バックアップモードと履歴

このソフトウエアに特殊な概念が,バックアップモードと履歴です。履歴機能は,他の類似ソフトウエアにも搭載されていますが,このソフトウエアでの履歴の扱いが特殊なのです。これについては,十分にご理解いただく必要があります。また,併せてテーブル機能と圧縮機能についても紹介しています。

バックアップモード

このソフトウエアでは,個々のプロジェクト毎に二つのバックアップモードで実行します。二つの実行モードは,それぞれ「標準」「完全」と呼ばれ(同種の扱いにリアルタイムがありますが,厳密には同じものではありません),完全は標準を包括します。図を参照して下さい。

この2モードは,通常次のように使われます。

普段は標準モードで実行します。そして,個々のプロジェクト毎に指定された回数実行された後,完全モードで実行されます。たとえば,完全実行の間隔を3としていると「標準」「標準」「標準」「完全」「標準」…と実行されます。0にすると毎回完全実行され,-1にすると完全実行は行われません。

また,個々のアイテムについて,標準・完全のどちらでもバックアップをする「常時」アイテムにしたり,完全時のみにバックアップする「完全のみ」といった指定をすることが出来るようになっています。あまり更新されないファイルは,「完全のみ」にすると,普段の作業に与える影響を減らすことが出来るでしょう。

「リアルタイム」に指定されたアイテムは,変更があったファイルまたはフォルダを直ぐにバックアップする作業を行います。「しない」は,当然何もしません。

まとめると,次のようになります。

モード 内容
標準 常時アイテムのみを処理
完全 リアルタイム以外の全てのアイテムを処理
履歴を一つ増加
テーブルを更新
リアルタイム リアルタイムアイテムのみ処理
標準実行としては数えない
しない 何も行わない(リストに保持されるだけ)

履歴

バックアップを自動的に進めることから,誤って変更してしまったファイルをバックアップすることがあります。これを防止することは出来ませんが,誤って変更したファイルを過去にさかのぼって参照して正しいファイルを復元できれば,少なくとも損失を減らすことが出来ます。ただ,履歴というものをナニも考えずに追加すると,異様に場所をとるだけで動作が重くなってしまいます。古くなりすぎた履歴など不要でしょう。しかも,もしフォルダ毎復元するとなったとき,同じフォルダに履歴ファイルがあっては,それらをいちいち削除するのは大変です。そこで,このソフトウエアでは次のようなシステムをとっています。

バックアップモードが2種類有りますが,このうち完全モードの時だけ履歴を増やす処理をします。履歴は,通常バックアップするフォルダとは別の場所に待避されます。これにより,普段は必要なファイルだけバックアップされ,軽くなります。また,復元も容易な状態のままとなります。更にこの履歴に残すべきファイルは,前回の完全実行から,一度でも変更されたファイルが対象になります。これによって,履歴に残されるファイルは最低限必要なファイルだけとなり,よりディスクが有効に使えるようになります。

ただ,この方法には若干問題があり,あまりに古いファイルが参照できなくなってしまいます。これを防止するには,履歴の数を深くすることで対処できます。

履歴の階層は,履歴ディスティネーションの下に階層の番号がついたフォルダが作成され,更にその下にディスティネーションサブフォルダの指定に基づいて保存されるようになっています。

テーブル機能

このソフトウエアでバックアップをしている際に,フォルダのアイテムでは特に「ファイルをチェックしています...」が長期間表示されることがあると思います。通常ファイルのチェックには非常に時間がかかります。これはしょうがないことですが,これを出来るだけ高速化させるための機能が,このテーブル機能です。

この機能は,「標準」「リアルタイム」で実行中にテーブルファイルを参照することで,実際のファイル検索を省略します。これにより,深い階層のフォルダではかなりの高速化が図れます(400%位になることもあります)。ただ,実際にファイルを検索しないことから,新たに増えたファイル・減ったファイルへの対処が出来なくなってしまいます。このままでは意味がありませんので,「完全」で実行中にテーブルを更新するようになっています。そのため,完全モードで実行することが多いと,トータルパフォーマンスは悪くなるかも知れません。

テーブルは,プロジェクト毎に作成されます。拡張子 TBL と TAT がそのテーブルの内容です。

圧縮

このソフトウエアでは,バックアップ時にファイルを圧縮することをサポートしています。これにより,バックアップするファイルのサイズを減らすことが出来るようになります。詳細は,圧縮を行うためには?をご覧下さい。