・PV-A24VM5
  273.     ATQ0V0E0X4¥J0¥K2¥N3¥V2¥Q3%C1
  274. ・PV-A24MNP5
  275.     ATQ0V0E0X4Y0M1&C1&D2¥J0¥A3¥Q3
  276. ・PV-A24-B5
  277.     ATQ0V0E0X4¥J0¥V1L3¥Q3
  278.  
  279. << SupraFaxModem V.32bis >>
  280. ・MNP4
  281.     AT&F1Q0V0E0X4&C1&D2¥N2%C0M
  282. ・V.42bis
  283.     AT&F1Q0V0E0X4&C1&D2M
  284. ・MNP5
  285.     AT&F1Q0V0E0X4&C1&D2¥A3¥N2M
  286.  
  287. << USRobotics SPORTSTER 14,400 >>
  288.     AT&FVEX4&A3&B1&H1&R2&S1
  289.  
  290.  
  291. ●モデムケーブルについて
  292.  
  293.  現在マッキントッシュ用のモデムケーブルが幾つか販売されておりますが、CASTERM では、モデムケーブルをかなり選びます。
  294.  
  295.  ここで CASTERM で指定するモデムケーブルの配線図をご紹介します。大体の基本配線は同じだとは思いますが、この配線図の中で、マッキントッシュ側の 7 番とモデム側の 8 番の接続をCASTERM は使用してモデムの通信終了を検出しております。
  296.  
  297.  
  298.  
  299.  
  300.  
  301.  
  302.  
  303.  
  304.  
  305.  
  306.  
  307.  
  308.  
  309.  
  310.  
  311.  
  312.  
  313.  
  314.  
  315.  
  316. MODEM側ピンアサイン
  317.  
  318. 20 DTR (ER) 端末側から制御 (端末が通信可能な場合ON)
  319. 4  RTS (RS) 端末側から制御 (受信停止・再開要求)
  320. 5  CTS (CS) モデム側から制御 (送信停止・再開要求)
  321. 2  TXD (SD) 端末側から制御  (送信データ)
  322. 3  RXD (RD) モデム側から制御 (受信データ)
  323. 8  DCD (CD) モデム側から制御 (モデムとモデムが接続するとON)
  324. 7  GND 
  325.  
  326.  この配線がされていないケーブルでは、ログアウト時に、アクセス時間が表示されないで、モデムからの数字リザルトコードの "3" が表示されます。また、マッキントッシュ側の 7 番とモデム側の 8 番 が接続されていないケーブルを使用して、設定メニューのその他で指定できるモGpi未対応モのチェックを入れていない場合は、オートログイン直後に、次の表示がされ、回線が切られてしまう場合があります。
  327.  
  328. LOG IN  TIME 20:56:44
  329. LOG OUT TIME 21:13:04
  330. ACCESS  TIME 00:16:20
  331.  
  332.  この場合、モデムの設定による場合(初期化コマンドや、モデム本体のDIPスイッチ)もありますが、ケーブルによる問題の場合も考えられます。もし、上記の症状や、オートログインが正常にできてログアウト時に、アクセス時間が表示されない場合はモデムケーブルの配線をテスター等を用いて調べてみてください。
  333. (但し、モデムに対してDCD 信号の制御を AT コマンドで設定していなければいけません)
  334.  これまでにMacintosh用としてモデムと一緒にケーブルが付属してくる形で販売されているもので上記の図の配線がされていないケーブルもありました。また、この配線がされている場合でも、マッキントッシュ用のシリアル切り替え器を使用している場合、7 番ピンが配線されていないプリンタ用の切り替え器もありますので注意してください。
  335.  
  336.  また、最近の高速モデムを使用されている場合、バイナリ転送や大量のログファイルをダウンロードしているときに、マッキントッシュ側の速度がハードディスクにデータを書き込んだり、画面に表示したりするため転送が間に合わなくなることがあります。上記の図を参照して頂くとわかるかと思いますが、マッキントッシュ側の速度が間に合わなくなると、マッキントッシュはシリアルポートの1番をオフにします。この信号線がオフになると、モデムは初期設定状態で、回線を切ってしまいます。マッキントッシュは、データの転送に余裕ができると再び1番をオンにしますが、そのときモデムはすでに回線を切ってしまっていることになります。本来、この信号の制御は、モデムのRTS(RS)信号の制御を行っているのですが、DTR(ER)もオフになるため回線が切断されてしまいます。この場合、モデムの初期化コマンドやモデム本体のDIPスイッチで、DTR(ER)信号は常にオンの状態にしておくことで、回線が切られることなく正確なフロー制御でデータの転送を行うことができます。
  337.  DTR(ER)信号の制御は、モデムの機種によりますが、&Dx(xは数字)で指定することが可能です。詳しくはお手持ちのモデムマニュアルを参照してみてください。
  338.  
