大容量バックアップの手法



データ・ライブラリーに最適なCD-R

 バックアップとは意味がやや違うが, 大容量のデータの保管という意味では, CD-ROM同様に手軽なCD-R(CD Recordable)が今後注目できる製品だ。





ランダム・アクセス可能で価格も安い

 CD-Rは, 一度だけ書き込み可能なCD-ROMと考えてよい。 出来上がれば, CD-ROMと同じように使用できる。
 ランダム・アクセスが可能なメディアとしては価格が安い。 定価が約3000円のメディアに約650MBのデータを 入れられる。 テープには及ばないものの, MOが同じくらいの価格で230MBであることを 考えると, コストパフォーマンスは高い。 テープと比較して, 保管時の「安心感」もある。
 さらに, 取り扱いもテープより楽だ。 テープを 読み書きするには専用のアプリケーションが必要だが, CD-ROMならマックの標準の状態でマウントして利用できる。


ライブラリーに便利なCD-ROM

 CD-ROMは, 完成済みのデータベース, 社内テンプレート, 業務日報の記録など, 「ときどき参照するけれども, 変更を 加えることはない」データの保存に有効だ。 特に, LANを 使ってデータを 共有している会社では非常に便利だ。
 サーバー上のデータは, 放っておくとすぐに増えてしまう。 ハード・ディスクの容量ぎりぎりまで増えると, 書き込み時にエラーが出たり, システムが不安定になる。 このため, 管理者はときどきハード・ディスクの「掃除」を することになる。 前述の条件に当てはまるデータが, 意外と多いことに気が付くだろう。 データ以外にも, サーバー上に置いてあるアプリケーションなども参照だけのファイルだ。 アクセス頻度の高いものはハード・ディスクに置いてもよいが, 頻度の低いものについては外へ出すしかない。
 CD-ROMなら, マックならば簡単にLAN上で共有できる。 DOSやWindowsの世界では, ちょっと前まではCD-ROMの共有がとても面倒だった。 ネットワークOS 「NetWare」の最新版3.12Jでは, CD-ROM共有を サポートしたことが売りの1つになっているほどだ。 マック環境では, せっかく簡単に共有できるのだから, これを 利用しない手はない。


連装CD-ROMドライブで更に便利に

 CD-ROMの枚数が増えた場合でも, 今なら共有に手間はかからない。
 アクセス頻度が低いデータは連装型CD-ROMドライブを 使うとよい。 最近の連装型CD-ROMは, 内蔵しているCD-ROMを すべて仮想的にマウントできる。 ユーザーからは, 7連装なら7枚のCD-ROMがボリュームとして選択できる(図12)。 異なるCD-ROMを 複数のユーザーが同時にアクセスした場合にはアクセス速度がかなり低下するが, こんなケースが多発するならCD-ROM1枚に1台のドライブを 使ってもよい。 CD-ROMドライブ自身はかなり価格が下がっている。 倍速CDで実売2万〜3万円といったところ。 数台を まとめて使用してもそれほどコストはかからない。


図12 連装型CD-ROMドライブを使ってCD-ROM共有している例 (ドライブはナカミチのMBR-7を使用)


CD-ROMの作成は簡単

 CD-ROMの作成は難しいのだろうと思う読者もいるかもしれないが, そこはさすがにマック。 結構簡単だ。 Windowsとの共用などは考えずマック環境でライブラリー代わりに使うなら面倒な設定はいらない。 一番簡単なのは, 1台のハード・ディスクにCD-ROMにしたいデータを 放り込み, それのイメージを まるごとCD-ROMにしてしまう方法だ。
 実際, ソニーのCD-ROMライター「CDW-900E」と米Optical Media International社のCD-ROMライター用ソフト「QuickTOPiX」を 使って, CD-ROMを 作ってみた。 操作は, 必要なデータの入れたハード・ディスクのアイコンを , CD-ROM作成ソフトのアイコンにドロップするだけ(図13)。 設定も, ほとんどデフォルトでよい。 処理時間はトータルで1時間程度を 見込んでおけばよい。 例えば会社を 帰る前に設定しておけば, 次の朝には出来上がりである。

図13 CD-ROMライターを 使っているところ。 ソフトはQuickTOPiX (カメオインタラクティブ)を使用。 単にハード・ディスクのイメージを CD-ROMにするには, ハード・ディスクのアイコンを AppleHFSのアイコンに ドロップすればよい


価格は下がる傾向にあるが現時点では高価

 いろいろ便利なCD-Rだが, 問題は初期導入時のコスト。 現時点では, CD-ROMライターの価格が非常に高い。 国内価格も以前よりは安くなったとはいえ, 50〜100万円程度かかる。 メーカーや販売店によりバラツキもある。 CD-ROM作成用ソフトウエアは本体と別売りのこともあり, 価格は30万〜50万円程度。 現時点のCD-ROMライターは, CD-ROMタイトル作成業者など, プロ向け指向が強い製品であることは否めない。
 しかし, ドライブは低価格化の方向にある。 94年末から95年初頭にかけて, 米国では, 米Pinnacle Micro社や米MicroNet Technology社などが, 2000ドル付近のCD-ROMライターを 出す。 ソニーも市場価格が1500〜2000ドル程度のドライブを 出荷するとしている。 95年前半には, CD-ROMライターが20万円程度で購入できるようになりそうだ。 オフィスでの利用が増えていくことは間違いない。



表4 主なCD-ROMライター製品一覧