首都:Quairus/カイラス
人口: 70万人ほど フォーリス東部の諸国家の中で最も人口が少なく、産業も牧畜とささやかな鉱業程度しかなかった という貧しい小王国。カウルス山脈の山岳民族のひとつであるクォールが、地の利を活かして何とか 独立を保っているという状態にある。 このクォールという民族は、長い間隣の大国コーネルの支配下にあり奴隷同然の搾取と抑圧を受け ていた。月命暦6年、コーネルに対抗するように大国ラウルが成立したため、クォールの民たちはラ ウルの力を借りて独立して、クォーダを成立させたのである。 独立時に力を借りた大国ラウルに半ば従属するような形で同盟を結んでおり、戦争勃発時の兵力の 供出と世継ぎをラウルの首都ネフィルに“留学”させる事を義務づけられている。 そういった貧しい北の小国に奇跡のように現れたのが、独立より8代目の国王シシス・クォーダ[ である。彼は自国が独立の事情から国民と王家の間に同志的意識が存在し、貧しいながら独立を保つ ためにフォーリスでも珍しく兵役を義務としているため、人口のわりに動員兵力が多い事に目を付け たのである。 シシスは兵力の一部を傭兵師団として編成、訓練し諸国に貸与する事により外貨を稼ぐ事を考案し、 実行する。当時、大部分の国家が傭兵と封建貴族の私兵に兵力の過半を頼っており、このように、ま とまった兵力を用意できるクォーダ傭兵師団は、相当に重宝な存在であった。また、シシスが戦略戦 術に天才的な能力を発揮し、常に勝利者の側に荷担した事から、彼ら傭兵師団の名は一躍クォーダ全 域に知れ渡る事になる。 シシスと傭兵師団の活躍によりクォーダはかなりの外貨を稼いだ。またシシスは諸国に赴くときに 必ず技術者たちを同行させ、軍事や鉱工業の技術を学ばせ自国に持ち帰らせていた。どうやら、彼は 自国民の犠牲を強いる傭兵国家を長い間続けるつもりはなく、鉱工業を発達させ、クォーダを産業立 国として成り立たせようと考えていたようであった。 しかし、それが達成される前にシシスは視察先の兵器廠の事故により急死し、彼の志は中途にて頓 挫してしまう。そして、彼の跡を継いだカシス・クォーダ\には、中途に終わった事業の歪みが一挙 に押し寄せる事になったのである。
クォーダ王家による王政であるが、民族独立運動の末に独立したような国であるため、封建貴族の ようなものは存在せず、国民と王家の距離が小さい事を特徴とする。こういった体制にさらにシシス が政治に軍事に強大な指導力を発揮したため、彼の下半ば挙国一致体制のような状態になっていた。 しかし、シシスの死後、彼によって国家の中枢から外されていた貴族たちが勢力を盛り返し、王家の 指導力を弱めようとしている。
常備軍 4個師団約1万5000人 第1師団/約4千人 師団長 リューダス いわゆる、クォーダ傭兵師団と呼ばれる師団がこれである。クォーダにおいては最強最大の師団と して格上の扱いを受けている。フォーリス各地で戦う事情がそうさせたか、状況により各種の装備が 用意されているなど、先駆的な操典で運営されている。シシス在世当時はシシスが師団長を兼任し、 彼の下で教育されていた大隊長クラスの若者たちが、最終的にこの戦いの師団長として活躍する。
傭兵師団である第1師団の留守を守る師団であり、常に自国を守るのは自分たちであると教育され、 それを誇りとしている師団である。師団長であるマグナス・ガルトは、シシスによる軍部の変革にも 生き残った老将であり、難局にもその豊富な経験をもって実に粘り強い用兵を行う、そしてそれがそ のまま彼が長い間手塩にかけて育てた第2師団の性格となっているのである。また、山岳国家のクォ ーダを守るという役割からか、山岳戦を特に得意としている。
第1師団のサポート的存在となっているのがこの第3師団である。第1師団同様、多種多様な戦場で の戦いの訓練を受けており、第1師団の損耗が激しいときや第1師団とは別に師団を派遣せねばならな い場合には、第1師団の代わりに傭兵師団として派遣されることになっている師団なのである。
第3師団が第1師団のサポート役であるとすれば、第4師団は第2師団の補佐役と言えるだろう。国家 の最後の守りという役割を負わされ、平時は首都カイラスの守備の任に当たっている第4師団は、ほ とんどの兵力を重装歩兵に当てられており、火器刀槍に対する防御力は全師団中でも最高を誇ってい る。
通常、近衛隊や親衛騎士団といった部隊は、典礼用、宮中の警備などを主任務とするものだが、ク ォーダの場合国王自らが戦場にあるため、第1師団にならぶほどの戦歴を誇る実戦部隊になってしま っている。確かに典礼用装備というものは存在するが、部隊の連中が右翼大隊長ラデュスを始めとし て精悍なる猛者ばかりであるので、あまりそぐわないと評判である。
