はじめに

Visual Basic® Control Creation Edition バージョン 5.0 は、Microsoft Visual Basic プログラミング システム シリーズの中で、最も新しいカテゴリのソフトウェアで、最速かつ最も簡単に ActiveX コントロールを作成するようデザインされています。ActiveX コントロールは、インターネットやクライアント/サーバー用アプリケーションで使用するための、オープン スタンダードに基づく、言語を選ばないソフトウェア コンポーネントです。

これまで、アクティブなコンポーネント (ActiveX コントロール、Java アプレット、プラグイン) の作成は、優秀な技術者だけが成し得ることでした。そんな状況を、この Control Creation Edition は一夜にして変えてしまったのです。Visual Basic プログラミング システム バージョン 1.0 が何百万人もの開発者に Windows® ベースの開発の途を開いたように、Visual Basic バージョン 5.0 もアクティブ コンポーネントの開発に新たな世界をもたらしました。今や、どんな開発者でも ActiveX コントロールを実際に作成することができます。

Visual Basic Control Creation Edition は、スタンドアロンの Visual Basic ベースの開発ツールのラインナップとして、Standard、Professional、Enterprise というVisual Basic プログラミング システムに加えられました。他に Visual Basic シリーズに加わったものとして、Visual Basic Scripting Edition (VBScript)、Visual Basic for Applications Edition (VBA) があります。VBScript と VBA は、共にホスト環境になじむようにデザインされており、Microsoft Internet Explorer や Microsoft Office などの製品、またその他のサード パーティの製品に対しても、最先端のプログラム性能を発揮します。同時に、Visual Basic ベースのツール製品群は、多くのホスト環境下で、300 万人以上の Visual Basic ユーザーへ即アクセスできるスケーラブルな開発用プラットフォームをお届けしています。

Visual Basic Control Creation Edition は主に次の 3 点で他の各製品と異なります。

・ 流通の仕組み - Control Creation Edition は、小売店で入手することはできず、インターネットを通してダウンロードすることになります。

・ 価格 - Control Creation Edition は、無料で配布されます。ただし、ダウンロードにかかるコストは除きます。

・ 機能性 - Control Creation Edition により、他の環境下で使用するための ActiveX コントロールを作成している間は、スタンドアロンのアプリケーションの作成にこれを使用することはできません。

上記の相違点以外に Control Creation Edition には、Visual Basic 5.0 のその他の各製品と共通する主な特徴が数多くあります。

・ 開発環境 - Control Creation Edition は、他の Visual Basic 5.0 製品や Visual Basic for Applications Edition 5.0 と同じインテリジェントな開発環境およびデバッグ環境をその特徴とします。

・ サード パーティの製品もサポート - Control Creation Edition の性能は、市販されている 2000 以上の ActiveX コントロールすべてにおいて発揮することができます。

Control Creation Edition により作成された ActiveX コントロールは、Visual Basic プログラミング システム バージョン 4.0、Visual C++ 開発システム バージョン 4.2、Visual FoxPro、Microsoft Access 95 などそのホスト環境に対して下位互換性がある非常に完成されたものです。最新版の Visual Basic for Applications Edition (VBA) バージョン 5.0 には、ActiveX コントロールをサポートする機能が加わりました。これにより、Microsoft Office 97 および Visio、Adobe、SAP、AutoDesk など多くの Visual Basic for Applications バージョン 5.0 のライセンスを持つ業者より今後発売される製品を含めて、どの Visual Basic for Applications バージョン 5.0 のホスト環境下でも Visual Basic 5.0 ベースのコントロールが使用できます。Visual Basic for Applications 5.0 に関しては、http://www.microsoft.com/vba をご覧ください。

Control Creation Edition は、Microsoft ActiveX Control SDK の最新版で説明されているテクノロジに基づき、高速で、コンパクトなコントロールを作成します。Control Creation Edition によって作成された典型的なコントロールは、約 20K バイトなので、インターネットやクライアント/サーバーのアーキテクチャーを対象に作られたアプリケーション上でも同様に優れたパフォーマンスが得られます。いずれの場合も、 Control Creation Edition により作成された ActiveX コントロールは、必要に応じてダウンロードが可能で、Java アプレットと同様の方法でクライアント側の Visual Basic の仮想マシンによって翻訳されます。Control Creation Edition によって作成された ActiveX コントロールを動作させるには、Visual Basic の仮想マシンの存在が必要となります。仮想マシンを持たないエンド ユーザーが Control Creation Edition によって作成された ActiveX コントロールを持った Web ページに遭遇した場合、仮想マシンは、約 700K バイトに一回圧縮されて、自動的にダウンロードされます。その次に ActiveX コントロールに遭遇した場合は、コントロールをダウンロードするだけです。

