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部屋割名人について
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1996-05-19
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8KB
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90 lines
1.【部屋割名人】について
高坂(以下、高)『おう!坂田久しぶり、最近見かけへんかったな』
坂田(以下、坂)『最近忙しいんだわ。出張ばっかだがや』
高『ところでな、最近、山本先輩と成瀬先輩見かけへんと思わへん』
坂『え、おめー知らんかったんか。こないださー、部課長ゴルフコンペがあったやろー、その時の幹事が山本先輩と成瀬先輩だったんだわ。それでさー山本先輩あんな性格だもんで、面白がってさー、前田部長と長州部長と安生課長と船木課長を同じパーティーにしたらしいんだって』
高『火薬庫みたいなパーティーやな、そら』
坂『最初のホールは何にもなかったらしいんだけどさ、もちろん会話もなかったらしいけど。2番のホールでさ、前田部長が打とうした瞬間、安生課長の顔が視界に入ったらしくて、前田部長が笑わせたとかいって因縁つけて大変だったらしいんや』
高『安生課長の顔は生まれつきちゃうん』
坂『俺は何ともいえんけどヨー、それだけなら良かったんだけどサー、間に入った長州部長の顔を前田部長が蹴ったらしいんだわ』
高『前田部長らしいな』
坂『そうこうしているうちに、次のパーティーが追いついちゃってさー、たまたま次のパーティーに猪木社長がいて、なんでもゴルフ道にもとるみたいなことを叫んで大騒ぎだったらしいわ』
高『船木課長はどうしたの』
坂『まぁあの人のことだから、す〜っといなくなって鈴木課長あたりと鳥のささ身を食わせる店で一杯やってたんじゃないの。結局藤波部長がゴルフ場側に過って解散になったらしいんだけど、大仁田次長だけみんながいなくなったゴルフ場で水を吹きながらいつまでも泣いて絶叫していたんだってさ』
高『ふ〜ん。みんな勝手なことしてるなー』
坂『結局、こんなパーティーの組みかたしたのは誰だいうことになって、山本先輩は沖縄支店に成瀬先輩は長井主任のいる札幌支店に飛ばされたらしいんや』
高『あちゃ〜』
坂『だから俺がサー、【部屋割名人】使えって言ったのに、山本先輩、ゴルフ場でプロレスが見れるかもしれんとか言って、好き勝手やるんだもん、止めなかった成瀬先輩も悪いとは思うけど』
高『【部屋割名人】って何なん』
坂『えっ!【部屋割名人】知らんの、あきれたなー、おめー一応人事だろ』
高『それに部署で親睦会の幹事なんだけど』
坂『【部屋割名人】は、マッキントッシュ用のソフトでさー、例えばゴルフのパーティーや部署旅行の部屋割りなんかで、みんなが満足できるような組み合わせを探索してくれるフリーウェアなんだわ』
高『そんなん、コンピュータを使うんやったら、すべての組み合わせを片っ端から計算して最大値を見つければええんちゃうん』
坂『そら、5、6人なら簡単にできるけど、20人、30人のパーティーになるとすごい組み合わせになるらしいよ。それで、遺伝的アルゴリズムというのを使ってあるらしいわ』
2.遺伝的アルゴリズムについて
高『よーわからんわ』
坂『なんでも、生物の進化ってさ、増殖における交叉や突然変異なんかの偶然の要素と、環境への適合度合による生き残りもしくは淘汰の結果らしいんだわ。俺んたちみたいな複雑な構造や機能を持った生き物ができ上がったのも、そのシステムのおかげらしいんだわ』
高『そういうもんかな。俺、学生のころずっと柔道ばっかりやって生物の勉強とかしてへんからわからへんわ』
坂『俺も本当はよくわからん。このソフト作った岩永ってやつもたった半日の研修を受けただけで作ったらしいから、理論的な所はたいしてわかってないらしいわ』
高『まぁ、理屈はどうでもいいけど、これ使ったら本当に最適の組み合わせがでてくんの?』
坂『いや、このアルゴリズムの特徴と言うか欠点として、出てきた答えが最適なのかそうでないのか判別できんってのがあるらしい』
高『最適じゃないなら意味ないんちゃうん?』
坂『長い時間かけて最高の値を探しだすより、適当な時間で適度に適した答えを得る方が意味があると思うけどな。それに遺伝的アルゴリズムを使ったって言ったら、なんかすごい感じがするがや』
3.使い方
高『ところでこれどーやって使うん?』
坂『結構簡単だよ。まず、【部屋割名人】のアイコンをダブルクリックすると、何人の人間を対象にするかと、グループがいくつあるかを入力するだろう』
高『ほーほー』
坂『その次にそれぞれのグループに何人割り当てられるか入力するわな』
