|
青空文庫
Blue Sky Collection
|
No.
|
:
|
|
著者名
|
:
|
ヴォルテール(Voltaire)
|
翻訳者名
|
:
|
能美武功
|
書籍名
|
:
|
ザディッグ 又は 宿命
|
底本
|
:
|
|
底本の親本
|
:
|
|
入力者名
|
:
|
能美武功
|
作品について: 最初にシャーロック・ホームズばりの謎解き探偵ものあり・・・次に王様に可愛がれ、疎まれ、女王に惚れられ、逃げ、追い掛けられ、一国を牛耳り、追放され・・・宗教のくだらなさを難じ、かと思うと、立派な預言者が出て来て教訓的なことを話す。全く荒唐無稽な話で、真面目一本槍の日本人にはとうてい人気が出るとは思えない。
丸山熊雄の「逆説「カンディド」覚え書」の中に、
「よく、ルソーが感性的なのに対し、ヴォルテールは知性的で、しかも、冷く意地
の悪い人間のようにいわれるが、これほど皮相な解釈は、ないのではなかろうか。ヴ
ォルテールは、その理知に劣らず鋭い感受性を備え、想像力に至っては、それこを天
馬空をゆくようというか、「千一夜」を上廻るものがある、といってもよかろう。」
とあるが、その好例である。
尚、「カンディド」は岩波文庫に翻訳がある。
|
著者について: ヴォルテール(Voltaire, 1694-1778) が17世紀を「ルイ14世の世紀」と呼んだように、18世紀を「ヴォルテールの世紀」と称するものがあるが、どちらもかなり妥当な名称のように思われる。
ヴォルテールの作品は、それこそ枚挙にいとまのないほどだが、そのうち、発表当
時特に問題になったもの、及び、現在でもなお読まれているものを、思いつくままに
記すと、大凡次のようになる。「エディポス王(悲劇)」「ラ・アンリヤッド(叙事
詩)」「チャールズ12世伝(歴史)」「ザイール悲劇)」「哲学書簡(哲学論集)
」「ザディッグ(小説)」「ルイ14世紀の世紀(歴史)」「カンディド(小説)」
「哲学辞典(哲学)」自然児(小説)」等々。
ヴォルテールの活動は、文学制作に終始したのではない。社交的な性格が手伝い、
青年時代からサロンに出入して、当代の名士と交りを結んだばかりでなく、イギリス
や、フランスや、プロシャの王室とも接触を持ち、また、特に、1758年フェルネ
ーに居を卜してからは、ここを訪れる各国の貴族、政治家、知識人等を喜んで迎え、
こういう人々の凡てに対し、独特の態度と話術をもって、所謂啓蒙思想の宣伝に力め
た。不正な裁判や、狂信に基づく罪悪の行われる度毎に、ありとあらゆる方法を講じ
て、これを糾弾したのはいうまでもない。(岩波文庫 「ルイ14世の世紀」丸山熊
雄訳 「解説」による。)
|
|