当社の方針は、「地元で愛される酒を造ること」に尽き ます。
幸いなことに、戦中・戦後の酒の統制時代、配給時代、 を通じて酒造を休むことなく続けてこられましたので、 長野県の佐久から上田の地方にかけては昔からの愛飲家 が多く、現在でも当社の製品を愛して下さるお客様がか なりいらっしゃいます。
当社も、このお客様の期待に応えるべく、良い製品を出 荷することを社長の基本方針としています。
現在の社長が約40年近く前に家業を継いだとき、このよ うなことを考えていました。
当時はこの地方は農業従事者が圧倒的に多かっ た。当時の酒の値段は、一日の日給でやっと 酒が一本買えるか買えないか、というもので、 今の酒の値段に較べて非常に高いものだった。だから、一日の重労働を終えて一杯の酒を飲 んだときに、たった一杯で「ああ旨かった」 と満足できる酒を造りたかった。
たった一杯で満足できる酒は甘口だろう。だ から御園竹は甘口で、味のある酒にしようと 思った。
今は、酒の値段も(相対的に)下がり、農業をやっている 人も少なくなってきました。その結果、いまでは御園竹 も甘口ではなく、嗜好の変化に応じて平均的な味になっ てきました。その様に、時代の変化に応ずるべく製造・ 出荷をしておりますが、酒に対する基本理念はいまでも 変わっていません。
当社の特徴は、創業以来一年も休むことなく造り続けてきた 「生もと(きもと)造り」 です。 生もと造りは、昔ながらの製法を使い、時間をかけてじっ くりと仕込む方法です。現在ではこの技術を継承してい る蔵は全国でも数十社しかないと言われています。現在 の通常の仕込み方法では四週間ほどで出来てしまう酒を 八週間程度かけてじっくりと仕込んでいます。「生もと 造り」によって作られた酒は、いくら飲んでも飽きがこ ない、いわゆる「腰の強いさけ」です。
当社が「生もと造り」を続けているのは、二つの理由が 有ります。
一つは、「御園竹の味」を残したいという想い、もう一 つは、「生もと造り」という伝統技術を保存したいとい う想いからです。
経済的な理由(主に人手の問題)から、すべての酒を「生 もと造り」で造ることはしていませんが、この酒は、レ ギュラー酒にも混和され、地元消費者の好む味を作り上 げています。
伝統技術の保存という点では、本当の「生もと造り」に は欠かせない木の暖気樽(だきだる)、半切桶(はんぎり おけ)を絶やさぬよう、樽や桶の材料となる木材を社長 自ら買い付け、何年も枯らしておき、造りの季節には専 門の桶職人を常駐させて、修理・作製を行っています。
「生もと造り」にこだわる当社の造りについて、周囲で は、社長の道楽とも言われていますが、伝統を守り、味 を守ることを、今後もかたくなまでに続けて行きたいと 考えています。
「生もと造り」の商品としては、 「牧水生もと本醸造 」、 「牧水生もと純米 」 があります。生もとならではの味のふくらみをぜひ一度 お試しください。