朝起きて、あるいはオフィスに着いて机の上のコンピュータの電源を入れても、すぐに使い始めることはできません。起動に時間がかかるからです。ちなみに僕が使っているマシンだと、Macintoshは約1分、PCの方もLinuxの起動が終わるまでに1分程度かかります。これに対し、BeOSは最短だと17秒で起動します。驚くほど早くはありませんが、待ちくたびれるほどでもありません。

実は、この数字は少しいかさまです。というのも、ここでいっているBeOSの最短起動時間というのは一旦Macintosh(でMacOSを)起動し、それから"BeOS Launcher"というアプリケーションを使ってBeOSを起動した場合の時間だからです。これだとハードウェアの初期化をサボれますから、だいぶ起動が早いのです。公平な計り方をすると、MacintoshではMacOSが起動する途中でMacOSとBeOSのどちらを使うか選択して切り替えるため、両者の起動時間はあんまり変わりません。BeOS専用機であるBeBoxでも計ってみましたが、30秒以上はかかります。

とはいえ、BeOSには他のOSに比べて珍しい利点が一つあります。高速かつ信頼性の高いファイルシステムを実現しているために、たとえ動いている途中で電源を切ってしまっても、その後に再起動すると通常とほぼ同じ時間で立ち上がりますし、ファイルが壊れることも少ないのです。MacOSやLinuxだとこうはいきません。

僕が今年5月に行われたBeDC(Be Developer's Conference)で見たデモでは、ネットワークからファイルをダウンロードしている最中にBeOSが動いているMacintoshの電源を切り、再び電源を入れるとどうなるのかが実演されました。何事もなかったかのようにBeOSが立ち上がると、途中まで進んでいたダウンロードのプログレスウィンドウが表示され、電源を切る直前の状態から処理を再開するのを見て、会場からは拍手喝采が沸き起こったのを覚えています。