編集部
- まず、御二人の仕事の内容を聞きたいのですが。Tim氏のCEOという肩書きは分かり易いのですが、Jerry氏のChief Yahooという肩書きはいったい何をやる役職なのですか?
- Jerry Yang
- いや、特に意味ないんだけど(笑)。最初、名刺を作るときには、今後どういう展開になるかわからなかったから、社長とかCEOではなくて、ヤフーという名前を前面に出した肩書きにしたんだ。こうした謎な肩書きにすると、会社で何もやらなくても誰にも文句言われないしね。
- Tim Koogle
- そうそう、だれも文句言わないし(笑)。
- 編集部
- Yahoo!を始めた動機は?
- Jerry Yang
- 最初は趣味で始めたんだ。面白いコンテンツが出てきた時期だったことと、インターネット上の情報の流れを調査するのに興味を持ったんだ。確かに、コンピューター関係の学科の学生だったし、ロボットなんかの仕掛けも面白かったんだけど、それだけじゃなくて、情報のフローにとっても興味があったんだ。結局ロボットは人が情報を整理するための手助けでしかないからね。
- 編集部
- Yahoo!がその趣味から会社になるほどに成功したのはなぜだと思いますか?
Jerry Yang
- 成功のポイントは、まず、きちんと人手を使って組織だってやったのは、僕たちだけだったってこと。それと、会社になる前に無償で1年以上こうした情報の蓄積をやりつづける馬鹿は、僕たちぐらいしかいなかったってことだね。続けたってことに勝因の一つがあったと思う。
もちろん、ラッキーだったという側面もあると思うよ。すごくタイミングがよかった。もっと早い時期に始めてたら、インターネット上のコンテンツが数少なく、注目されなかっただろうし、もっと遅かったら、他の会社が先にやってただろうね。
そういう意味で今のタイミングで日本で新事業を始められることは、すごく意味があると思いるんだ。今は日本でも、どんどんコンテンツが増えている時だからね。
- 編集部
- 米国ではLYCOSやInfoSeekなどのライバルが登場してますが、Yahoo!が優位に立てている理由は何だと思いますか?
- Tim Koogle
- なぜって、Yahoo!が一番いいからさ!いや、まじめに答えると、まず、Yahoo!が一番早く始めたってことが重要なポイントだったと思います。次に、LYCOSやInfoSeekなどの他社はサーチエンジン、つまりテキストの検索機能を中心にサービスを始めましたが、Yahoo!はディレクトリサービス、つまり情報を主題やカテゴリー毎に整理して構築するサービスから始めたって点が違います。インターネット上の情報について、自分が何をどう探したいのかよく分からないという多くの人にとって、主題やカテゴリー毎のサービスというのは検索しやすくアピール度が高かったのだと思います。
そして、第三の点は、多くの人がYahoo!の楽しい雰囲気を気に入ってくれた、これが最終的な勝因だったと考えています。
- Jerry Yang
- 今となっては、競合他社もディレクトリサービスに力を入れているけど、既に僕たちは先を考えているんだ。インターネットの情報を、整理して提供するには、技術に頼ってばかりではだめで、人間的な側面が重要なんだ。他社は今のところ、技術のみを重要と思っている。
我々はソフトバンクやZiff-Davisと提携して、さらに差を付けるつもりなんだ。
- 編集部
- そろそろ日本でのサービスについて伺いたいのですが、最初に提供される日本でのサービスはどのようなものなのですか?
- Jerry Yang
- 僕たちが目指しているのは、単にWebサイトを日本に持ってくることではなくて、日本独自の、インターネットコミュニティーをつくることにある。そのために、ヤフーを情報ガイドとして使ってもらえるようにしていきたい。それが会社の最終目標なんだ。
最初のステップとして、米国のYahoo!のカテゴリーだけを日本語化してその上に、日本のコンテンツの情報を集めて整理していく予定にしてる。Yahoo! Japanとしては、独自の特色を打ち出してければと考えている。日本のインターネットユーザーとアメリカのユーザーは違うと思っているので、日本とアメリカでは違う構造をもつディレクトリサービスが必要だと考えているんだ。
- 編集部
- 確認すると米国サーバーの内容は翻訳しないってことですね
- Tim Koogle
- そうですね。第一段階では翻訳はしません。だけど、日本でサービスを提供していく中でいろんなニーズが出てくると思っています。それに応える形で、第二、第三の段階に進んでいきたいと考えています。日本語での検索なども提供していく予定です。
- 編集部
- 単語分けなど英語だと簡単な検索も日本語では大変だったりしますが、その辺りの対策はどうされていますか?
