加賀・越中・越後と続く越の国の玄聞、越前の 南越盆地の中心地・武生市である。北陸道の要衡の地として奈良時代には越前の国府が 置かれた所だけに、政庁が甍を競い国分寺・国分尼寺の堂塔がそびえて、近郷近在より 生産された物資の集散地としても活況を呈していたであろう。平安時代には、源氏物譜 の作者紫式部も越前の守護であった父・藤原為時にともなわれてこの土地に若き日を過 ごした。この南越盆地と呼ばれる一帯が、都にも比較的近いにも蘭わらず都の文化圏よ り離れていたのは、険阻な山脈がそれぞれを妨げていたからか。しかし、それが故に豊 かな文化がひっそりと守り育てられていたのである。
さて、この武生より東に二里程の 所に今立大滝がある。世界に誇る越前租紙の里である。この地は、水の美しきと原料の 豊宮さとで紙すきの業に適していた。古代、中国や朝鮮より渡ってきた帰化人達と村人 達が共に紙漉きの業に励んだのである。冷たく澄んだ水で、一枚一枚丹念に漉きあげる 越前和紙は味わい深く、擾かく、日本人の美感党と繊細な技が生んだ芸術品である。こ の伝統文化を後世に継承していこうと、紙漉きの歴史を知ることの出来る和紙の里会館 や、手漉和紙の実習が出釆るパピルス館等を備えて、今立町を訪れる方々に租紙のすば らしさを楽しみながら理解して頂いております。又、春には花、夏には海水浴、秋には 紅葉、冬にはスキーといったように一年を通じて、ちょっと足をのばせば豊かな自然と 触れ合うことの出来る、変化に富んだ所でもあります。
緑の深い谷の間にて、丹念に精 魂込めて酒造りに励んでおりますので、福井にお立ち寄りの際にば、気軽に当・寿喜娘 酒造をお尋ねくださいませ。