高『グループは同じメンバーの数でなくてもいいわけやな』
坂『あたりまえだわさ。旅館にはいろんな部屋があるしな。人数を入力すると、表計算ソフトのテーブルみたいなのが表れる』
高『AとかBとか書いてあるで』
坂『それは仮名だわ。わかりやすいように実際の人間の名前に入力した方がいいわ。今から入力するのメンドーだで、前に作ったサンプル見てみよ。サンプルいうファイルをダブルクリックしてくれる』(実際に開いてみてね)
高『おー!うちの会社のトップが入ってるやん。ところで表のところの数字は何を意味してんの』
坂『たーけだなー。これが人間関係を表すデータだがや。例えば、馬場会長と猪木社長はあんまり仲が良くないから、-5をいれるだろう。』
高『おー!猪木−馬場のところに入れたら、馬場−猪木のところもかわったで』
坂『それから、前田部長と船木課長は昔一緒の部署にいたらしいけど、けんか別れしてるんで、-20をいれる。』
高『-20っちゅうことはないやろ、-50ぐらいいってんちゃうん』
坂『残念ながらデータはプラスもマイナスも20までなんやて。そのほか船木課長と鈴木課長みたいに同期で仲が良かったら20にする。』
高『どうでもいいけど、前田部長、マイナスばっかりやな』
坂『まぁ敵の多い人だでな。それでも天竜部長と藤波部長のことは認めてるみたいだわ』
高『前田部長と藤波部長は大阪支店時代すごい喧嘩やったって聞いたことあるで』
坂『それがきっかけでお互いを認めるようになったらしい』
高『だいたい入力終わったで。なんとも思ってないときは0でええんやな』
坂『入力が終わったら、メニューから探索開始を選んだら、探索中を示すダイアログがでるだろ。今は終了条件を設定してないで、適当なところで中断したら、その時点でもっとも適した(評価値の高い)遺伝子の組み合わせをリストにして表示してくれるわ』
高『前田部長と北尾課長が一緒になってるで、まずいんちゃうん』
坂『それはおめーのデータが悪いか、そうすることによって他のグループがすごく良くなるんだろ。長州部長と北尾課長が一緒になるよりましと思うけどな』
高『ふーんなるほどね』
4.設定
高『いろんなメニューがあるけど、何がどうなの』
坂『まず部屋割り条件の確認は、どの部屋に何人入れるかを確認できる。次に終了条件の入力は探索をやめる条件を決めることができる。条件は遺伝子の世代、評価値、時間、それとそれらの和の組み合わせで決めることができる。探索条件の入力はあんまりいじる必要はないけれど、一応説明すると、最初の項目が乱数を発生させるための種だ。すべての条件を同じにしてこの種を同じにすると乱数が同じ出方をするので探索を再現することができる。突然変異の確率は、突然変異を頻繁に起こすと単なるランダム探索になるので、これで調整する。個体数は部屋割りの情報を持った遺伝子の数を決定する。』
高『個体数を増やしたら探索にどういう影響がでるん?』
坂『どうも作者もその辺に関しては知らないらしい。この岩永ってやつは、流行りものに弱いらしく、ファジーの時も真っ先に飛びついたらしい。悲しいことに基礎がなってないので、いつも上っ面だけを勉強してブームが去ると同じに技術をほうり出すらしい』
高『ふーん。そんなの本物の技術者といえんやろ』
坂『今は技術者やめたらしいけどな』
5.その他
高『結局いろんな設定に関してはこうするべきというのはないから、自分でいろいろ試してみたらいいんやな。』
坂『あぁ、特に乱数の種を何種類かで試してみると多少結果が変動するらしい』
高『ところでこれはシェアウェアじゃないの?』
坂『一応フリーウェアになってるらしい。ただ作者はパワーマックを欲しいらしくて、寄付を送ってくれるなら拒まないと言ってるらしい。特にこのソフトを使って商談がまとまったり、昇格したりした場合には、ぜひ悦びを分かちあいたいので謝礼を送ってくれと言っているらしい』
高『ということは、商談が流れたり、降格左遷された場合には責任を取ってくれるということなん?』
坂『いや、そういうケースは関知しないらしい』
高『成果は自分の物、失敗は部下のせい。っていう上司みたいやな』
6.最後に
以上のストーリーはフィクションであり特定の団体および個人にはまったく関係ありません。またプロレスに興味のない方にとっては冗長な説明になったことを心からお詫び申し上げます。このぐらいの趣向を凝らさなくてはやってられないほど作者はこの手の文章を書くのが苦手です。
○このソフトウェアはフリーウェアであり、非営利目的の転載、譲渡、複写は自由です。
○ただし著作権は作者が所有します。
○このソフトウェアを個人で楽しむ範囲で改良・改悪するのは自由ですが、それを配布する事は禁じます。
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