葡萄が熟したら収穫です。雨が降ったりすると実の水分が多くなったりしますので、天候と葡萄の熟し具合をを見極めながら最高のタイミングを探り収穫を開始します。勿論、葡萄は赤葡萄ですね。次は選果です。痛んだ葡萄、未熟な葡萄を取り除きます。そして破砕、葡萄の実を潰して発酵しやすくする作業ですが、この時、果柄(実を支えている柄)や種を潰さないようにする事が重要です(苦みとか余計な味や香りが混ざってしまいます)。ここで少量のメタ重亜硫酸カリを加えます。これは有害なバクテリア、カビなどの殺菌ないしは生育抑制と果汁の酸化防止が主な目的です。無水亜硫酸を使う場合もあります。買ってきたワインを良く見ると、小さなシールが張ってあってそこに「酸化防止剤(亜硫酸塩)含有」といった記載があると思います。
そして、いよいよ一次発酵です。酵母菌の働きにより果汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されます。ここで重要なことは赤葡萄の葡萄の皮と果汁を一緒にして発酵を行うことです。葡萄の皮や種に含まれている色素やタンニンなどがこの過程で溶け込んでいきます。発酵が進むと炭酸ガスが発生し、また液温も高くなってきます。葡萄の皮が炭酸ガスで押し上げられて発酵槽の上に浮いてきて帽子のようになります(果帽といいます)。液温の調整や色付けの促進などの為に一日に数回、果帽を果汁のなかに押し戻したり果汁を攪拌したりしなければなりません。
そしてプレス、発酵した果汁と皮、果肉などから果汁のみを絞り出す作業です。プレスされた果汁はタンクに移され第2次発酵に入ります。第2次発酵はマロラクティック発酵(乳酸発酵)とも呼ばれ、果汁中のリンゴ酸が乳酸菌の働きにより乳酸と炭酸ガスに分解されます。リンゴ酸と乳酸は酸味が倍ほど違うため、乳酸発酵を行うことによりワインはマイルドな味わいに変わります。
二次発酵が終了した果汁は静置しておくと徐々に上澄みと沈殿物(オリ)に分かれていきます。このオリは果実由来の固形物や酵母菌体そのものなどからできています。このオリと上澄みを分離する作業をオリ引きと言います。オリ引きの終わったワインは樽に移されます(日常的なワインでは樽を使わないものもあります)。樽は樫の木で作られた物を使用します。樽貯蔵の間にタンニンが柔らかくなり味わいもはっきりしてきます。また樽に含まれている成分がワインに溶けだし樽の香りや味わいの変化などを与えワインをより複雑なものにしてゆきます。樽貯蔵は1〜2年、高級ワインでは3年以上置かれるものもあります。
樽貯蔵が終わると再度オリ引きを行い、濾過して瓶詰めを行います。高級ワインでは濾過をしない物もあります。瓶詰めが終わったワインは瓶熟成に入り、出荷の日を待つことになります。
先ず収穫です。赤ワインと違うのは白葡萄を収穫することと、白葡萄の熟す時期が赤葡萄と違うため収穫の時期が違うくらいであとは同じです。そして選果、破砕は赤ワインと同じです。赤ワインと違うのは破砕の後、プレスしてここで葡萄の皮や果肉などと果汁を分離してしまうことです。この作業によって色の付かない白ワインとなるのです。そしてアルコール発酵を行います。最近はフレッシュ&フルーティな味が好まれるため低温で発酵させる方法も盛んです。一方、マイルドな味に仕上げたい場合は続いて乳酸発酵を行う場合もあります(ブルゴーニュの白ワインに良く見られます)。発酵が終了すると、オリ引きを行います。白ワインでも果汁のなかに懸濁物質を含んでいますので、オリを沈降させて上澄みだけを取り出します。このあと樽熟成を行うワインと、直ぐに瓶詰してしまうワインとに分かれます。ボディのある重厚なタイプに仕上げる場合は樽熟成を行う場合が多いと言えます。一方、フレッシュ&フルーティなワインはそのまま瓶詰めして出荷します。
造り方は赤ワインと良く似ています。そして使う葡萄は赤い葡萄です。葡萄を潰すところまでは赤ワインと同じですが、この後、赤ワインが葡萄の皮と長い間接触させて十分に色をつけるのに対し、ロゼワインでは短時間で終了させ、プレスして葡萄の皮を分離してしまいます。この短時間でついた薄い赤がロゼワインの色です。プレスしたあとは白ワインと同じような工程で瓶詰め・出荷が行われます。