[Q]インターネットを使っていると、ミラーサイトという言葉をよく見かけますが、これはどういう意味でしょうか?

(東京都/沢口幹夫)

[A]ミラーサイトを説明する前に、ご存知かとは思いますが、インターネットについて少し触れておきます。インターネットにはたくさんの特徴がありますが、その中で、分散型ネットワークであることと、帯域・経路が保証されないということが挙げられます。

 分散型ネットワークとは、パソコン通信に代表されるBBSなどのように、一極集中型のネットワークシステムではなく、多くのコンピュータがネットワークによってつながり合った、世界的なネットワークシステムであることを指します。帯域・経路の無保証は、たとえば、28.8Kbpsモデムでプロバイダに接続したとしても、常に28.8Kbpsの性能を活かせるとは限らないということです。接続プロバイダの負荷が高く、モデム性能が引き出せないこともありますし、人気のあるサイトでは、新しい情報を求める利用者で混雑し、たとえ太い線であっても、混雑した利用者によって太い線は分割され、個々の利用者に対しては細くなってしまうこともあります。ネットワーク的に遠いサイトにアクセスする場合は、接続プロバイダから目的サイトまでは、数々のプロバイダを経由していることが多々あります。経由する中には、自分のアクセスしている通信速度よりも遅くなってしまうポイントがないとは限りません。つまり、常に28.8Kbpsの速度では通信できていないということです。これが“帯域は保証されない”ということです。また、目的サイトまでへの道のり(経路)は、必ずしもいつも同じとは限りません。プロバイダがメンテナンスを行なっていたり、ダウンしていることあもり、目的サイトへ接続できないときや、自動的に迂回路を通っている場合もあります。行きと帰りの道のりが異なる場合もあります。

 さて、ミラーサイトですが、これは、前述までのインターネットの事情を、うまく緩和させるために用意されているものです。ミラーサイトは、ひとつの情報をオリジナルサイトに一極集中させるのではなく、分散させて共有することで、過剰アクセスによるトラフィックの負荷や、帯域の低下を緩和することを目的としています。また、オリジナルサイトから最新情報を取得する仕組みを設けることによって、オリジナルサイトと情報のタイムラグを減らし、情報の共有を実現しています。なお、ミラーサイトには、企業によって運営されているところもあれば、ボランティアベースのところもあります。WWWでは、asahi.comが有名です。http://www.asahi.comは、アメリカにメインサーバが置かれていますが、ミラーサイトとして、国内では5つ(IIJ、Spin、TokyoNet、Infoweb、mesh)のWWWサーバが用意されています。たとえば、IIJのミラーサイトを利用するには、http://iij.asahi.com/のように、asahi.comの場合は、ホスト名としてプロバイダ名を記述するようになっています。タイムラグは、asahi.comの場合、遅くて数分程度だそうです。ほかには、窓の杜にリンクする形で運営されているFTPサービスにもミラーサイトが用意されています。国内に8カ所の公式ミラーサイトがあります。公式ミラーサイトは、一日3~5回のミラーリングが義務づけれらているので、タイムラグは、最悪8時間の遅れになります。

 さて、では実際に自分がそのサイトまで、どのような経路でアクセスしているかを知る方法があるのでしょうか? これがあるのです。Windows 95には、TCP/IPネットワーク機能をインストールすると、Windowsフォルダにtracerouteコマンド(tracert.exe)がインストールされます。tracerouteは、DOSプログラムですが、目的サイトまでの経路情報とレスポンスタイムを表示します。使い方はDOS窓などのコマンドプロンプトから、たとえばインプレスのHomeに対して調べたいならば、tracert home.impress.co.jp と、コマンドのあとに目的サイトのURLをつけてEnterキーを押すだけです。各行の右側には各中継点の名前、左側には各中継までのレスポンスタイムを表示します。行が少ない程、ネットワーク的な道のりが近いことを示し、レスポンスタイムが小さい程、効率の良い転送が期待できます。また、同じWindowsフォルダにあるping(ping.exe)を使えば、データがどれくらいの速度で行って帰ってこれるかがわかります。これもDOSプログラムで、コマンドのあとに目的のURLを打ち込んでEnterキーを押せば動きます。

 たとえば、窓の杜FTPサーバを利用する場合は、筆者の場合、インプレスのオリジナルを利用するよりも、筆者の参加するプロバイダ(IMASY)のミラーサイトを利用すれば、経路的にも近く、高速な転送を実現しています。ミラーサイトをうまく利用することによって、インターネット全体の負荷を軽減することができますので、快適なインターネットの利用のために、ミラーサイトをできる限り利用することをお勧めします。

(相川成周)