  339.  このDTR(ER)信号の制御に関連して、CASTERM の回線切断設定にも影響します。CASTERM では、回線切断(送信メニューで行えます。)の方法として2つの方法を選ぶことができます。回線切断の設定は、設定メニューのその他で表示されるダイヤログの中で、モ回線切断コマンドモとしてテキストで指定することができます。ここには、初期設定で、モATH0モと記述されておりますが、これは、ソフトウェアによって回線切断を行います。
  340.  まず、回線切断を行うときは、回線が接続されている状態にあり、その状態で、モデムにAT コマンドを送った所で、モデムはAT コマンドとして認識しません。そこで、モデムを一時的に AT コマンドを送ることができるようにするエスケープコマンドを送り、その後、このモ回線切断コマンドモを送信してモデムに回線を切断させます。この場合、エスケープコマンドを認識する時間が必要になるため、回線切断に少し時間がかかります。しかし、高速モデムを使用していて、DTR(ER)信号を常にオンの状態にしている場合、回線切断を行う手段としてはこの方法しかありません。
  341.  もう1つの回線切断は、DTR(ER)をオフにして(マッキントッシュの1番)即座にハード的に回線を切られることができます。CASTERM のモ回線切断コマンドモに、何も記述しなければ、CASTERM はDTR(ER)信号を一定時間オフにして、回線を切ります。但しこの場合、モデムの設定がDTR(ER)信号が常にオンの状態の場合(無視する場合)何も処理が行われないことになります。もしも、モデムにDTR(ER)信号を常にオンの状態(無視する)場合、必ず、ソフトウェアによる回線切断を行うように設定してください。
  342.  
  343.  
  344. ●その他
  345.  
  346. ・端末固定速度、または使用するシリアルポート による問題
  347.  
  348.  CASTERM の設定メニューのモデムでモデムポート、プリンタポートの選択が一応できますが、必ずモデムポートを選択してください。どちらのポートでも通信出来ますが、モデムとの接続にプリンタポートは非常に不向きです。理由としては、割り込みレベルがモデムポートよりプリンタポートの方が遅いためです(プリンタポートは高速通信に不向きです)。
  349.  通常、モデムをプリンタポートに接続していることは少ないとは思いますが、もしプリンタポートを使用しておりましたら、モデムポートに接続してください。
  350.  
  351.  接続するホストが1200BPS以下のモデム使用している場合、端末固定速度の使用は避けてください。ポート設定で指定する通信速度をモデムとモデムの通信速度に合わせてください。
  352.  
  353. ・使用回線タイプの問題
  354.  
  355.  CASTERM の設定メニューのその他で初期設定はパルス回線に設定されております。貴方のお使いの電話回線がトーン形式のものでしたら、設定仕直す必要があります。
  356.  
  357. ・内臓モデム、PCMCIAカード型モデムの使用
  358.  
  359.  内臓モデム、PCMCIAカード型モデムの場合、GPiの対応ができないものがほとんどです。CASTERMのその他設定で、モGPi未対応モにチェックを入れて使用してください。ホストにオートログインしたときは、ログアウト後、必ず、設定メニューのモディフォルトモを呼び出して、ディフォルト処理を行ってください。
  360.  
  361.  GPiの具体的な内容については、このマニュアルのモモデムケーブルについてモを参照してください。
  362.  
  363.  
  364. <<参考文献>>
  365.  
  366. MNP オフィシャルハンドブック(アスキー出版局)
  367. パソコン通信ハンドブック(西東社)
  368. オムロン MD シリーズユーザーズマニュアル解説編 MD24FS シリーズ/MD24FC5
  369. オムロン MD シリーズユーザーズマニュアル MD24FB5V
  370. オムロン ME2814C/ME1414CIIユーザーズマニュアル
  371. SupraFAXMODEM V.32bis REFERENCE MANUAL
  372. EMAC 24/96 Hardware Reference Manual
  373. アイワ PV-A1200 マニュアル
  374. アイワ PV-A144B5 モデム取扱説明書
  375.