はじめに
Microsoft® PowerPoint® for Windows® 95 (以下、PowerPoint) は、強力な機能を持つプレゼンテーション用ソフトウェアです。PowerPoint に付属している美しいデザインのテンプレート、クリップ アート、配色、アウトライン機能などを使って、洗練されたスタイルで情報を伝えるプレゼンテーションをすばやくまとめ上げることができます。それに加えて今回 Microsoft では、新しいアドイン プログラム Internet Assistant for PowerPoint を無償配布することになりました。このアドインを使用すると、作成したプレゼンテーションを簡単なマウス操作だけで Web ページの形式に変換することができます。
Web ページとは、Web ブラウザでテキストやグラフィックスを表示するためのコマンドで構成されたテキスト ファイルです。Web ページの大きな利点は、そのコンテンツをハイパーリンクと呼ばれるものによって、ほかのページにリンクできることです。Web ブラウザでハイパーリンクをクリックすると、リンク先のページに自動的にジャンプすることができます。
これは、PowerPoint のプレゼンテーションの特長でもあります。このため、PowerPoint で作成したプレゼンテーションを Web ページに変換しても、スライドショーを行う場合と同じように内容を伝えることができます。Internet Assistant for PowerPoint はそのためのお手伝いをします。
Internet Assistant for PowerPoint をセットアップすると、PowerPoint の [ファイル] メニューに [HTML エクスポート] というコマンドが追加されます。HTML (HyperText Markup Language) は WWW で使用するハイパーテキスト言語ですが、この新しいコマンドをクリックしてフォルダ名を入力し、[OK] をクリックするだけで、HTML 形式のプレゼンテーションを作成することができます。HTML のコードは Internet Assistant で自動的に記述されるので、自分で HTMLを作成する必要はありません。
Internet Assistant の [HTML エクスポート] コマンドを実行すると、指定したプレゼンテーションから、互いにリンクされた 1 組みの HTML 文書が作成されます。プレゼンテーション内の各スライドは、それぞれグラフィック形式とテキスト形式の HTML ファイルに変換されます。テキスト形式の HTML ファイルは、グラフィックスを表示できない Web ブラウザを使用する場合に役立ちます。また、グラフィックスを表示できるブラウザでも、テキストだけを次々に見たいときなどに便利です。グラフィック形式の HTML 文書では、元のプレゼンテーションのイメージがそのまま再現できます。Internet Assistant では、元のスライドの "クライアント側のイメージマップ" が自動的に作成されるので、いずれの形式でも、PowerPoint でほかのスライドや文書へジャンプするためのオブジェクトの動作設定が維持されます。たとえば、元のプレゼンテーションのスライド 1 で楕円をクリックするとスライド 5 にジャンプできるように設定されている場合、変換後の HTML 文書でも同じようにジャンプできます。
このように、Web 用のプレゼンテーションの作成はとても簡単です。この文書を読んで、早速チャレンジしてください。HTML についてある程度理解できたら、文書の後半にある「Web 用の PowerPoint プレゼンテーションを作成するためのヒント」や「Internet Assistant for PowerPoint を活用する」もぜひお読みください。
操作を始める前に、PowerPoint for Windows 95 がセットアップされていることを確認してください。Internet Assistant は、PowerPoint 4.0 以下のバージョンでは動作しません。1 台のコンピュータを複数のユーザーで共有している場合は、それぞれのユーザーごとに Internet Assistant をセットアップする必要があります。また、PowerPoint ディレクトリへの書き込みが可能なことが前提となりますので、書き込みが許可されていないネットワークへのセットアップ、および [CDから実行] オプションを指定したセットアップでは、Internet Assistant を使用することができません。
セットアップが完了したら、PowerPoint を起動して、[ファイル] メニューに [HTML エクスポート] コマンドが追加されていることを確認してください。
ここでは、 PowerPoint プレゼンテーションを HTML 文書に変換する方法を説明します。Internet Assistant for PowerPoint が既にセットアップ済みであり、PowerPoint の [ファイル] メニューに [HTML エクスポート] コマンドが表示されていることを前提とします。このコマンドが [ファイル] メニューにない場合は、PowerPoint を終了し、前の「Internet Assistant for PowerPoint のセットアップ」の手順をもう一度確認してください。
