{常識的な用語} 宇宙軍に籍をおく者にとって、ある程度常識的な用語が幾つかある。 その一例を挙げる。 「ワープ」 ワープは、過去のSF作品の中で光速を越えるスピードもしくはその推進方式を 意味しているが、宇宙軍では特に20世紀後半に日本のガイナックスが制作した 「トップをねらえ!」というSFアニメ作品中に出てきた用語を指す。 正確には『次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法』の事とされている。 但し、まだ古典アニメの世界の話で実現している訳ではない。 「スイングバイ」 惑星の重力を利用して大きい速度で前方に飛びだす飛行動作の事だが、2164年 には既にそのような航行方式を取る必要はなくなっている。 したがって航宙士やパイロットぐらいしか実際に経験した者はいない。。 「ドップラー効果」 移動している物が発する信号の波長が、その前と後では異なっている現象。 人間の五感では音の違いを認識できる程度(よく出る例は救急車の音)であるが、 宇宙船のような高速で移動する物の通信では、波長が異なってしまう訳だから とても厄介な現象である。 「コバヤシ丸」 アカデミーの卒業試験の時に出てくる中性子運搬船の名前。 卒業試験はアカデミーの全卒業予定者が、艦長コース在籍者分のシミュレーシュン による宇宙艦に約1月間乗り組み行われる。 ようするに実際の宇宙艦と全く同じ勤務をさせられる訳だが、「コバヤシ丸」は その後半の戦術テストに出てくる敵に攻撃を受けつつある僚船である。 このテストの由来は、20世紀後半にアメリカで作られたSF映画「スタートレック 2」にあり、そのシリーズ設定では艦長テストとして歴代の艦長が経験している 事になっている事から、宇宙軍も採用したとされている。 {標準設定コマンドの入力方法} 宇宙軍を始めとして太陽系のあらゆるシステムには、特定の状況設定に関して 共通する入力方法が予め決められている。 例えば新システムへの移行とか自爆装置の遠隔作動等で、一人の判断で行う事を 避けたいような行為に求められていて、通常2名の共同作業になる。 宇宙軍の場合、一般的には宇宙軍の士官が2名で行うが、緊急事態における遠隔 操作による艦船の停止(乗っ取られた場合など)は艦長資格かそれ以上の指揮権の ある者がその内の1名になる。 ちなみにこのプログラムはハードウェア内に最初から組み込まれているので、 外部からプログラムを変更して1名のみで動作させるような事はできない。 以下に甲・乙の2名による標準的な操作を例に上げる。 「操作の手順」 1 認識装置に最初の1人目が甲である事を登録。 2 連番の登録(例えば自爆の場合は「自爆連番1」と言う) 3 1人目の行為命令コード群の入力 4 認識装置に2人目が乙である事を登録。 5 連番の登録(2人目の連番は当然2になる) 6 2人目の行為命令コード群の入力 7 甲が入力終了命令コード群を入力 8 甲が動作開始命令コード(最終コード)を入力 「命令コード群の説明」 命令コード群はオペコード(命令の種類)とオペランド(命令のデータ)から なり、オペコード1つに、オペランドが1つまたは2つ以上の構成になっている。 例えば、2人目の行為命令コード群を入力する場合は、 「コード1 1A 2B」 と言う事になる。 * オペコードの例     行為命令 → コード1  (実際は「コード1」と言えば良い)   入力終了命令 → コード0  (実際は「コード0」と言えば良い)   動作開始命令 → システム接続なら「接続」と言えば良いし、また            艦船の停止行為なら「停止」、自爆なら「自爆」と            言えば良い。 * 行為命令のオペランド   1人目のオペランドは1Aである。よって1人目は「1」と「A」と言う。   2人目は1人目のオペランドに2Bを加える。よって1人目と同じオペ   コードとオペランドを復唱した後に「2」と「B」と言う。 * 入力終了命令は0と0の2つのオペランドからなり、実際は「0」「0」と   言えば良い。 * 動作開始命令(最終コード)のオペランドは0である。   よって単に「0」と言う。