1.連続式蒸溜器の発明
第一の事柄は1831年(江戸時代・天保2年)にイーニアス・コフィーによってパテント・スチル(連続式蒸
溜器。別名:コフィー・スチル)が発明されたことです。これによって、従来のポット・スチル(単式蒸溜器)
で造られる個性豊かなモルト・ウイスキーとはひと味違う、より円やかでスムース、且つ効率的なウイスキー
原酒であるグレーン・ウイスキー(グレーン原酒)が誕生しました。グレーン・ウイスキーの誕生とともに、
1860年代になるとアンドリュー・アッシャー社によって初めてモルト原酒とグレーン原酒をプレンドする技
術が開発され、スコッチ・ウイスキーはより広い市場(多くのニーズ)を獲得することが可能となりました。
2.スコッチ・ウイスキーの救世主 フィロキセラ虫
第二の事柄は大きな助け船がワインの国フランスからやって来きたことです。1880年代までにフランスの葡
萄園はフィロキセラの異常発生によって荒廃してしまい、数年のうちにワインとプランデーは事実上どこの貯
蔵庫からも姿を消してしまいました。そこで一番困ったのがイングランド人(英国)でした。フランスのワイ
ンを好み大量に消費していたイングランド人はワインが無くなるとブランデーに目を付けましたが、害虫によ
って壊滅状態になった葡萄畑なので、直にブランデーも底をついてしまいました。
早速にスコットランドの蒸溜家たちはこの災難を利用して、イングランド人にウイスキーを提供しました。フ
ランスのワイン&ブランデーの産業が復興した時にはスコッチ・ウイスキーは世界で最も好まれるスピリッツ
の地位を確保してしまいました。それ以来、スコッチ・ウイスキーは、特にプレンデッド・ウイスキーは猛烈
な勢いで成長し、アメリカの禁酒法時代や、不況の時代を生き残り、国際的に最も愛飲されているスピリッツ
(ブラウン・スピリッツ)としての今日の地位を維持し、世界の約200ケ国以上に輪出されています。
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