Control Creation Edition により ActiveX コントロールを作成するためには 3 つの一般的な使用シナリオがあります。

・ スクラッチより ActiveX コントロールを作成する - Control Creation Edition には、スクラッチから完全なスタンドアロンの ActiveX コントロールを作成できるように、すべてのものが含まれています。これが可能な限り、次の 2 つの使用法はより汎用性があると思われます。

・ 既存の ActiveX コントロールのサブクラス化とカスタマイズ - 開発者は、出発点として市販の 2000 以上の ActiveX コントロールを利用し、そのコントロールをサブクラス化およびカスタマイズをし、さらにこれをコンパイルして、そのコントロールのカスタム バージョンを作成することができます。この一例としては、サード パーティによる タブ ダイアログ コントロールを入手し、方向を [left]、スタイルを [3 ring binder]、[picture] を会社のロゴに設定することが挙げられます。これは、先ほどの新たなプロパティを持ち新しいカスタム ActiveX コントロールとしてコンパイルされます。

・ 複数の ActiveX コントロールを "アセンブリ" コントロールへ一元化する - 開発者は多くの市販されている複数のコントロールを 1 つの ActiveX コントロールのプロジェクトに集め、体裁や実行内容をカスタマイズし、さらにコントロールのグループを 1 つのコントロールにコンパイルすることができます。この結果できあがったコントロールは、Web ページやクライアント/サーバーのアプリケーションに挿入可能で、アプリケーションのユーザー インターフェイスの要素全体を "ラップ" または内包するために使用できます。このようにコントロールを再利用できる機能を生かして、インターフェイスとコードを共用することが普及すると予測されます。

業界の一般的な慣例を観察していると、Control Creation Edition により作成したコントロール上でサード パーティが作成した ActiveX コントロールを使用する場合のライセンス契約は、サード パーティが作成した ActiveX コントロールをアプリケーションにおいて使用する場合の現在のライセンス契約と共通性があることがわかります。ActiveX コントロールは、通常、ライセンス契約が可能な 2 つの要素 (デザイン時と実行時の要素) を持っています。アプリケーション内に取り込めるようなサード パーティのコントロールの使用権を取得しようとする方なら、デザイン時にそのコントロールをどのような環境下でも使用できるような完全な使用権を購入するのが普通です。アプリケーションの完成時には、エンド ユーザーにコントロールの実行時の要素と共にアプリケーションの .EXE ファイルを配布する権利があります。エンド ユーザーは、アプリケーション内のその ActiveX コントロールを利用することができますが、開発ツールがインストールされていなければ、そのコントロールをデザイン モードで使用することはできません。

インターネットのシナリオでも同じことが言えます。購入したサード パーティの ActiveX コントロールに基づいて Control Creation Edition で別の ActiveX コントロールを作成し、それを Web ページで配布することができます。Web ページのコントロールを "動作させる" エンド ユーザーは、そのページ内に限り、そのコントロールの実行に関する完全な使用権を有しますが、先にデザイン モードでコントロールを使用する場合のライセンスを取得していない限り、デザイン モードでそのコントロールを使用することはできません。ご注意いただきたいのは、ここでは、今日入手可能な ActiveX コントロールの慣習法的な使用状況について概要をご説明しているのであって、中には、それとは異なるライセンス約款を持つ ActiveX コントロールもあります。正確な使用権の範囲と使用規定については、ActiveX コントロールに添付されているライセンスに関する契約内容を常にご確認ください。

このガイドの次章は、読者の方々に今回発表される Visual Basic Control Creation Edition バージョン 5.0 の主な新機能に親しんでもらうためのものです。この新機能についての章は、いわば "テスト走行" で、読者の方々が初めて ActiveX コントロールを完成されるまでの過程をご案内します。初めての方でも、約 10 分で ActiveX コントロールを作成できるはずです。一度 ActiveX コントロールが完成すれば、Visual Basic Control Creation Edition 5.0 がコンピュータの世界へもたらそうとしている衝撃に十分気づかれることと思います。提供開始後、最初の数週間で 10 万件以上のダウンロードがあったことからも、 Control Creation Edition は 1996 年に発表された製品の中で最も重要なものになることと思われます。