- Jerry Yang
- まだそれについての明快な技術的解決法はみつかってないんだ。なんか、いい方法を知っていたら教えてもらいたいくらいさ。もちろん、弊社と提携しているOPENTEXT社が日商岩井を通して発売している日本語対応のサーチエンジンもあるんだけど、それを使うかどうかもまだ決めてないんだ。一応、最初はそれを使おうとは考えているけどね。
Timからさっき、段階についての話があったけど、サーチエンジンの選択はその段階の中でも重要な要素なんだ。それが決まらないと、フルテキストの日本語の検索もできないからね。
- 編集部
- 米国でYahoo! Internet Lifeなどオンラインから紙メディア進出される御予定と聞きましたが、紙メディアについてどうお考えですか?
- Tim Koogle
- 私たちは、オンラインでのビジネスを経営の主体と考えており、紙メディアで儲けようとは思っていません。世の中のほとんどの人は、インターネットについてよく知らないわけですが、そういう人をインターネットの世界へ導く為の手段として、紙メディアを考えています。
- 編集部
- では、紙メディアを積極的にやっていくつもりはないのですか?
- Jerry Yang
- いいや。僕たちはZiff-Davisとの提携の前から、「Yahoo! Un Pluged」を発行してて、世間の大多数であるインターネットについてよく知らない人たちにアピールする方法を作ろうとしていたんだ。僕たちの戦略として紙メディアには、まだインターネットを知らないオフラインの人々をオンラインに導いてくれるという重要な役割を果たしてもらいたいんだ。
- 編集部
- 提携先になぜソフトバンク選んだのですか?
Tim Koogle
- 提携前にJerry達と話した中で、自社だけで全てをカバーするのは無理だという話があり、技術やコンテンツ、そして流通についての提携が必要であると考えたのです。また、インターネットを新たに始める人が最初に入るのは、コンピューターやネットワークの世界であるとの前提から考えると、ソフトバンクやジフは、コンピューターやネットワークの出版分野での知名度も高く、コンテンツでのパートナーシップとしては最高であると判断したのです。
- 編集部
- 最後にYahoo!の将来像についてお話ください。
- Tim Koogle
- 我々の目的はひとつのメディアを別のメディアに置き換えることではありません。インターネットというのは、追加的なメディアであると考えています。新聞も雑誌もテレビも今後も継続していくと思います。インターネットというのは、ローカルでしか提供できなかったものが全世界に提供できるところ、そして普通のメディアでは、情報の発信などはできない人がインターネットではできるというところによさがあると思います。将来のビジョンとしては、毎日必要な情報や例えば映画なんかの、インタラクティブな情報提供ができるということなど、他のメディアの代替でないインターネットならではの価値を考えていくつもりです。ブランド名を利用した、機能とコンテンツの充実も考えていきます。
- 編集部
- 今までのように他のサーバーへのリンク情報を提供し続けるのですか?それとも、今ロイターとやられているように自社でコンテンツを提供していくのですか?
- Jerry Yang
- さっき、僕は情報の流れに興味があってヤフーを始めたと言ったけど、僕らにとって、誰がコンテンツの紹介をするかとか誰が情報の提供者かというのはどうでもいいんだ。要は、どうしたら便利で使える情報を提供できるかということなんだ。
ニュースなんかはコンテンツの入れ替わりか激しく、紹介しようにも紹介した先から内容が変わってしまう。だから、ニュースに関してはロイターなんかと協力してYahoo!自身で情報を提供するようにしたんだ。
もちろん、他の場合は他のサーバーを紹介する方法を取るかもしれないけどね。結局、どういう形で情報が提供されるかは問題じゃなく、どうやったら必要時に、必要な情報が入手できるかという、情報の流れが重要なんだ。
- 編集部
- 必要な情報の入り口としてYahoo!がある。つまり、多くのユーザーがブラウザーのホームディレクトリを「www.yahoo.com」に設定することを目指していらっしゃるのですか?
- Tim Koogle&Jerry Yang
- 最終的にそう考えています。もちろん日本でもね。
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