操作を始める前に、画面の左上 4 分の 1 の領域に [常に手前に表示] オプションを設定したツールバーやダイアログ ボックスが表示されていないことを確認してください。たとえば Microsoft Office ショートカット バーや Windows のタスクバーでは、このオプションが設定されている場合があります。このようなツールバーやダイアログ ボックスが表示されているときは、画面の下側または右側に移動してください。
注意 プレゼンテーションの変換中は、スライド ショー内にマウス ポインタを移動しないようにしてください。エクスポートしたスライドに、スライド ショーの [ショートカット メニュー] ボタンが表示される場合があります。この現象を防ぐには、[ツール] メニューの [オプション] をクリックし、[表示] タブの [[ショートカット メニュー] ボタンを表示する] チェック ボックスをオフにしておきます。
しばらくすると、ウィンドウ内にスライド ショーが表示されます。Internet Assistant では、このウィンドウを使用して、スライドのイメージが変換されます。プレゼンテーションに含まれるスライドの数やオブジェクトの動作設定が多いほど、この処理にかかる時間は長くなります。
変換したファイルの保存先として同じフォルダを指定すると、既存のファイルを上書きするかどうかを確認するメッセージが表示されます。プレゼンテーションに含まれるスライドの数を減らした場合、以前の文書のいくつかは上書きされないので、目的の Web サイトへフォルダを移動する前に、不要なファイルを削除する必要があります。この手間を省くには、最初からフォルダを新しく作成するか、以前のフォルダを削除してから、変更したプレゼンテーションを変換するようにしてください。
新しい Web ページは、実際には [HTMLエクスポート オプション] ダイアログ ボックスで指定したフォルダに保存されたファイルを集めたものになります。たとえば、3 枚のスライドが含まれるプレゼンテーションを、Windows デスクトップ上の [Sales Presentation] というフォルダに保存したとします。そのフォルダには、次のようなファイルが含まれることになります。
Index.htm
Sld001.htm
Sld002.htm
Sld003.htm
Tsld001.htm
Tsld002.htm
Tsld003.htm
Sld001.gif
Sld002.gif
Sld003.gif
Index.htm は、プレゼンテーションのホーム ページです。ブラウザで見ると、プレゼンテーションの名前と、氏名および会社名が表示されます。このホーム ページには、プレゼンテーションに含まれるスライドの一覧がハイパーリンクの形式で表示されるので、一覧の項目をクリックするだけで目的のスライドに移動することができます。Internet エクスプローラなどの Web ブラウザがコンピュータにセットアップされている場合は、.htm 形式のファイルを開くことができます。
Sldxxx.htm ファイルは、各スライドを Web 形式で表したものです。このファイルを使って、Sldxxx.gif (または Sldxxx.jpeg) ファイルがブラウザに読み込まれます。
Tsldxxx.htm ファイルは、スライドのテキスト部分だけを抽出したもので、スライドのタイトル、箇条書きテキスト、テキスト オブジェクト、および図形が表示されます。PowerPoint ではグラフィックスを利用してデータを表現することが多いので、テキストのみのスライドではプレゼンテーションの内容を明確に伝えられない場合があります。Web ページに変換する予定のプレゼンテーションを作成するときは、この点を考慮してください。
フォルダにあるその他の .gif ファイルは、Web ページの次ページ、前ページ、先頭ページ、およびテキストを表示するためのボタンに対応しています。これらのボタンはすべてのページで流用されるので、フォルダに 1 組みあれば十分です。テキストのみのファイルでは、これらのボタンはハイパーリンクが設定されたテキストで表されます。
プレゼンテーションに追加した発表者のノートは、Sldxxx.htm と Tsldxxx.htm の両方に表示されます。発表者のノートが Web ページに表示されないようにするには、この文書の後半にある 「Internet Assistant for PowerPoint を活用する」を参照してください。
PowerPoint for Windows 95 では、特定のスライドを非表示に設定することができます。非表示にしたスライドは、[オブジェクトの動作設定] ダイアログ ボックスで指定するか、またはショートカット メニューの [ジャンプ] - [非表示スライド] をクリックしたときにのみプレゼンテーションに表示されます。一方、HTML 形式のプレゼンテーションを作成すると、すべてのスライドに対して 1 つずつ HTML ファイルが作成されます。非表示スライドを HTML 形式のプレゼンテーションに表示されないようにするには、変換するプレゼンテーションのコピーを作成し、そこから非表示スライドを削除してから HTML ファイルに変換します。または、すべての非表示スライドをプレゼンテーションの最後に移動してから、非表示スライドの直前に新しいスライドを挿入し、以降のスライドが参照用またはバックアップ資料であることを明記します。
