見学会速報


横須賀マルチメディア通信共同利用実験見学会(96年6月18日開催)

NTT(株)、(株)CATV横須賀と米国マイクロソフト社が今年3月22日から横須賀市において実施しているマルチメディア通信の共同利用実験についての説明会ならびに設備見学会が行われたので、その概要をレポートする。

主催


概要

日本電信電話(株)、(株)シーエーティーヴィ横須賀、マイクロソフト社は、96年3月22日より97年3月31日までの期間、横須賀市の約300世帯を対象にマルチメディア通信共同利用実験を行っている。これは、CATV映像伝送、ビデオ・オン・デマンド、電話の複合サービスを一本の光回線により実現する内容としており、特にビデオ・オン・デマンドのコンテンツに関しては、住友商事(株)等のコンテンツプロバイダによって提供されている。

システム構成

基本的には、NTTに設置されたサーバに各家庭が光回線でつながっている。NTT局にはATM-PDS-SLTと呼ばれる光回線端局装置があり、そこに電話交換器、CATV回線、及びインタラクティブマルチメディアサーバがつながっている。それは光回線によって、各家庭の光回線終端装置ONUにつながり、その上につながるセットポップボックスがユーザーの使う端末となる。ここで様々な番組選択や、サーバとのインタラクトを行う。情報伝達はATM方式の多重伝送方式が用いられ、動画圧縮はMPEG2規格を用いている。局にあるインタラクティブマルチメディアサーバは、15台のペンティアムPCによって構成され、それに合計1テラバイトの容量を持つハードディスクアレイが接続されている。このシステムは200時間の動画を蓄積出来る。

サーバ

MPEG2エンコーダ

ビデオ・オン・デマンド

利用者は、サーバに要求を出す事が出来る。これは、サーバの上で走るアプリケーションに端末からアクセスしていると考えればよい。様々な画面上のボタンを、赤外線リモコンを使って操作することにより、番組の切り替えはもちろん、クイズに答えたり、ゲームをしたりすることが出来る。主なコンテンツは以下の通りである。 この、コンテンツアプリケーションはサーバであるWindowsNT上で走るもので、マイクロソフト社によりその基本モジュールが提供されている。ユーザーはTV端末を通じてアプリケーションを操作出来るというしくみになっており、従ってここで提供される情報形態というのは、かならずしも動画情報をチャンネルで切り替える様な事にとどまらない。様々なアプリケーションを開発することによって、TVやCATVとは桁違いの多様なコンテンツを提供する事が出来る可能性を持っている。現に、近い将来、大勢の加入者が同時に参加可能なオンラインゲームが提供されるとコメントしていた。

最後に

このシステムによって提供される機能は、回線さえ十分に用意されれば現在のインターネット上のシステムでも提供が可能であると思われる。つまり、WWWサーバによってインタラクティブなマルチメディアコンテンツを提供することは基本的に可能であろう。このシステムはどちらかというとケーブルTVという領域から発生してきたシステムと思われるが、マイクロソフトによってPC上のシステムとしてつくられたシステムであるから、今後インターネットシステムとの融合が図られる可能性はあると思う。実際、インターネットサービスの提供も、今後の発展の計画に含まれるとの事である。

NTTは、高速大容量の光回線を設備する為には、電話だけの利用ではコストがかかりすぎて実現が難しい為、様々な情報提供媒体と共同して、回線の共同利用を進めて行きたいとの事である。はやく安価で高速な回線が設備される事を楽しみにしている。

(レポート:古林)


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