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清酒の製法品質表示基準

清酒(日本酒)は、米・米麹・水・ 醸造アルコール ・糖類・調味料などを原料として造られます。一口に清 酒といっても、芸術品ともいえる大吟醸酒から、大量生 産酒までさまざまな作り方、そしてさまざまな品質の清 酒があります。この清酒の品質表示がメーカーによって まちまちですと、消費者の、ひいては業界全体の不利益 となるため、以前は、日本酒造組合中央会で清酒の製造 品質表示に関する自主基準を定めていました。そして、 平成元年に、国税庁公示第八号「清酒の製法品質表示基 準」として、表示基準が国によって規定されました。


特定名称

この清酒の製法品質表示基準の中では、様々な規定があ りますが、その中で広く知られるようになってきた表示 として、「特定名称」があります。

特定名称には、吟醸酒、純米酒、本醸造酒があります。

本醸造酒

米・米麹・水のほかに、味の調節のために白米の重量の 十分の一以下の 醸造アルコール が添加してある清酒です(概算で、1,800mlあたり約70ml 以下)。甘辛は中庸で後味がすっきりしている点が特徴 です。

お好みにあわせて、室温のまま、またはお燗をしてお飲 みください。

弊社の製品: 牧水本醸造牧水生もと本醸造

純米酒

米・米麹・水のみから造られ、醸造アルコールをいっさ い添加していない清酒です。味はやや辛く、濃醇です。

室温のまま、またはぬる燗でお飲みください。

弊社の製品: 牧水生もと純米

吟醸酒

米糠を四割以上削りとった白米を用い、低温で時間をか けて醸造した清酒です。その中でも米糠を五割以上削り 取った白米を使ったものは「大吟醸」と呼ばれます。果 物のような香りと、淡麗ですっきりとした上品さが特徴 です。

できれば冷やして、または室温のままお飲みください。

弊社の製品: 酔牧水大吟醸御園竹大吟醸牧水純米吟醸

特定名称のまとめ

精米歩合、アルコール添加等による特定名称の分類を下 の表で示します。以下では糖類、調味料は添加していな いものとして話を進めます。

+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|     |アルコール             |
+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−−+
|精米歩合 |無添加  |規定内添加|規定以上添加|
+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−−+
|50%以下|純米大吟醸|大吟醸  |普通酒   |
|60%以下|純米吟醸 |吟醸   |普通酒   |
|70%以下|純米   |本醸造  |普通酒   |
|70%超 |普通酒  |普通酒  |普通酒   |
+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−−+

次の点に注意しておいてください。


生酒、生貯蔵酒、生詰酒

一昔前までは、清酒は燗をして飲むものであり、冷やで 飲むことはあまり行儀のよいものではない、という感覚 が一般的でした。しかし、最近では、冷たくして飲んで 美味しい清酒に人気が出ています。そういった清酒の代 表が生酒です。

日本酒は古来より、殺菌をし、また熟成を促進するため に「火入れ」と呼ぶ加熱処理が行われています。通常の 清酒は、製造後と出荷(瓶詰め)直前の計2回、火入れが 行われています。

生酒は、この「火入れ」を省略した清酒で、表示基準で は、「生酒」、「生貯蔵酒」という表示が定義されてい ます。表示基準では定義されていませんが、生酒の一種 として「生詰酒」という言葉もあります。

清酒は一般的に、火入れ(加熱処理)をすると熟成が進み ます。火入れを省略することで、搾り立ての風味がその まま保存されます。これが生酒の特徴です。

生酒

火入れを一切しない清酒が生酒です。メーカーでは、通 常は冷蔵庫(0℃)程度で貯蔵しているため、熟成が進ま ず、搾り立ての風味がそのまま残っていて、すっきりと した軽い口当たりが特徴です。場合によって、「生生 (なまなま)」、「本生」などと表示することもあります。

室温で保存すると、「生老香(なまひねか)」と呼ばれる 香りが出てきます。必ず冷蔵庫で保存してください。

弊社の製品: 牧水本醸造生酒

生貯蔵酒

製造後の火入れをせずに、冷蔵庫で貯蔵した生酒を、出 荷直前に一回だけ火入れを行ったものが生貯蔵酒です。 略して「生貯」と呼ぶ場合もあります。「先生(さきな ま)」と呼ぶ人もいます。

加熱殺菌をしてありますので、室温での保存も可能です が、入手後はできるだけ冷蔵庫で保存し、風味が損なわ れないうちにお飲みください。

表示基準(の実施要綱)では、生酒と区別がつくように、 「生」と「貯蔵」の文字の大きさの比が3.5:1 以下とす るように(「生」が大きくて「貯蔵」が小さすぎないよ うに)、定められています。

弊社の製品: 牧水アルプス吟醸生貯

生詰(なまづめ)

この言葉は表示基準では定義されていませんが、比較的 良く使われる言葉です。

製造後に一度火入れをし、後はいっさい火入れをせずに 出荷される清酒です。

メーカーにとっては、「生酒」に較べて、「生貯蔵酒」 では出荷後の商品の安全が、「生詰」では貯蔵時の商品 の安全が確保されるという利点があります。どのメーカー でも、味や商品の安全を勘案して、生酒を出荷していま す。


特定名称以外の表示基準

特定名称のほかにも、様々な品質表示基準が定められて います。その中のいくつかを簡単に紹介します。

原酒

アルコール分の調整をせずに、醸造したままの状態で出 荷する清酒です(表示基準によると、1%以内のアルコー ル分の調整となっています)。ほとんどの原酒はアルコー ル分が 18% 以上で、口当たりがきついため味は辛く感 じます。冷やして、または室温のままでお飲みください。

生一本

単一の製造場のみで醸造した純米酒を「生一本」と呼ん で良いことになっています。

これは、他の蔵から買った清酒(「桶買い」と言います) ではなく、自社の蔵で作った清酒であることを示すとき に良く使われます。

当社ではすべて自社で清酒を製造していますので、当社 の純米酒は「生一本」と呼んでも良いのですが、このこ とを特に強調する必要もないので「生一本」とは表示し ていません。


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著作・制作: 武重本家酒造株式会社
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初稿完成:1995年4月、最終変更:1995/08/06