Microsoft® Visual Basic Control Creation Edition version 5.0®
開発環境の改良点
発行: 1996年12月 最新情報については、http://www.microsoft.com/vbasic をご覧ください。
目次
はじめに
Visual Basic Control Creation Edition バージョン 5.0 の特性 ソフトウェア開発者や審査担当者は、「何が新しいのか」または「なぜアップグレードしなければならないのか」などのような質問の答えとなる情報を必要としています。このセクションでは、Microsoft Visual Basic 5.0, Control Creation Edition の新しい拡張されたプログラミング環境を紹介します。 Microsoft Visual Basic 5.0, Control Creation Edition は、 ActiveX コントロールを作成するのに最も速く、最も効果的な方法であるだけでなく、Windows のプログラミング環境として最も広く使われているものです。今日、300 万人以上の開発者が Visual Basic を使ってプログラミングをしています。 Microsoft Visual Basic 5.0, Control Creation Edition は、旧版に初めて導入された開発の基礎に主に次の 3 点について改良を加えたものです。
Visual Basic for Applications は共用コンポーネントです。具体的には、これは、フォーム一式
(ActiveX コンポーネントのホストにあたります)、コード
エディタ、およびデバッガで構成される共通の開発環境です。Visual
Basic 5.0, Control Creation Edition および
Microsoft Excel、Access、Word、PowerPoint、Project
など、ほかの多くの
Microsoft 製品はすべてこの共通の開発環境を共用しています。総括すれば、これらの製品は、特定のビジネス上の問題を解決するために簡単に作り替えることのできる数百の
ActiveX コンポーネントの集大成です。 最近、Microsoft 社が Visual Basic for Applications についてサード パーティとライセンス契約することを発表した結果、プログラミングの世界がさらに拡大しました。プログラマの方にとっては、Adobe、Autodesk、Visio、SAP など、さらにたくさんの企業の製品をプログラムできるようになるという朗報となりました。
Visual Basic for Applications 環境には、Visual
Basic for Applications の言語エンジン、パワフルなエディタ、オブジェクト
ブラウザ、デバッグ
ツールが含まています。
Visual Basic for Applications の統合開発環境 (IDE) は、大幅に改善されたプログラミング環境です。新しい IDE には、次の機能があります。
エンハンスト オブジェクト
ブラウザでは複数のオブジェクト
モデル ライブラリでプロパティやメソッドを走査し検索することができます。
コードウィンドウ 編集環境には、一貫してドラッグ アンド ドロップ機能が導入されています。
開発者は、コードや変数をドラッグ
アンド ドロップすることができます。
Visual Basic 5.0 では、一度に数個のプロジェクトをロードすることができます。コントロール プロジェクトとホスト プロジェクトを同時にロードできるので、再利用可能な ActiveX コントロールをデザインしたりデバッグするのに非常に役立ちます。コントロールのソース コードにブレークポイントを置くことにより、プログラマーは、自分が作成したアプリケーションをデバッグし、ホスト アプリケーション上で一行ずつ起動させ、コントロールのソース コードへ移行した後、またホストに戻ることができます。 プロジェクト エクスプローラは、現在開いている各プロジェクトに関連づけられた、ロードされたすべてのプロジェクトのプロジェクト コンポーネント (ActiveX コントロール、フォーム、クラス、モジュール、リソース ファイルなど) をアウトライン ビューで表示します。各プロジェクトは、アウトライン コントロールの新しいルートとして表示されます。これにより、同時に複数のプロジェクトの作業をしている場合に、異なる文書のプロジェクト間で簡単に切り替えができるようになりました。開かれている文書とテンプレートごとに 1 つのプロジェクトがあります (図 2) 。 いくつかの異なるプロジェクトが開いている場合にワークスペースを管理しやすくするために、あるプロジェクト内で開いているすべてのコンポーネント (フォーム、コード モジュールなど) を、そのフォルダーを開いた場合は表示し、閉じた場合は表示しないようにしてあります。 上記のプロジェクトには、次に挙げるコンポーネントが含まれています。
