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瓜の粕漬け(奈良漬け)
最初にこの地方で一般的な瓜の粕漬けの方法をご紹介し、
次に、当家の独特な瓜の粕漬けの方法(生漬け)をご紹介
します。
あらかじめお断りしておきますが、瓜の漬け方は家によっ
て様々です。ここでご紹介している漬け方は、当家の漬
け方(武重富美子の漬け方)です。塩や砂糖の量なども、
何年もかけていろいろ試した経験から決めています。ま
た、最近の傾向としては、塩分をだんだん控えめにする
ように変わってきています。しかし、やはり保存食とい
う側面があるため、塩分はかなり多めに使っています。
ここで紹介する方法を参考に、お好みに合わせて、塩や
砂糖、粕の量などを調整して、わが家の味を作っていか
れてはいかがでしょうか。
塩漬けの瓜漬け(一般的な漬け方)
- 瓜はへたとお尻を切り取り、縦に半分に割り種を取
り出す(下記の「瓜の種取り」
参照)。
- ふた付きのポリバケツなどの底に軽く塩を敷く。
- 瓜の種を出したところに塩を五分目ほど入れる。上
記の容器に、切り口を上に向くようにして並べてい
く。
- 最後に押し蓋をし、重石をのせて一昼夜〜一日半程
度そのままにしておく。
- 塩漬けをしておくと、水が上がっているので、水を
捨て、布巾などで瓜の水を良くふき取る。
- 粕3.5キログラム(一袋)に砂糖1キログラムを良く混
ぜておく。
- つけ込む容器(カメやポリバケツでもよい)に粕を敷
き、その上に瓜を一段に並べ、瓜が隠れるように粕
を敷く。
- 瓜と粕とを交互に並べ、漬け終わったらラップで粕
の表面を覆い、ふたをする。上から新聞紙などを被
せて紐で縛っておくと、ショウジョウ蝿などが湧か
なくてすむ。
- 大体一月もすると食べられるようになるが、塩の量
が少な目なので、あまり長くは保たない。塩漬けの
期間を長くする(二昼夜以上)と、二月頃まではおい
しく食べられる。
生漬け(当家独特の漬け方)
これは、わが家独特の瓜の粕漬けの方法です。この方法
では、上で紹介した方法の倍近くの酒粕(練り粕)を使用
しますので、酒屋などの粕がふんだんに手に入る家でし
か出来ない方法です。
しかし、この方法で漬けると、砂糖でなく粕の甘みが充
分にしみこんで、ひと味違う瓜が出来上がります。家庭
で瓜を漬ける時に、一度試してみてはいかがでしょうか。
写真をクリックすると、数多くの写真を使った説明をご
覧になれます。ただし、写真の点数が多いために、読み
込みまでに時間がかかりますのでご注意ください。
【瓜の収穫】
瓜を収穫します。
- 瓜は、天気の良い日の早朝を選んで収穫します。こ
れは、後の工程で、瓜を天日にさらす必要があるた
めです。
- 瓜は4月下旬に畑に種を蒔きます。その年の天候に
もよりますが、大体8月の上旬から収穫できるよう
になります。瓜は大体20cm程度の大きさになったも
のを収穫します。だいたい、二週間ほどの間に四〜
五回に分けて収穫します。瓜は、日照り草と呼ばれ
るように、晴天続きの年には成長が早いので、いっ
ぺんに収穫できる数が多くなります。
- 必要な数がとれたら、それ以上は必要ないので、蔓
を取り去ってしまいます。これを「蔓上げ」と呼ん
でいます。
【瓜の種取り】
瓜を収穫したら、なるべく急いで種を取って、天日にさ
らします。
- まず、瓜を洗います。洗うといっても、瓜について
いる泥を落とし、うぶ毛を取り去るだけなので、ご
しごしと洗わずに、タオル等で軽くなでるように洗
います。
- 洗い終わった瓜は、へたとお尻の部分を切り取り、
縦に半分に割ります。
- 次に瓜の種を取り去ります。硬貨を使って、実と種
の間に切れ目を入れて、種を掘り出します。大きく
て薄い硬貨が使いやすいので、家では昔の銅貨を瓜
の種取り専用に使っています。もちろん、大きめの
ティースプーンを使っても構いません。
【瓜の天日干し】
