展示会速報


EDEX'96(96年4月17日~19日開催)

EDEX'96(第11回)電子ディスプレイ展が、横浜みなとみらいにあるパシフィコ横浜で開催された。液晶ディスプレイを始め、ELディスプレイ、プラズマディスプレイなど様々な電子ディスプレイとその周辺技術の見本市であり、各社力の入った展示をしていた。概要を以下にレポートする。

主催:(社)日本電子機械工業会


電子ディスプレイ技術を導いていく背景となる市場の要請は、フラットパネルディスプレイ、携帯端末用ディスプレイ、高精細、大画面、高視野角、高輝度、低消費電力、低コストなどであり、その要求はとどまるところを知らない。これらの要求を満たすべく、今回の展示でも各社力の入った技術を発表している。

大画面・高精細・広視野角

液晶ディスプレイは、その画素となるトランジスタの歩留まりを上げる事が難しい為、なかなか画面を広げる事が難しいが、ここにきて、各社XGAサイズの画面を作成することが可能となった模様である。13.3”~15”程度の大きさであり、IBM社はSXGAの16.1”TFTモニタを展示していた。

(IBM SXGA TFT モニタ)

大きなものでは、SHARPが28型を発表していたが、解像度はVGAである。Windowシステムを使うに必要と思われる1024*768の広さを、17インチ相当の実効画面に展開する液晶ディスプレイが、CRTにとってかわりうるデバイスとして注目されており、各社実用化段階にさしかかっている。

加えて、広視野角という要素に力を入れている会社も多い。日立製作所は液晶分子を水平に回転させる技術を確立し、上下左右140度という、ほぼ完璧な視野角を手にした。この視野角を達成している液晶パネルは、他にSHARPのものだけである。日立は4月よりこのパネルを量産開始するという。この広視野角はほぼCRTと同等の見え具合を提供し、今までの液晶ディスプレイの印象を一変するものである。下のイメージはその日立のディスプレイだが、斜めからでも画面がよく写っているのがおわかりになるだろうか。

(日立のスーパーTFT液晶ディスプレイ)

同クラスの液晶パネルでスペック的に優れたものと思われるのはSHARPの製品で、上下左右140度の広視野、250cd/m^2の明るさ、開口率82%、合計50msの応答時間、10Wの消費電力、1250gの重量、コストが不明だが、どれもトップクラスのスペックであり、SHARPの液晶技術の伝統を見る思いがした。

(SHARPのブース)

低温Poly-SI TFT 液晶ディスプレイ

大画面を一方のながれとすれば、一方でコンパクトで高精細な画面を指向する流れがある。これは、携帯性を要求する物に搭載する時に必要とされる技術と考えられるが、これに答えるべき技術が展示されていた。それが、EPSONSANYOSONYなど数社より発表されていたポリシリコン液晶ディスプレイである。手元に資料を欠いているが、数センチ四方と思われる小さなディスプレイに、VGAクラスと思われる解像度を与えている。小さいながら、大変な情報密度であり、きわめて鮮鋭な印象であった。

反射型カラー液晶ディスプレイ

EPSON、SHARPなどが展示していた、反射型カラー液晶ディスプレイがあった。試作の段階であり、詳しいスペックは明らかではない。反射型とは、バックライト無しでカラー画面を生成するものであり、低い消費電力をひとつの特徴とする。電力容量のきわめて厳しい携帯端末への応用が期待される。カラーの発色の様子だが、いずれもマンガ的な画像を展示しており、中間色再現がまだ困難な状況かもしれない。全般に彩度が劣り、色分け出来る段階と言える。しかし、それでも需要はあるだろう。

3D立体ビジョン

SANYOが展示していたのは、液晶ディスプレイを応用した3Dディスプレイシステム。特殊メガネ無しで3D映像を楽しめる。イメージスプリッタ方式とよばれる方式で、液晶縦一列交互に左右の映像を表示、それをイメージスプリッタと呼ばれるフィルタを通して、左右の目に送る。きちんと3D映像が映るスイートスポットが存在するが、そのエリアは比較的広く、気軽に3D映像を楽しむ事が出来た。ゲームセンタにあるような3Dシステムよりはるかに高精細な映像であった。

その他の展示

プラスチック液晶パネルを数社が展示していた。曲面を構成出来るし、割れにくいなど、強度があるというもの。NECはCRTの見え具合を改良した、NEUFOS管というものを展示していた。比較展示で普通のドットマトリクスディスプレイがあったが、確かにNEUFOS管は画像に質感があり、詳しくみれば、細かい字が鮮明であった。

液晶ディスプレイの事を中心に概要を説明したが、他にはプラズマディスプレイの展示が目立っていた。フラットパネルディスプレイのもう一方のホープである。大画面TVにとってかわりうる、省スペースの有望な機器である。

最後に

日本企業の他、韓国企業も大きくブースをかまえており、日本市場への意欲が伺えた。液晶技術の発展の速さには目をみはるものがあり、今後が楽しみである。液晶大画面モニタは場所をとらない、ちらつきがないなど、優れた特徴を持っており、早く低兼な製品が実用化されないかと期待している。

(レポート:古林)


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