お立ち台への道−5/8 早朝の堺カートランド、思ったよりはパドックは混雑していない様子。荷物を降ろし 自分の場所を確保する。少ししたら急に人が溢れかえって来た。車もいい隙間が有っ て近くに止められたし何もかもラッキーだったようだ。1999年SL大阪第5戦、 シリーズもいよいよ後半戦に入りました。 僕が参戦しているのは堺カートランドで行われているSL大阪というレースです。 SL大阪は近畿地区では一番大きなSLカートレースで本格的なカートレースをした いならまずはここと言えるレースです。 ますはリザルトから。   【SL大阪 第五戦】 FP−4F(20台参加)堺カートランド '99/05/09   TT 15位 (38.755秒)   予選 18位   決勝  6位 受付を一番で済ませ、手際よく荷物をまとめカートを組み立てて先頭グループで車検 を済ませます。全部を前倒しでしてしまったので後は暇な時間がやってきます。ドラ ミまで適当に時間をつぶします。いつもよりは話の長くなかったドラミが終わりいよ いよ公式練習開始。 タイヤは昨日下ろしたばかりのニュータイヤ、プラグは新品のイリジウム。僕にして は今までに無い万全の態勢をしいています。 トップで公式練習に出て行く為早い目に並びます。ずっと並んでいたのに割り込まれ て二番手になってしまいましたが大した問題でも有りません。押しがけを開始して公 式練習がいよいよスタート。 最初から飛ばす飛ばす。アクセルを二周目以降の感覚で踏んでいきます。リヤは多少 滑るもののブレークしそうな気配を見せません。これが夏場でのニュータイヤの威力 かと思わされました。よくよく思い出すと昨日の新品のタイヤを下ろす時もそうでし た。半周もすれば立派に皮むきが終わってグリップ力が出てきていました。 今までになく前輪にトランクションがかかっているのが良く分かります。2コーナー や6コーナーS字等で前輪が「くくっ」とグリップしている音がしていつでもアクセ ルを踏んでくれと言ってきます。 勿論遠慮なく踏んでいきます。2コーナー出口で潰されそうなほどのGに耐え、S字 ではテールが流れないようにハンドルさばきに細心の注意を払います。 最初は僕のタイムが電光掲示板に出ていたものの、すぐに上位陣によって消されてし まいました。上位5位以内のタイムを出していなければ自分のタイムは表示されませ ん。なんとも残酷なシステム。しかしそんな事とは関係なくいい感触のまま公式練習 は終了しました。 さてTT(タイムトライアル)です。TTは予選のグリッド順を決定する重要なもの です。一周計測で失敗は許されません。僕はこのTTが大の苦手です。 予想通り良くないタイム。このコンディションで38秒後半なんて考えられません。 4コーナーでミスは有ったものの、それが無くても38秒前半てところでしょう。こ のTT嫌いをどうにかしないと目標のお立ち台はいつまでも近づいてきてくれないと 思います。本当にどうにかしないと。 その結果得たTTの順位は15位、予選は15番手スタートです。順位は悪いけどイ ン側スタートだからいいやと思っていました。 そして予選がスタート。と言いたいのですが、計測コンピュータの不調でなかなかス タートできない。ダミーグリッドでフル装備のまま夏の太陽光線を浴びる事20分、 ようやっとスタートの合図が出ました。 気持ち良く始動してローリング開始。先頭を引っ張るのは同じチームのM山君。僕と パドックが隣で、TTが得意と自分で言う通りトップタイムを叩き出していました。 その彼が引っぱるローリングはスピードが結構速い。 FP4フレッシュマンのローリングとは思えないほど気持ちのいいローリングです。 しかし後ろがなかなかきれいには着いてこない。僕は前が詰まって行き場がなくなら ないかと心配しながら着いていきます。しかし詰まる気配は全然無く気持ちのいいロ ーリングでした。 2周ほどローリングをやり直した後、きれいに揃ってスタート。スタートではいつも 失敗し勝ちでしたが、今回はそんな事もなく集団に対してもアドバンテージを確保で きました。 第一,第二コーナーは隊列が崩れずそのまま通過、いつも何かがある第三コーナーに 差し掛かります。 イン側はいつも殺到するので今回はアウト側へ出てみる作戦に出ました。すると思っ たよりイン側が詰まってくれず後ろのカートに更にインを差される始末。これはヤバ イとインをぐっと締めに行くとそのインを差してきたカートが慌ててパニックブレー キ。僕の右サイドにヒット、そしてテールブレーク。カウンターを当てるのがわずか に遅れてしまい、そのままハーフスピン。                「やってしもた・・・」 勝負を焦らないと第2戦の時にあれだけ心に誓ったのにもう忘れていました。すぐさ ま押しがけに入ります。