柏露酒造の起源はおよそ二百五十年前、当時の山崎家が長岡にて越中屋の屋号で
造り酒屋を営業していた江戸中期宝暦年間にさかのぼります。そして時を経て山崎
又七の時代(明治十五年)に、長岡城主牧野家の伝統の酒造蔵を引き受けました。
これは十二代藩主牧野忠訓が戊辰戦争後に疲弊した旧藩の財政立て直しのために興
したもの。このとき、牧野家ゆかりの三ツ柏の紋どころを使用して「柏露」と命名
したことから、その名は現在にまで受け継がれてきました。
明治中期以降、山崎家は栄え、信濃川沿いの蔵王町に一万二千坪、三千石の大工
場をもつ県内有数の酒蔵に発展。科学的醸造法の研究にもいち早く着手して、数多
くの技術的成果を収めました。ところが昭和二十年八月の空襲により、店舗、工場
ともに焼失という不幸に遭遇。そして戦後復興とともに、昭和三十年に柏露酒造と
して酒づくりを再開しました。
このように、さまざまな歴史的ドラマに出会いながらも、脈々と淡麗な味を継承
してきた「柏露」。当社は、その伝統と技術を誇りにしつつ、銘酒「柏露」の新し
い時代を切り拓いていきたいと考えています。
清澄な信濃伏流水と越後平野の良質米、そして卓越した越後杜氏の技がおりなす、
酒造りの三重奏。
降り積もる雪が 空気を清め、長岡の風土が水を磨く。そして実り豊かな良質米を、
越後杜氏が精魂込めて極上の銘酒に育て上げる―。
柏露酒造は二百五十年の歴史と伝統を継承しながら、日本の代表的食文化ともいえる
「日本酒」を造りつづけます。