水 星 水星は昼夜の温度が430度からマイナス160度まで変化 する事から、実質的に基地外での活動はあり得ず、基地の施設としては もっぱら地下に設けられた施設と鉱物の採掘場に限定されていた。 そんな過酷な環境にあっても地上の夜の部分は観光スポットとなっていた。 というのも、水星は大気が無い為、かなり遠くまで見渡す事ができるので、 ジェットバスからみた外を流れる景色は他の惑星で体験する事ができない程 素晴らしいものだからである。 ********************************** 金 星 金星は昼夜を問わず470度にも達する灼熱の大気に包まれていたので、 基地も水星基地と同じように地下にある。 金星の産業は金星基地に隣接する鉱山ぐらいで、観光スポットも無い事から 訪れる人は少なかった。 ********************************** 地 球 地上には研究施設を中心にした都市のみが存在し、大陸の大部分は植物によって 覆われていた。 しかしながら赤道付近は宇宙で生活する者が唯一日光をまともに浴びられる 場所であった事からリゾート施設が点在していた。 現在太陽系の政治の中心は月面上の都市にあり、また軍事と経済の中心は 地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大な宇宙ステーションである中央ステーションに なっていた。 ************************************* 火 星 火星は人類が最初に地球以外の惑星に植民を始めた惑星であった事から、 基地や都市も複数点在しており、また自転速度がほとんど地球と同じ である事もあって、移住人口が月やスペースコロニーに次いで多い所である。 ************************************* 木 星 木星はガス星である事から、実際に人が住んでいるのはその衛星である。 その中でも最大の都市は衛星ガニメデにあり、木星基地もガニメデ上に 置かれている。 木星の衛星ガニメデは太陽系最大の衛星で、赤道半径は地球の半分よりやや 小さめである。 鉱物資源はそれほど多くは無いが、他の衛星で採掘された資源の集石場所 であり、また人工農園でできた農産物を他の衛星に供給する基地でもあった。 ********************************** 土 星 木星と同じくガス星である事から基地や都市は衛星にある。 その中でも衛星タイタンは土星星域の中心としての役割とともに、外惑星 における産業、経済の中心的な役割を担っている。 軍事的には外惑星艦隊の中心では無いものの、現在の外惑星の位置関係から 重要な補給基地として機能していた。 またパトロール艦等の高速航行能力を持つ宇宙船に必要な燃料である ラダイト鉱石が多く取れる事から、その補給並びにメンテナンス基地 として機能している。 しかしながら、それ故に宇宙船の往来も激しく、また未探査の衛星や小惑星の 数も多いのが災いして、海賊が出没する割合が高い。 ********************************** 天王星 木星や土星と同じで水素とヘリウムからなるガス星で、自転軸が横倒し状態と言う、 太陽系の惑星の中でも珍しい部類の惑星である。 又土星のものにくらべて薄くて狭いが輪を持っている。 天王星星域の中心都市は、その輪よりかなり外側の輪と平行して廻っている衛星 チタニアにある。 天王星基地は宇宙軍の管轄する宇宙港を中心にして農産業が盛んな ところでもあった。 それはチタニアの土壌成分が植物の生成に適している事が要因となっていて、 ここで採れた作物は太陽系全域に出荷されていた。 衛星オベロンにはパトロール艦専用のドックがある。 ただし規模は土星基地のドックに比べて小さいので、重要部分の改造や修理が必要な 場合は土星基地から技術士官が出張して行っている。 ********************************** 海王星 木星等と同じガス星であり、又天王星と同じ薄い輪を持っていた。 その為基地等は衛星トリトンにあった。 海王星基地にはその名に相応しく、その地下には太陽系最大の海産物の 養殖施設があり、又ここを拠点にして海王星の他の衛星にも養殖施設が 作られていた。 海王星基地に巨大養殖施設が建設できたのは、基地がある南極冠より 北の地域が比較的に隕石の落下が過去に少なかった事を物語る地形で あったからだ。又ここでは惑星防衛システムの実験を行っており、 接近してくる隕石等を粉砕する設備が整っている事も要因となっている。 そして同時に海王星基地は、現在冥王星が太陽を挟んで反対側にある為、 軍事上の重要拠点となっているので、基地の港には多くの艦船が待機していた。 ********************************* 冥王星 元々冥王星には22世紀まで衛星はカロン(その後ケイロンに改名)だけ だったが、2110年の巨大彗星通過と同時期に、冥王星の引力圏に入った 3つの小惑星が衛星となった。 それら3つの衛星は、ケルベルス、ディス、スティックスと命名され、 ケイロンの衛星軌道とは別にその外側の同一軌道上を廻っている。 しかしどのような原理で冥王星の衛星になったのかは謎となっており、 一説によれば直接移動小惑星の一部が衛星軌道に入ったのではなくて、 冥王星のさらに外側にあるカウパーベルトと呼ばれる氷や小惑星の帯に 移動小惑星が突っ込みその反動ではじき飛ばされた小惑星が衛星軌道に 入ってきたとも言われている。 だが冥王星の月となった3つの衛星のどれもが球に近い形から、はじき 飛ばされた小惑星とは思えず、説が別れる原因となる。 冥王星では、その星を物語の中で積極的に扱った某古典SFに敬意を表して、 そこに出てくる名称がそのまま使われている。中でも衛星ケイロンは22世紀まで 『カロン』と呼ばれていたが、3つの小惑星が冥王星の衛星として 捕らえられた事で物語の設定記述に合致した事になり名称が変更された。 冥王星基地は中央ドーム都市の『タルタルス』の他に『ニュートン』、 『エリシア』そして『クルン』の3つのドーム都市と地下の宇宙港兼宇宙軍 基地から成っている。 冥王星の回りには宇宙軍が常駐するステーションが4つ配置されている。 ステーション3は冥王星から約6万キロ離れた所を公転周期に合わせて 常に太陽系の外側になるように移動していた。 そしてここには外宇宙からの防衛ラインと言う意味で冥王星艦隊が常駐 していた。 ステーション1はステーション3とは逆に約2万キロ離れた所を 常に冥王星より内側になるように移動し、ステーション2と4は冥王星の 上下2万キロにそれぞれ位置している。 これら3つのステーションは冥王星の防衛を目的としている為、戦闘機や 宇宙空母と言った機動性の高い部隊が配備されている。 衛星ケルベルスとディスには女子刑務所と男子刑務所がそれぞれ置かれている。 冥王星星域は、地上にある建物の外はメタンも凍りつく極寒の世界であった。 冥王星では極僅かながらメタンの大気があるが、ケルベルスやディスでは 引力が弱い為にほぼ真空で、衛星の直径も小さい事から建物の内部の部屋の 窓から衛星の丸くなった地平線を見る事ができる。 冥王星星域は独特の文化が発達していた。 と言うのもここは太陽系最果ての地と言う意味で防衛上も重要な事から、 非常に軍関連の産業および研究が活発に行われて、その成果が生活の中に まで及んでいるからである。 従って最果ての地とは言っても比較的人口は多く、近年高速航路を航行する 定期便も就航して、訪れる人も多い。