デュアルCPUのCeleronが話題になっていますが,K6シリーズやCyrix MUなどはデュアルCPUでは使えないのでしょうか。使えないとしたらそれはなぜですか。
残念ながらPentium互換(Socket7/Super7)のプロセッサは,デュアルCPUに対応できません。より正確にいえば,互換プロセッサのデュアルCPU(およびマルチCPU)に対応したマザーボードが存在しないといったほうがいいでしょう。
Pentium系のSMP(対称型マルチプロセッサ)は,インテルが仕様を策定しました。その中に含まれるAPIC(Advanced Programmable Interrupt Controler)という,割り込みを複数のプロセッサに分散処理させる機構に関して,インテルが独占的な権利を持っているため,他社はAPICに対応できません。したがって,Socket7でデュアルCPU以上の構成に対応するチップセット(430HXなど)を搭載した,マルチCPU対応マザーボードに互換プロセッサを差しても,シングルCPUとしてしか機能しないわけです。
Pentiumがリリースされた当時,互換プロセッサメーカーはSMPが利用できないことに反発し,独自にマルチCPUに対応すべくサイリックス(現在はナショナルセミコンダクターにより買収),AMDが共同でOpenPICという仕様を策定しました。OpenPIC仕様は公開されていますが,今のところこの仕様を実装したチップセットを設計,製造しているメーカーはなく,互換プロセッサのマルチCPUに対応したマザーボードも存在しません。
余談ですが,AMDが今年夏ごろにリリースする予定であるK7が採用するEV6バスは,SMP構成に柔軟に対応します。実際,コンパックコンピュータの最高峰Alp
haサーバー(EV6バスはAlpha21264のバス)はマルチCPUで動きます。K7が順調に普及すれば,マルチCPU用のマザーボードが入手できるようになるかもしれません。
(米田 聡)