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 "DVD"と言った場合に、一般的には、"Digital Video Disc"という意味で理解されているかもしれません。"DVD"は、ビデオ映像の入ったデジタル光ディスクといったような意味で使用される一般用語でした。それが、"SD" (Super Density Disc) と"MMCD"(Multimedia CD) の規格競争の末に、統合を経て"DVD規格"という名称に決まったという経緯があります。ところが、パソコン用のデータ、つまりビデオが入っていないものにも使える大容量の光ディスクという実体に対して、"Digital Video Disc"と言ってしまってはおかしいということで、"Digital Versatile Disc"とい名称が提案され、現在に至ってます。これが正式な規格としての名称です。Versatile とは多用途、多目的のといった意味で、米国では早くからなじんでいるようですが、日本では馴染みのない単語ということもあって、未だに混乱しています。


 それでは、規格としての"DVD"とは何でしょうか。もう既にご存じのことが多いかもしれませんが、CDと同じ直径12cm、厚さ1.2mm (0.6mm 張り合わせ) のサイズながら、その約7倍の記録密度を持ち、転送レート、つまり1秒あたりに転送できる情報量は約9倍です。これがいわゆるRead-Only Disc としての"DVD-ROM"です。


 この"DVD-ROM"には、ファイル管理システムとして、CD-ROMでもお馴染みのISO9660に加え、将来の書き換え型メディア (DVD-RAM) との互換性をとるために、UDF (UDF=Universal Disc Format) のサブセットとISO9660 を含めた形の"UDF-Bridge"を採用しています。これはつまり、ランダム記録に対応できないISO9600を拡張するという意味があるのです。オーサリングする側にとってはこれらは"DVD-ROM フォーマッター"などとと呼ばれるソフトにおまかせすることですので、特に内容を理解する必要はありませんが、ファイル名の付け方など、いくつかのルールはISO9600も含め、配慮する必があります。


 このRead Only Disc という物理的な仕様に対し、そこに入れる内容についてさらに混乱があります。"DVD-ROM"と"DVD-Video"という二つを対立的に理解するという誤解です。前者がパソコンにおけるCD-ROM の発展型、後者が VHSビデオやレーザーディスクの発展型という図式で理解されがちです。


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