種を取った瓜の内側に塩を塗り、天日にさらします。
- 塩を、種を取ったくぼみに塗りこみます。塩の量は、
大体、指二本をそろえた上に山盛りになる程度の量
です。
- 塩を塗った瓜は、切った面を上に並べて、日のあた
る場所に干します。大体四から五時間ほど干すと、
種を取ったくぼみに瓜から出た水が溜まります。こ
の水を捨てて、日陰に取り込み、熱を冷まします。
【瓜の生漬け】
熱が冷めた瓜を、粕に漬けます。これを「生漬け」(な
まづけ)と呼んでいます。
- カメを用意します。漬けて置く間に、瓜から水分が
でるので、それを溜めるために、カメの底には、木
の板を入れたり、お皿などを伏せて入れたりして、
水分が溜まる場所を作っておきます。
- 瓜の種を取った窪みに、塩を詰めます。窪みの六分
目くらいまで入れて構いません。塩は好みに応じて
減らしても良いのですが、あまり少ないと瓜が酸っ
ぱくなりますので、適当に加減してみてください。
- 生漬けに使う粕は、売っている練り粕をそのまま使
います。(当家の場合は、もちろん御園竹/牧水の粕
を使います)。瓜漬けをする人の中には、白くて硬
い練り粕を好む人が多いようですが、生漬けをする
時には柔らかめの粕を使った方が良いようです。
- 塩の上に、粕をたっぷり詰めます。最初は粕を載せ
る感じで置き、その後手のひらで広げてふたをする
ように押さえます。
- 粕を詰めた瓜を、カメの中に伏せます。最初はカメ
の底に粕を平らに敷き詰めておき、その上に瓜を伏
せて、隙間の無いように並べます。
- 瓜を隙間の無いように並べるためには、いったん瓜
を並べてみて、それから塩と粕を詰めた後に瓜を伏
せるとうまくいきます。瓜の大きさは同じではない
ので、パズルのようにいろいろと並べ替えてみると
良いでしょう。
- 瓜を平らに並べ終わったら、その上に塩を振り、瓜
が隠れるように、粕を平らに載せます。
- 粕の上にまた瓜を置き、これを繰り返してカメ一杯
まで漬けたら、上にラップを敷き、蓋をして目張り
をします。これで一年間冷暗所で保存します。
【前年の瓜の取り出し】
生漬けで一年保存した瓜を漬け換えます。
【瓜の漬け換え】
取り出した生漬けの瓜を、漬け換えます。
- カメの底に、木の板やお皿を伏せておくのは、生漬
けのときと同じです。その上に粕を平らに敷き詰め
ます。生漬けの時と違って、塩をふる必要はありま
せん。
- 粕の上に、瓜をきちんと並べ、その上にまた粕を敷
き詰めます。粕は少し厚めに敷いた方が良いでしょ
う。粕の量が少ないと、瓜の中の塩分が沁み出さず、
塩っぱくなります。
- 二段目以降に瓜を並べる時には、下の段と直角にな
るように並べてください。といっても、あまり厳密
にする必要はなく、向きが変わっていれば充分です。
- カメ一杯に瓜を漬け終わったら、ラップを敷いて、
蓋をきせて目張りをします。
- 漬け直して三カ月もすれば、粕の味がしみこみます。
大体次の年の夏頃まではおいしく食べられます。夏
を過ぎると、酸味が出てきてしまいます。
【目張り】
漬け終わったカメには、必ず目張りをしてください。
- これは、ショウジョウ蝿などが湧くのを防ぐためで
す。わが家では、新聞の折り込み広告の紙を短冊形
に切って、ヤマト糊を薄めたもので二重に目張りを
します。めんどうな方は、新聞紙などを二重に被せ
て、口を縛っておけば良いでしょう。ビニール袋を
被せると蒸れてしまいますので、紙の方が良いでしょ
う。
- 漬けた年月日は忘れずに張っておいた方が良いでしょ
う。
上では、瓜を漬ける段階の順序で説明をしましたが、実
際には、
- 漬け換えをして、カメを開ける。
- 瓜がとれたら順々に生漬けをしていく。
という順序になります。
著作・制作: 武重本家酒造株式会社
Copyright (c) 1995, Takeshige Honke Shuzou Corp.
初稿完成:1995年9月、最終変更:1995/09/16