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 "DVD-Video"には、CD-ROM的なクリッカブルボタンを、なんと動画の上に配置する機能があります。これをメニューに利用したのが「動画メニュー」で、もちろん本編にも利用することができます。本編が映画などの完成した映像である場合は、ボタンを配置すると本編を損なうことになりますので、隠しボタンを使用するのが現実的でしょう。静止画のメニューでもボタンが利用できます。

 これらを実現しているのが、実は32ある字幕ストリームです。この字幕情報にボタンコマンドと四角形の実行領域を持つことができるのです。選択時に色を変えることもできますし、透明にするという意味で、表示しないボタンを配置することも可能になるわけです。


 現在のWindows95上では、"MCIコマンド"は16ビットシステムとの互換性のために存在しています。また、DVDで登場したような複数の音声ストリームや字幕のストリームを切り替えたり、マルチアングルをコントロールしたりという拡張コマンドセットに関しての仕様はなく、今後マイクロソフトでサポートされる予定もありません。

 一方の "ActiveMovie1.0"は、32ビットシステム用に作成されており、様々な映像ストリームを最大限にコントロールできるようになっています。その為、将来的なサポートをしていくためには、今後"DirectShow2.0"にバージョンアップされる"ActiveMovie 1.0"ベースのシステムが適しています。

 また、"Active Movie 1.0"側はMCIの拡張でもあります。ここで用意されているAPIをたたくことで、"DVD-Video"も"Director"などで作成した"DVD-ROM"部分も、正しく動作することが可能となります。これはつまり、"DVD-Video"がちゃんと動作するパソコン環境であれば、"DVD-ROM"もちゃんと動作するという互換性が得られるということです。他の環境でちゃんと動くのに、別の環境では動作がおかしければ、再生ソフトウェア(ドライバソフト)の不具合の恐れがあり、ディスクではなく、環境の方に問題があるということになります。

 "DVD-Video"のマルチアングル機能をDVD-ROM (Data)で利用するためにも、"Active Movie" 仕様は必要となります。なにしろ1秒ごとの細切れ映像と音声をつなぐ必要がありますから。

 また、現在発売されている"DVD-PC"の中でも、買ってきたDVD-Videoの映画のディスクなどをパソコンで再生する場合にマウスでクリックすることができるようになっているものがありますが、このような仕様も"Active Movie (現

 Direct Show)" ですと、"MCI" ベースのものよりも開発が比較的簡単です。マウスクリックができない場合は、別の方法、例えばキーボード操作や画面上に十字ボタンを出すなどの操作が必要となり、本編中にボタンが頻発するようなタイトルソフトでは、再生そのものに支障をきたすかもしれません。


 ここまで書いたことが正しく認識され、ソフトが正しく制作できれば、"DVD-Video"と"DVD-ROM(Data)"が一枚のディスクで実現可能です。そして、映像ばかりか、音声、字幕まで共有し、かつ、独自のインタフェースでそれぞれの

 再生モニター(TVモニターとPCモニター)の特性の合わせたソフト制作が可能となります。ここでは、このようなソフトを便宜的に"DVD-Extra"と呼ぶことにします。(正確には"DVD-Video-Extra"ですね。)


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(C) 1997 片岡秀夫