モルトウイスキーの達人への道
[楽しむ飲み方編]
情報
まず、あなたが飲もう買おうとしている、或いは所有しているモルトウイスキーが、いつ、どこで、どのよう
に造られたのか、また蒸溜年、瓶詰め年や熟成年数、などの情報をつかみ、モルトウイスキーの封印を解いて
ください。古ければいいと言うものではありません。人間で例えるならば、20才でも素晴しい人もいますし、
50才でもダメな人もいます。モルトウイスキーも同じなのです。モルトウイスキー(人)も、それぞれピーク
が あり、そのピークに瓶詰されたものだけが醸し出す素晴しさがあります。また、あなたがモルトウイスキー
を楽しむ際のコンデションによっても感じ方は違うはずです。
道具
そこで、いざ開封して飲む場合、普通は小型のウイスキー・ストレート・グラスを使うことが多いのではない
かと思います。しかし、ここでモルトウイスキーを楽しむ鉄人となろうとしている方々は一考してください。
また、鉄人まではと思う方も一考してください。なぜなら、モルトウイスキーの身上は色と香りだからです。
では、その素晴しい色と香りを優雅に楽しむには大型のオールド・ファッションド・グラスやあまり膨らみの
無い大型ワイン・グラスをご用意ください。。また、グラスはなるべく色がなく透明で、きれいに洗い、丁寧
に磨き上げたものを使ってください。
香りと色 そして味わい
まず、モルトウイスキーをお気に入りのクリスタル・グラスに注いでください。そこで、すぐに鼻を近づけた
り飲んだりしてはいけません。なぜなら、先ほど封印を解かれたモルトウイスキーは、私達に楽しみ喜んでも
らおうと長い間窮屈にビンの中で休眠していたのです。しばし、モルトウイスキーを空気と戯れ遊ばせてくだ
さい。するとみるみるうちにモルトウイスキーは元気を回復して、オーケストラのように香りが奏で始めます。
さあ、ここまで来れば飲み頃です。琥珀色と形容される、黄金の液体は 空気と馴染みモルトウイスキーが持つ
本来の香りが目を覚ましました。しかし、全てのモルトウイスキーがどれも同じように素晴しい香りを奏でる
とは限りません。モルトウイスキーは長期間の熟成に耐え、さらに熟成のピークを迎えたものだけが得る神秘
的な香りと味わいがあるのです。もう充分にあなたの味覚を刺激する香りが想像力をかきたてているはずです。
口に含んだモルトウイスキーはあなたの舌を刺激して喉の奥へと流れていくはずです。すると、モルトウイス
キーが再び戻って来るのがわかるはずです。飲みながら、幾度となく素晴しい味わいと香りを十分に楽しめる
はずです。
余韻
最後に、ストレート(ニート)で楽しんだ後は飲み干したグラスをすぐにさげるようなことはしないでくださ
い。なぜならば、その飲み干したグラスいっぱいにモルトウイスキーの素晴らしい香りが、私達に最後の挨拶
をするために待機しています。グラスの内側より「私を好きになってくれましたか」と語りかけているように。
保管・管理
モルトは、特に熟成期間の長いモルトは封を開けてからの保管、保存に注意してください。なぜならば、モル
トは生きている液体なので、空気と遊ばせ過ぎると香り、風味とも日々低下します。また、封印を解く前のモ
ルトは、ワインとは違い横に寝かせず立てて保存しましょう。そのように保存すれば10年でも20年でもモ
ルトウイスキーは生き続けてくれます。
最後に
モルト・ウイスキー(お酒全般)は酔うためだけの材料ではありません。コミニュケーションを取る最良の友
ともなるものです。