150年前の音色を再現〜スクエアピアノ
ピアノという楽器を発明したのは、イタリア人のバルトロメオ・クリストフォリ(1655〜1731)という人でした。優れたチェンバロ製作者だった彼は、チェンバロの音が強弱の変化に乏しいことに満足していませんでした。チェンバロは鳥の羽の芯で作った爪で細い弦をひっかいて出すので、それほど大きな音が出ないのです。
彼は、弦をハンマーで叩く方式を考えだし、1709年にピアノフォルテという楽器を作りました。『ピアノ』というのは『弱い』、『フォルテ』というのは『強い』という意味です。つまり音に強弱の表情をつけることができるようになったのです。
その後、さまざまな改良や工夫が施され、現在のようなグランド・ピアノやアップライト・ピアノになって行きました。
スクエアピアノは、四角いテーブル型のピアノで、18世紀の終りごろから盛んに作られ、19世紀後半、アップライト・ピアノが出現するまで、広く使われていました。
今回使用するスクエアピアノは、1840年代にドイツで作られたものです。この時期は
ピアノという楽器の性能が飛躍的に発展する過渡期で、ピアノの性能の向上とともに
ロマン派の作曲家達による曲の表現の幅も広がっていきました。