Visual Basic の環境には、ユーザー コントロール、フォーム、モジュール、およびクラスのプロパティを表示するプロパティ ウィンドウがあります。 Alphabetic (アルファベット順) と Categorized (カテゴリ別) の 2 つタブがあります。 Alphabetic のタブ表では、プロパティがアルファベット順に並べられて表示されます。 Categorized のタブ表では、プロパティがカテゴリ別にグループ化されて (たとえば色、フォント、位置のそれぞれに関するすべてのプロパティが) 表示されます。これらのカテゴリはカテゴリ名の左のマークをクリックしてプロパティ ウィンドウ内で開閉することができます。Visual Basic 5.0, Control Creation Edition で作成された ActiveX コントロールでは、カスタムプロパティについて、希望どおりのカテゴリを指定することができます。 Visual Basic for Applications のエディタにおけるほとんどの作業と同様に、コンポーネント タイプに関する情報は、プログラミングをしやすくするために広く活用されます。ActiveX コンポーネントは COM に基づいているので、すべての ActiveX コンポーネントがそのインターフェイスのタイプに関する情報を持っています。いいかえれば、どの開発ツールでも ActiveX コンポーネントのすべての公開されているオブジェクト、プロパティ、メソッド、さらにバージョンナンバーさえ簡単に確認することができます。プロパティ ブラウザでプロパティを選択するといつでも、ウィンドウの下部に機能に関する説明が表示されます (図 3) 。 デバッグツール
VBA には、コンパイル エラー、プログラムの論理エラー、および実行時エラーを特定しやすいように新しく改良されたデバッグ ツールが含まれています。また、VBA のデバッグ ツールには、ローカル ウインドウ、ウォッチ ウィンドウおよび、イミディエイト ウィンドウが含まれています。さらに、ローカル ウィンドウには、現在の変数を表示し、プロシージャの定義や参照箇所にジャンプすることのできるコール スタック ブラウザが含まれています。 ローカル変数ウィンドウは、現在のプロシージャとその値の中で登録されたすべての変数を自動的に表示します。 ウォッチウィンドウでは、特定の変数や式の値をモニタリングすることができます。ウォッチ式の値が変更された場合、または特定の値と一致した場合に、コードの実行を中断することができます。 イミディエイトウィンドウは、Sub または Function の呼び出しのように、Visual Basic のあらゆる式やステートメントを瞬時に評価します。 コールスタックは、中断モード時のアクティブなプロシージャ呼び出しのリストを表示します。 デバッグの速度を高めるために、エディタからイミディエイト ウィンドウやローカルウィンドウにコードをドラッグ アンドドロップすることができます。 VBA には、改良された ActiveX オブジェクト ブラウザ (図 5) が含まれています。ブラウザはビルトイン プロパティ、カスタム プロパティ、メソッド、イベント ハンドラ、およびユーザー定義によるプロシージャを識別するだけでなく、グローバルなアクセスが可能なメンバを表示します。また、ブラウザは、関数の戻り値のタイプ、パラメータの名前とタイプ、およびユーザーが定義したタイプと定数を表示します。参照したオブジェクトにハイパーリンクでジャンプすることにより、オブジェクト階層間を楽に移動できます。オブジェクト ブラウザの新機能は、複数のタイプ ライブラリ間で、オブジェクトやメンバを検索することができるという点です。 IntelliSense の機能 Visual Basic for Applications バージョン 5.0 では、作成中の構文、プログラミング を補助し参照例を提供する Office IntelliSense テクノロジを用いています。これらの自動機能をオフにし、必要に応じ、VBA のメニューを通じて、または、キー操作によってアクセスすることもできます。次の機能は、コード ウィンドウ内でもイミディエイト ウィンドウからも利用できます。
プロパティ/メソッドの一覧
- ピリオドの直前に入力されているオブジェクトについて利用可能なプロパティやメソッドの一覧がポップアップ表示されます。キー操作は、Cntl
+ J です。メモ:これは、ビルトインのものか、外部から取り入れたものか、ユーザーが作成したものかを問わずすべての
ActiveX コンポーネントに利用できます。 定数リスト - 符号 (=) の直前に入力されたプロパティに対して有効な定数の選択肢が一覧表示されます。キー操作は、Cntl + Shift + J です。
ブロックコメントおよび非コメント エディット ツールバーを使用すれば、コードブロック を選択し、ボタンをクリックするだけで選択したコード ブロック全体をコメント行にすることができます。