別名、竜騎兵大隊。シシスの晩年に新しく編成・訓練されていた部隊である。胸甲に騎兵銃、擲弾、
馬上槍、サーベルを装備した世界では初めての装甲擲弾騎兵であり、各師団の指揮系統から独立して
おりシシス直属のクォーダ最強の戦略的打撃兵力として期待されていた。ラウルとの紛争では、その
機動力と打撃力によってラウル軍を悩ませた。後にコーネルの魔導部隊に対して悪魔的な強さを発揮
して、魔導部隊による遠隔攻撃という戦術を時代の奥へと去らしめた兵科となった。
首都:Nefi・ul/ネフィル
人口:約950万人ほど 七大国時代のひとつシリュガの崩壊後、フォーリス東部の西半分は小国家が乱立する混乱状態とな った。そのためフォーリス東部には東の大国コーネルの影響力が大であったが、それに対抗するよう な形で、乱立する小王国の内民族を同じくするベッキオ、ルフ、アネスが合併し(ネフィ神殿の盟約)、 周辺諸国を併呑して成立した国家である。フォーリスでは比較的新しいと言ってもよう国家であり、 現在では国家体制がかなり古びてきているコーネルを国の総合力を引き離しはじめていると言っても いいだろう。 ちなみに国名であるラウルの由来は、ネフィ神殿がかつてフォーリスを支配したラウム帝国の聖域 であり、ラウムの後継者であるという事を自称しているためである。
ネフィ三大王家による王政。ベッキオ・ネフィス、ルフ・ネフィス、アネル・ネフィスのネフィ神 殿の盟約国である三国の末裔が、順番に国王を出すことにより成立している連合王国である。こう書 くとまとまりに欠ける印象があるが、ネフィの盟約から二百年以上も経過している現在では、三王家 間の政治折衝は芸術の域にまで洗練され、他国に付け入る隙を与えない。それよりも問題なのが、コ ーネルに対抗するために早急に周辺国を併呑した事情により、多くの王家や貴族を滅ぼさずにそのま ま大貴族として遇したため各地に封建貴族が存在し、中央の王家があまり強権を振るえないことであ ろう。結果的にクォーダ侵略の戦争においては、クォーダの参軍エスクと宰相エディウスに徹底的に 利用される事になってしまった。
常備軍 5個軍団約12万 戦時には最大20万まで動員可能な事が確認されている。連合国家であるためか、非常に外交に長け た国家であり国際交流盛んたである。そのためクォーダには及ばないまでも、兵器の発達は非常に優 れている。また、魔導師たちも多数在籍しており、各軍団に魔導師部隊を置いて、魔導による諜報、 連絡、支援攻撃などを可能としている。今回登場する三国中もっともバランスのとれた軍事力を有す る国家と言えよう。
首都:楽土/シャンバール
人口:約1200万人 三国時代から王家の血筋を継承していると言われる、フォーリスでもっとも古い国家である。中央 アクロディアから移住してきたという由来を持つコーネルは、現在もその影響を色濃く残しており、 フォーリスにあっては独自の文化を築いている。国家の伝統として、フォーリスの他民族に対して敵 対心が強く、鎖国とまでは言わないまでも国際社会の中で閉鎖的な印象を諸国に与えている。
フォーリスでもっとも長く続いた血筋を自称する家(姓は帝室の者だけに伝えられている)による 絶対帝政を敷いている専制国家である。皇帝がそのまま、この国の国家宗教である崇火教の教主を兼 ねる祭政一致国家である。封建領主というものが存在せず、世襲貴族と官僚による中央集権色の強い 体制であり、国内の統制は非常に取れている。恐怖政治にも近いような体制を持つ国家であるが、非 常に歴史ある国家として国民は熱狂的にこれを支持している。とはいえ、古びた中央集権国家の常と して、官僚や貴族たちの腐敗は他国の理解を絶するほどに凄まじい。それでも国家として成り立って いる事で、逆にこの国の底辺の強さというものが伺える。
常備軍 5個軍約20万 宗教的ともいえる国内体制により非常に動員兵力が非常に多い反面、国際交流が少ないため、兵器 の発達が遅れている。ただし、祭政一致の最古国という事情からか、魔導師の数はフォーリスでも有 数であり、この国の魔導師部隊による遠隔攻撃力は他国に対して非常な驚異となっている。この国に 長い間圧迫されていたラウルやクォーダにおいて銃火器が発達した理由には、このような事情もある。
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