酒に杉の木の香りがほんのりとついているところが樽酒 の特徴でしょう。しかし、樽の中に酒を入れたまま長時 間置くと、木の香りが付きすぎてしまいます。
そこで、当社では、樽酒は注文を受けてから作ることに しています。ここでは、注文を受けてから出荷するまで の過程をご紹介します。
説明で使用している樽は、四斗樽(72リットル)です。
まず、樽を準備します。
樽
樽は、木の板を合わせて、竹の「たが」で締めたもので す。木の板は水分を含んで膨張し、拡がろうとします。 そこを「たが」で締め付けているために、板と板との間 がしっかりと押しつけられるので、中の酒が漏れないの です。
そこで、酒を詰める前に、樽に水を張って、十分に水を 吸わせます。これを「篭もる」と呼んでいます。篭もる 時間は樽の乾燥の程度にもよりますが、大体一日程度は 必要です。
十分に水を吸わせた樽に、酒を注ぎ、木槌で栓を叩き込
みます。
栓の余分な部分を切り取り、封印をします。
酒が漏れるような場合は、漏れる付近の「たが」と樽板
の間に木の楔を打ち込んで、「たが」を締めます。
写真ではわかりにくいですが、木槌の少し上のあたりの
「たが」に、木片が差し込まれています。この木片はく
さび状に削られていて、それを木槌で叩いています。
いよいよ、樽に菰をかけて化粧をします。
樽にそのまま菰を巻いても、貫禄がないので、詰め物を 用意します。昔は、藁を巻いたり、米俵の切れ端を巻い たりしていましたが、今は発泡スチロール製の資材があ りますので、それを使います。そして、藁で編んだ菰を 巻きます
縄で菰の口を締めます。
七カ所縄を通して締め、最後に太い縄を掛けて仕上げま す。