グラント家の由来
ウイスキー造りの歴史と伝統、精神を受け継ぎ、世界 NO.1のモルトウイスキーを造
りだし高い評価を得ているグレンフィディック蒸溜所は由緒正しい家系より誕生しました。
ウイリアム・グラント&サンズ社の創立者であるウイリアム・グラント氏はスコットラン
ドの同族軍が敗走した1746年のカロデンムー アの戦いで生き残ったハイランダー魂
を持つ勇者アレキサンダー・グラント氏の孫にあたります。先祖はアングロ・ノルマン系
で、ノルマン・フレンチの Ie Grande に由来する性と聞きます。また、言い伝えではグ
ラント家の開祖は1435年のダンカン・グラントに始まり、この地域で最も新しいクラ
ンであったそうです。開祖から550年以上 経た家系のグラント家であるからにして、
ウイスキー造りを100年以上も創業当時と変わらず、伝統を重んじることが出来るので
はないでしょうか。
1887年12月25日にグレンフィディック誕生
グレンフィディック蒸溜所の創始者ウイリアム・グラント氏(1839年ー1923年)
は、ダフタウンの学校を卒業後、まず皮革工場のマネージャーに就職しました。その後一
度戦争に出征し、無事に戻ってから念願のモルトウイスキー製造を目指すこととなりまし
た。1866年よりモートラック蒸溜所(スペイサイド地区)でモルトウイスキー製造の
ノウハウを20年間学び若干48歳で独立を決心しました。そこで、1887年初頭にカ
ーデュー蒸溜所(スペイサイド地区)の古い蒸溜器を120ポンドで購入し、家族の協力
の元、1887年のクリスマス・デイにグレンフィディックの最初の一滴を誕生させまし
た。それから5年後、1892年には早くも由緒正しい土地「バルベニー城」の跡に2つ
目の蒸溜所をスタートさせました。
残り少ないファミリーカンパニー
その後、家族の協力のもと順調に発展し、1903年には法人化となり拡大の道を歩始め
ましたが、悲しいことに1923年には創始者のウイリアム・グラント氏が83才で亡く
なってしまいました。しかし、家族の絆の強いグラント家は長男のジョン・グラント氏
(1860年ー1923年)を指名しました。ファミリーの結束も揺るぐことなく順調な
発展をとげました。1955年には蒸溜設備を倍増(現在、スコットランド最大の蒸溜所)、
1962年になるとローランド地方に「グレーンウイスキー蒸溜所」を建設、1990年
にはスペイサイドに第三のモルト蒸溜所「キニンヴィー蒸溜所」をスタートさせました。
現在では純スコットランド系企業の中で最大にまで成長しています。
世界で一番飲まれているシングルモルトウイスキー
グレンフィディック蒸溜所は1960年を境に他の蒸溜所よりいち早く世界中のウイス
キー愛好家にグレンフィディック・モルトウイスキーの提案を開始しました。その提案と
は、これまでの、強すぎる個性を全面に出していたモルトウイスキーとは違い、グレンフ
ィディック蒸溜所が経験と実績により独自に開発した熟成プロセス( 混合熟成方式 ) な
どにより、スムース&マイルドなグレンフィディック・テイストは一般消費者に受け入ら
れると確信し、莫大な資本を広告と言うマスメディアに投入し抜群な認知度を得ることと
なりました。同時に、世界の免税市場にも逸早く提案してその地位を不動のものとしまし
た。
日本におけるグレンフィディックの足跡
1970年の日本市場はどうだったのでしょう。当時の資料を見てみますと、とても面
白いことがわかります。まず、内容に対する表記ですが、シングルまたはピュアと言った
表現は使われていなく、ストレート・モルトとラベルに記載されています。熟成は8年表
示でした。次に、「本品は原料の中でも特に良質なモルトウイスキーだけを使った特別な
ウイスキーです。・・・・・・・全く新しいタイプのスコッチと呼ばれ、・・・・・・。
グレンフィディック醸造所でつくられたモルトウイスキーの原酒を同じ泉に湧き出た水に
合わせてつくる純グレンフィディックウイスキーです。」と解説しています。
また1974年の資料になると、やっとグレンフィディックのラベルにPURE MALT(ピ
ュアモルト)と記載されていました。熟成は8年から10年表示に変わっていました。解
説には「100%大麦から造られたグレンフィディックモルトウイスキー・・・」とあり、
やっとモルトウイスキーが理解、認知されてきたことが伺えます。
尚、いろいろな資料を調べてみましたら、シングルモルトと記載され、また表現され始
めたのは1983〜4年ごろと推定されます。当時から現在にわたりグレンフディックは
ピュアモルトとシングルモルトの両方をラベルに記載しています。さらに面白いことに1
980年の資料ではグレンフィディック10年と熟成年数が表示されていましたが、19
82〜3年の資料では熟成年数の表示はなくなっています。どう言うことかと言いますと、
1970年代始めの販売推測とは大きくかけ離れたグレンフィディック・ブームが198
0年をすぎたあたりから起こり、10年表示ができなくなったと言うことがわかります。
現在のグレンフィディックは8年前後の熟成と思ってください。カジュアルに楽しめるモ
ルトウイスキーに仕上がっています。
表現の移り変わり
ウイスキーモモルトウイスキーモオールモルトウイスキーモ
ストレート・モルトウイスキーモ
モピュア・モルトウイスキーモシングル・モルトウイスキー
思い出
私自身がモルトウイスキーにのめり込む最初のきっかけは、1980年ごろにお客様よ
り英国土産(勉強の意味も含めて)として頂戴した「グレンフィディック」によってでし
た。それまでに飲んでいたウイスキーのテイストとはかけ離れて違い、まるでエキスを飲
んでいるような、「純粋」と言う言葉が似合うウイスキーであった記憶が強く焼きついて
います。
昭和初期のボトル・イメージを再現
1991年には、1930年代のボトル・カラーであるブラック・ボトルを採用し、
「グレンフディック・クラシック」と「同エクセレンス18年」が華やかに誕生しました。
所謂今までのグレンフディックをリニューアルしただけではなく、グレンフディックの威
信をかけた新しいテイストを造り上げています。それは、我々のウイスキーは退屈ではな
いとと語りかけているような構成となっており、簡単に言うと、酒前、酒中、酒後とグレ
ンフィディック・シリーズで思う存分モルトウイスキー・テイストを楽しめる商品設計と
なっています。
同時に、蒸溜所として名誉且つ貴重な50年熟成のスーパー・レア・グレンフィディッ
クも発売しました。総瓶詰めが500本で日本には105本の限定で発売されました。
尚、蒸溜所名、ブランド名でもあるグレンフディックは「鹿の谷」を意味するゲール語
からきており、同時にフィディク川の渓谷に面した場所に建つ蒸溜所と言う意味も含んで
います。