グループ化されたオブジェクトの中にテキストが含まれている場合、このテキストはテキストのみの形式の HTML 文書には表示されません。このような場合は、オブジェクトのグループ化を解除してから、プレゼンテーションを HTML 形式に変換すると、テキストが表示されるようになります。
スライドから作成される .gif ファイルおよび .jpg ファイルの高さと幅は、プレゼンテーション変換時に使用するディスプレイの解像度によって決まります。640×480 に設定したディスプレイで作成されるビットマップは、1024×768 に設定したディスプレイで作成されるものより小さくなります。イメージの大きさを調整するには、プレゼンテーションを変換する前に、次のようにしてディスプレイの解像度を変更しておきます。
新しいプレゼンテーションのページを作成したら、次は Web に移動して、ほかの人たちが参照できるようにします。ただし、WWW にはアクセスの制限がないので、一般に公開したくないデータがプレゼンテーションに含まれている場合は、社内の Web サーバーなどを使用します。
プロバイダなどに自分の Web サイトを持っている場合は、ファイルを自分のファイル スペースに送信しない限り、ほかの人には見ることができません。Internet Assistant では、プレゼンテーション単位でフォルダを作成し、それぞれのフォルダ名に対してハイパーリンクを設定しなければなりません。作成したプレゼンテーションのファイルはすべてこのフォルダにコピーしておきます。必要に応じて、新しく作成したフォルダやその中のファイルに対するアクセス許可を設定してください。お使いの Web サイト環境についての詳細は、各プロバイダなどにお問い合わせください。
Internet Assistant for PowerPoint は、プレゼンテーションを Web 上で使用できるようにするためのプログラムです。この機能を最大限に活用するには、元となるプレゼンテーション自体がわかりやすいものでなければなりません。また、それを HTML 形式に変換した結果にも気を配る必要があります。ここでは、Web 用のプレゼンテーションを作成するときに気を付けたいことをいくつかまとめてみました。
ここでは、HTML について多少の知識を持っている方を対象に、エクスポートするプレゼンテーションの設定 (効果や出力形式など) を任意に変更する方法を説明します。
Internet Assistant for PowerPoint をセットアップすると、PowerPoint フォルダに .tpl の拡張子を持つファイルが 2 つ追加されます。これらは HTML 形式のスライドを作成するときに使用されるテンプレート ファイルで、Image.tpl はグラフィック形式の HTML 文書、Text.tpl はテキスト形式の HTML 文書に対応しています。これらのテンプレートは標準のテキスト ファイルなので、メモ帳やワードパッドのようなテキスト エディタで開いたり編集することができます。
注意 .tpl ファイルを編集するときは、あらかじめバックアップ コピーを作成してください。編集内容が間違っていた場合に、いつでも元に戻すことができます。
実際にファイルを見るとわかりますが、.tpl ファイルは標準の HTML 文書に大変よく似ています。また、標準の HTML タグ、TITLE タグ、BODY タグ、および文書の END タグも含まれています。これらのタグの間には、スライド イメージのプレースホルダ、コントロール ボタン、およびプレゼンテーションにメモを挿入するためのプレースホルダが用意されています。
スライドのメモを除いてプレゼンテーションをエクスポートする場合は、.tpl ファイルの次の行を削除してください。
<**NOTES** <Font size=4> <STRONG> Notes:</FONT> </STRONG> <HR SIZE=3> <P> %s </P> **NOTES**> <**TEXT*** <!-- %s --> **TEXT***>
また、このセクションをより詳しく説明するなら、2 行目を次のように変更します。
<Font size=4> <STRONG> Notes prepared for the presentation:</FONT> </STRONG>
.tpl ファイルを使用するときは、次のような点を心がけてください。
セットアップ中に "エラー:ファイルをコピーできません" というメッセージが表示された場合は、次のような原因が考えられます。
エクスポート中に "ディレクトリを作成できません" というメッセージが表示された場合は、次のような原因が考えられます。
エクスポート中に "正しく保存されていないファイルがあります。既存のファイルを削除しますか?" というメッセージが表示された場合は、次のような原因が考えられます。
エクスポートしたスライドに、ほかのダイアログ ボックスの画像が表示されている場合は、次のような原因が考えられます。
エクスポートしたスライドの左下部分に、小さな四角形のゴミが表示されている場合は、次のような原因が考えられます。
エクスポートしたスライドのタイトルに半角カタカナ文字が使用されており、文字が正しく表示されない場合は、次のような原因が考えられます。
Internet Assistant for PowerPoint を削除する場合は、次の操作を行います。
Internet Assistant for PowerPoint は Independent JPEG Group の協力を得て作成されました。
5/15/96