20世紀最後の最強メディア
DVDがAVを変える!

発 行:96/07/15
雑誌名:FMファン
該当頁:P38-39
出版社:共同通信社
表 題:20世紀最後の最強メディア
    DVDがAVを変える!
話題のDVDが、いよいよ今年の秋に登場する。 1996年はまさに「DVD元年」なのだ。 だが、あなたはDVDについて、「今世紀最後に登場する最強メディア」だとか「マルチメディアの旗手」という以上に正しい知識を持っているだろうか?

えっ!?レーザーディスクの小さくなったやつ? 映像がデジタル記録でコンピュータと…むにゃむにゃ?

う〜ん、そんな認識では困りますね。実はDVDは、 これからの音楽体験やオーディオ体験を、 がらっと変えてしまいかねない果てしない可能性を秘めたスゴいメディアなのである。


では、DVDのどこがどうしてそんなにスゴいのか?

  • そもそもDVDって何?

    ごくごく簡単にいってしまえば、 DVDとはCDと同じサイズの光ディスクで、 より高密度・大容量のパッケージメディアだ。 データ容量では、CDの約7倍という能力をもっている。 数字でいえば4.7Gバイト。

    これが実際にはどれくらいなのかというと直径12cmのディスク片面に、 LDを超える高画質の映画を133分 (平均転送レート3.5Mbps、5.1chサラウンド×3ヶ国語、 字幕×4ヶ国語の場合)収録することができる、という容量である。 (画像圧縮技術MPEG2を採用している) さらにこのデータ容量を活用することにより、 吹き替え音声・最大8言語+字幕・最大32言語を収録したり、 並列するいくつものストーリー展開を選択しながら進んでいったり (簡易インタラクティブ機能)、 最大9つのカメラアングルを自在に切り替えたり、 といった機能も可能になる(DVD−Videoの場合)。


  • DVDはなんでもできる?

    しかし、これでDVDを新世代のデジタル映像メディアなのだと結論づけるのはまだ早い。 デジタルデータはあくまでひとつの情報、0と1の数字の組み合わせ。 つまり映像情報でも音楽情報でもコンピュータのアプリケーションソフトでも、 まったく等価に扱うことが可能だからだ。

    アナログのメディアはそうではなかった。 VHSのビデオカセットやオーディオカセットテープ、アナログレコードなどは、 基本的に限定された目的の情報を扱うメディアといっていい。 これがデジタルメディアのCDになると、 音楽だけではなくCD−ROMのような情報ものせることができるのである。

    DVDはそれをさらに発展させ、あらゆるデジタルデータ、 つまりビジュアルもオーディオもコンピュータも、 ジャンルを超えて統合する一種のプラットフォームのような多目的メディアなのだ。


  • DVD-Videoはオーディオもすごい!

    いつまでもアナログ時代のメディア観に縛られていると、 時代から取り残されてしまうだろう。 音楽ファンやオーディオファンも頭を柔らかくして、 発想の転換を図ってほしい。 そして、このDVDという「大容量の情報の入れもの」が、 音楽やオーディオの楽しみをどんなふうに広げていくのか? ということを考えてみよう。 …う〜ん、これは、かなりスゴいことになってしまいそうなのである。



というわけで、DVD-Videoでの
オーデイオの可能性を探ってみた


  • DVDディスク1枚でCD7枚組の全集が!

    DVDのデータ容量はCD約7枚分。 ということは、CDと同等の音質なら7枚分のサウンドを1枚に収録できる、 というわけだ。 こうなるとアーティストのプロフィールやビデオクリップなどを収録した 「J−POP全集」とか「GS大全集」はDVD1枚で、 かなりのボリューム感になるだろう。 新しい切り口のコンピュレーションアルバムが出てくるかもしれない。 長時間のオペラだってノンストップでOKだ。


  • 超ハイファイ高画質の
    スーパーデジタルサウンド!

    CDの7倍の容量を、時間ではなく音質に有効利用したらどうなるか? そんなことができるのもデジタルならではのワザだ。 サンプリング周波数96kHz/24ビットというフォーマットでは (現行CDは44.1kHz/16ビット)、 周波数帯域は44kHzまで伸び(同20kHz)、 ダイナミックレンジは146dB(同98dB) という超スーパーサウンドが実現でき CDでは収録していない自然界に存在する音が全て収録可能。


  • 歌詞や解説データなど
    レコーディングデータも収録

    歌詞(訳詞)にはじまって、ライナーノートやレコーディングデータ、 ディスコグラフィーなどさまざまな情報を収録したソフト。 そして、サウンドを聴きながら、パソコンの画面では、 そのデータを自在に呼び出して参照できるというのはどうだろう。 レコーディング風景の写真が見られるというのもいいかもしれない。


  • インタラクティブ・ミュージック!?

    もちろん映像とのドッキングもOK。 プロモーションビデオもバッチリ高画質だ。 あるいはパソコンで再生するDVD−ROMでゲームと音楽の複合作品や、 映画のマルチ・ストーリーのように、 音楽を聴きながら曲展開を自由に選択していけるような新しいタイプの音楽 (インタラクティブ・ミュージック?) を生み出す天才クリエーターがこれからは登場してくるかも。


  • さらに、まだまだ…

    DVDは、こんなタイプのメデイアだからハードにもソフトにも、 まだまだ様々な可能性が秘められているというわけだ。


紹介した機能はDVDの基本的なポテンシャルを示すものであり、 発売されるDVDソフトがその全ての機能を備えていることを示すものでは ありません