■ 貧乏人のためのCG講座 256色CG編

はじめに

 この2~3年で、パソコンの能力は爆発的といっていいほど向上しました。最近ではエントリーマシンでもCPUのクロックは400MHzを超え、表示機能も、デスクトップ機なら1024×768ドット、フルカラー表示が当たり前になっています。

 こんな状況ですから、この章を見て「いまさら256色CG?」と思われる方も少なくないと思います。でも、サイトのロゴや飾りつけは256色で十分・・・いや、むしろフルカラー画像にはない次のような大きな利点があるのです。

・画質劣化がない

 ネット上でフルカラー画像を扱う際には、よく「JPEG」というファイル形式を使います。このJPEG形式、簡単に言えば、人間の目では分からないように色を「切り捨てて」データの大きさを減らす方法です。そのため、一度圧縮してしまうと完全に元には戻りません(このような圧縮方法を「不可逆圧縮」といいます)。このような圧縮法をとっているため、写真や自然画のような色の変化が穏やかなものはきれいに再現できるのですが、アニメ調の絵のように色の変化の激しい画像では圧縮率が落ちるだけでなく、無理な色の切り捨てによって汚い桝目状の色むらが発生しやすいのです。また、細かい図形もその特性上、ぼやけた感じになる傾向があります。

 一方、256色までの画像を保存する際によく使われる「GIF」や「PNG」は、元の画像データを劣化させることなく、完全に再現することが可能です。

・透明色などがサポートされている

 「透明色」というのは文字通り透明な色のことで、GIFでは使われている色のうちの1つを透明にすることができます。こうすることで、透明になったところから背景の壁紙が見えるようにしたりすることができます(PNGでも透明色を扱うことができますが、ブラウザによってはサポートしていない場合があります)。GIFではさらに、複数の画像をパラパラ漫画の要領で切り替えて表示し、画像を動かすことさえできます。しかし、JPEGにはこれに相当する機能がありません。

 PNGはフルカラーを扱えるので、「だったらフルカラーPNGで保存すれば?」と思われるかもしれませんが、フルカラーPNGはJPEGに比べてファイルサイズがかなり大きく、あまり現実的ではありません

・フルカラー画像の編集にはマシンパワーが必要

 逆に作る側から見てみると、広い画面でフルカラー画像を編集するためにはCPUパワーやメモリがかなり必要です。誰もがこういう環境を整えられるわけではありません。

 また、手軽にはじめられるのも大きいでしょう。フルカラーCGではタブレットやスキャナといった入力装置がないと、正直、かなりツラいですが、256色CGは1つ1つのドットを操って描くのが基本ですから、最低限マウスがあれば事足ります。高額、高性能なマシンやソフトも必要ありませんし、難しいテクニックも一切不要です。フルカラーCGだと自由度が高い分、どこから手をつけたらいいのか迷ってしまいますが、256色CGでは制約が多い代わりに、手法そのものは単純です。それにこれくらいの色数でも結構きれいな絵が描けるものです。こうした環境でまずCGに慣れ、その上でもっとハイレベルを目指したいということであればフルカラー環境に移行すればいいと思います。そのころには自分のCGの力量もハッキリ分かるでしょうし。

 「フルカラーに比べて表現力に乏しい」という欠点も、工夫と根気でカバー。例えばこれは私が昔、PC-9801シリーズを使っていたころに描いた16色CG(!)ですが、わずか16色しかなくてもこのくらいは描けるのです。ましてや、その16倍も色数があれば・・・(笑)

 ソフトとしては、Windows系では「D-Pixed」が256色CGにはほぼ唯一の、そして最適の選択肢です。このソフトは256色以下のCGを描くことに特化したソフトで、ドットを操って絵を描くのに向いています。もちろん、その他のソフトでもかまわないのですが、最近のフルカラー画像を前提にしたソフトはドット単位の編集に不向きなものが多いので、「D-Pixed」の使用を強くお勧めします。ありがたいことにフリーウェアですし。D-Pixed本体およびアドインはここからダウンロードできます

注)
 ただし、GIFの特許との絡みもあり、現行のバージョンでは描いた画像を直接GIFで保存することはできません。一度、BMP形式などで保存し、その後、別のソフトを使ってGIF形式にコンバートする必要があります。GIFの特許についての詳しい話は「アラカルト編」の「GIFの特許問題」の方をご覧下さい。

 あと必要なのはマウスと気力と根性ぐらいでしょうか(笑)。さぁ、それではCGの作成を始めましょう。



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