4コーナー入り口にもう一台ほど止まっているのが見えまし た。僕の後にももう一波乱有ったようです。 押しがけ成功で4コーナーのカートを僅差で押さえてどべから脱出。5コーナーを回 ったところで目に入ったのは集団が最終コーナーを回っている様子でした。半周以上 の遅れ。この地点でもう第5戦は終わったなと感じました。どんなに飛ばしても10 周のうちにあれに追いつくなんて不可能です。 スピンした僕ともう一台はもうどうしょうも無いなという事で、とにかく相手の一台 を押さえる事と、クリアラップを好きなだけ取れる事が約束されてしまったので最後 までめいいっぱい好きに走る事にしました。 しかし一周ほどした所で後ろのカートに刺されてしまいました。またどべの復活。つ ぶれるカートも全くなく、こりゃ決勝はどべスタートだーと泣きが入り出した頃、最 終コーナーを曲がった所で一コーナーに入っていくカートのおしりが見えだしました。               「こりゃカモれるかも・・・」 妙な期待心がうずき出しました。後6周Go! 一周ずつ確実に前のカートが近づいてきます。そして終に最終ラップ、3コーナーで テールをぴったりと捕まえました。4コーナーで仕掛けにかかります、無理でした。 無茶してこんなところで同士討ちというのもみっともない話です。下手な事は出来ま せん。 S字の立ち上がり勝負・・・だめ。そして僕が一番成功率の高い山の上ヘアピンのイ ン差し・・・これは成功。しかし予想以上に失速しててしまい相手のカートを完全に は押さえ切れていません。 そのまま二台は最終コーナーまでもつれあう事になりました。しかし最終コーナーで は半カート分前に居てしかもインを押さえている僕の方が圧倒的に有利です。そのま まあっさりと最終周の最終コーナーで一つ順位を上げる事に成功しました。その他に 一台どこかで止まっていたようで順位的には18位。僕より後ろに2人居る事になり ました。 そして決勝です。18番手スタートの僕は結果に関してはもう大きな期待なんて何も もっていません。そしてローリング開始、一発で決まったと思ったけどそうはいかな かった。決勝のローリングは少しスピードが遅かったのでプラグが心配でした。 しかし特に問題なくきれいにスタート。後ろ二台を引き連れてきれいに一列で走って いきます。今までのレースとは違い前がそれほどつまらない。自分の実力に近いペー スで走れます。それだけに追い越しは難しいですが、テンションは保てるのでこっち の方が有りがたいです。 実は決勝の走りは殆ど記憶が有りません。どう走って何台パスしたのか、どういう風 に抜いたのか。一台山の上のヘアピンでパスしたのは覚えていますが気が付けば前に 一台いて、それがなかなか追い抜けないでそのままゴールした事ぐらいです。 決勝も割と単独で走っている時間が多かったでした。同じチームの僕よりうまい人が 2コーナーで絡まれてクラッシュしているのが目に入りました。喜んでいいのか悪い のか、今回は結構な生き残りレースになったようです。予選ではあんなに事故が少な かったのに。 5周を過ぎた辺りから体が乗ってきていました。きっちりとインリフトして自分なり のベストラインで気持ちのいいラップを刻んでいきます。 そしてゴール。案外僕の後ろにカートが居たようです。10位ぐらいまでは順位を上 げたのかと思い、後でチームの人に聞いてみました。すると「10位まではいってな いんじゃないかなぁ。」と、やはり18位スタートだったので否定的な意見。 暫定結果が出ているようなので見に行くと・・・自分の名前が無い・・・と思ったら 予想外に上に有るのでびっくり。暫定発表がそのまま決定となり、僕の順位は6位で 確定となりました。 そして表彰式です。7位までは入賞でトロフィーがもらえます。シャンパンファイト のとばっちりを避けた後、トロフィーを受け取って記念撮影をしてパドックへと戻り ました。 今回は本人の自覚が全く無いまま入賞となり余り実感が無いのが正直な所です。もし 上のマシンがもう一台つぶれているか、僕がもう一台抜かせていたとしたら、自覚が 無いまま所領保管されていて驚きまくった事になっていたと思います。(SL大阪は 上位5台が車両保管されて再車検をされる) 再車検ともなるとキャブを分解し、エンジンヘッドを開けないといけないので大変で す。それを車検の人がしてくれるのではなくて、指示された部分を自分で分解しない といけないのです。自覚の無い時にそんな事になっていたら大パニックになっていた と思います。 今回は何より今まで全く出せていなかった結果が出せたので大変嬉しかったです。上 位が都合よくつぶれてくれたので少し棚ぼたでは有るのですが結果は結果です。次回 はこの結果を実力で取っていきたいと思います。 '99/08/04 WAO