はじめに 新たに専用のコンポーネントを開発する際に、Visual Basic のプログラマーは、既存のコントロールから新しいコントロールを作成できるこの機能により驚異的なメリットを受けることができます。プログラミングをするときには、スクラッチから始めるより、Visual Basic 5.0, Control Creation Edition を使って 2,000 以上の市販されている ActiveX コントロールをカスタマイズする方がよいでしょう。 ActiveX コントロールはさまざまな開発ツール上でホストとして使用できます。Microsoft Office 97 では、ActiveX コントロールは、Microsoft のフォーム上、または直接 Microsoft Office の文書上に配置されます。ActiveX Control Pad、Internet Studio、Frontpage を使用して、ActiveX コントロールを Web ページに置くこともできます。ActiveX コントロールは、 Web ページに配置されると、Java アプレットと同様に動作します。 Web ページを訪れるユーザーが自分のコンピュータに ActiveX コントロールを持っていない場合、ActiveX コントロールは Java アプレットのように自動的にダウンロードされます。また、ユーザーが古いコントロールしか持っていない場合は、新しいコントロールが自動的にダウンロードされます。
ActiveX コントロールの機能
次の表は、開発者が利用できる ActiveX コントロールの新機能をいくつか紹介したものです。
ActiveX コントロール ウィザード
プロパティページ
ウィザードは、ユーザーにより定義されたコントロール用のカスタム
プロパティページを、自動的に作成します。カスタム
プロパティページを導入することにより、ActiveX
コントロールの作成時には、プロパティ設定用のカスタム
インターフェイスも作成できます。
下の図は、Visual
Basic 5.0, Control Creation Edition で作成した
カレンダー
コントロール用のカスタム
プロパティ
ページの例です。このコントロールが載っている開発ツール
(Visual Basic 4.0、Visual
Basic 5.0、Visual
C++、Office
97、ActiveX
Control Pad など)
に関係なく、デザイン時にコントロール上で右クリックをすれば、必ずカスタム
プロパティ
ページが表示されます。カスタム
プロパティ
ページは、異なる開発ツール間での
ActiveX コントロールの再利用を容易にするだけでなく、共通性のある、わかりやすいインターフェイスとして機能します。カスタム
プロパティ
ページには、変更後コントロールがどのように見えるかを示す
"プレビュー"
もあることを覚えておいてください。これは、下の図
15 に示すとおりです。
セットアップウイザード Visual Basic 5.0 は、すべての Microsoft Office 97 のアプリケーションと共に、以前は OLE コントロールまたはカスタム コントロールと呼ばれていた ActiveX コントロールをサポートしています。ActiveX コントロールは、ビルトインの再利用可能なソフトウェア コンポーネントです。これらのコントロールはいずれもそのまま使用することも、Visual Basic 5.0, Control Creation Edition を使ってカスタマイズすることも可能です。
今日、データ アクセス、3D
デザイン、マルチメディア、画像処理、マニュファクチュアリング、リアルタイム
データの受信、作表、レポート作成、データベースの暗号化、データ圧縮、メインフレームとの接続、インターフェイスのデザイン、テレフォニー、ファックス、音声、機器の使用その他、考え得るほぼすべてのカテゴリで
2,000 以上の市販の
ActiveX コントロールが入手可能です。
図 17 - ツールボックス
ツールボックスは、開発中のセッションに登録されているすべての
ActiveX コントロールを表示します。ツールボックス上で右クリックをすれば、ツールボックスにコントロールを追加したり、削除したりするだけでなく、希望どおりのあらゆるカテゴリ用に、完全にカスタマイズし組織化することができます。
Visual Basic for Applications には、新しいタイプのメニューとツールバー
の システムであるコマンドバーが含まれています。この新しいシステムでは、完全にカスタマイズでき、かつドッキング可能またはドッキング不可能なフリー
モードのツールバーが使用できます。ビルトインのメニューバー、または、ツールバーに使用することも、カスタム
ツールバー、メニューバー、ショートカット
メニューを作成したり、変更したりすることも可能です。ツールバーとメニューはコマンドバーに含まれているため、作成時には、それぞれについて同じ様なコントロールを使うことになります。たとえば、下の図で示すドッキングされたツールバーは、3
つのボタンを持っています。
次の図で示されたメニューは、メニュー項目として表示されていますが、ツールバーの場合と同じ
3 つのコマンドを持っています。
Visual Basic for Applications では、メニュー
バーやツールバーにメニューを含めることができます。下の図にあるフリー
モードのツールバーには、3
つのボタンと、メニュー項目として示された同じボタンを持つメニューが含まれます。 |
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