LANを組むには

始めてLANを組むのですが,IPアドレスからして分かりません。Windows 95/98とLANカードだけで組めるでしょうか。また,ケーブル接続とLAN接続では,どれくらいの差があるのでしょうか。


デスクトップ機同士であれば,安価なNE2000互換カード2枚とクロスケーブル1本で10MbpsのLAN構築が1万円以下で可能です。また,2万円ほど投資すれば100Mbpsでの運用も可能です。ノートPCとデスクトップ機の接続ではノート用のLANカードが高価なため1.5万円程度かかります。また,100MbpsのPCカードはまだまだ高価です。
 また,ケーブル接続ではシリアルポートまたはパラレルポートを使用しての接続になりますが,シリアルポートでは最大でも115.2Kbps,パラレルポートではECPモードで2MB/sec(理論値では約16Mbps)の転送レートが得られます。ただし,シリアル用のクロスケーブルに比べパラレル用のケーブルは入手がやや難しく,ケーブルの長さも限定されるでしょう。その点LANでのPC接続の自由度は大きいといえます。
 ケーブル接続にするかLAN接続にするかは,使用頻度や用途によりますが,時々ファイルの転送だけにしか利用しないのであればケーブル接続でも十分かもしれません。
 LAN構築は初心者にとってはそれなりに手間がかかります。しかし,一度構築してしまえば使い勝手はケーブル接続に勝ります。ケーブル接続では起動のたびにそれぞれのPCでホストまたはゲスト設定をしてプログラムを起動する必要がありますが,LANでは一度環境を作ってしまえば,ほとんど特別な操作は必要ありません。
 LAN環境の構築で一番問題となるのはLANカード導入時のカードの認識の問題です。ノート用のPCカード(PCMCIA用)で問題の起こるケースは少ないのですが,デスクトップ用ではサウンドカードとIRQがぶつかってしまうケースなどがよくあります。このようなときには再度,LANカードの導入を行ってみるか,デバイスマネージャから問題の起きたデバイスとともに削除し,再認識させるといったことで問題が解決できる場合があります。
 Windows 98/95でのLAN構築の要点を以下にまとめてみました。
 LANカードはPlug & Playで自動認識しドライバを組み込む製品と,付属のEXEファイルを起動して組み込む製品があります。また,組み込み前に空いているリソースを事前に設定できる製品もあります。LANカードに専用ソフトやドライバが付属している場合にはよく説明書を読んでおきましょう。デバイスマネージャにネットワークアダプタが追加され,「!」などの異常マークが表示されなければ,環境構築の工程の半分は終了したといえます。
 次にネットワークの環境設定です。[ネットワークコンピュータ]プロパティの[ネットワークの設定]で「TCP/IPプロトコル」と,「マイクロソフト ネットワーク共有サービス」を追加します。最近のWindows 98マシンではTCP/IPは初めから組み込まれているようです。また,Windows 95にネットワークコンピュータが組み込まれるときに自動的に設定される「NetBEUI」など使用しないプロトコルは「TCP/IP」導入後に削除しておきます。
「TCP/IP」のプロパティでは「IPアドレス」を設定します。IPアドレスはユーザー規模に応じてクラスAからCといった分類があり,その中のプライベートアドレスを割り当てます。
 Windows 98では「IP アドレスを自動的に取得」に設定します。本来,自動取得の場合はDHCPサーバーが必要になるのですが,Windows 98ではDHCPサーバーが存在しない場合には自動的にプライベートアドレスの範囲からIPアドレスが設定されます。
 Windows 95やWindows NTでは自動的に設定されないため,手動で設定を行う必要があります。
 Windows 98では自動取得に設定するとIPアドレス:169.254.x.x サブネットマスク:255.255.0.0(クラスB)が割り当てられます。IPアドレスのx.xは0から255までのいずれか(0.0,255.255は除く)が自動的に設定されます。
 上記のアドレスのXにWindows 98と重複しない0.0.255.255を除いた数字を,サブネットマスクは上記と同じものを入力しておきます。好きな数字を入れてもほとんど衝突することはないと思いますが,「winipcfg.exe」でWindows 98に設定されたIPアドレスを確認しておくとよいでしょう。Windows 95,Windows NT用の簡易DHCPサービス「DHCP95」というフリーソフトもあるので,これを利用する方法もあります。アドレス範囲を169.254.1.10〜169.254.1.250といった具合に設定しておきます。
 あとは[識別情報]にコンピュータ名,ワークグループ名を入力します。コンピュータ名にはそれぞれ重複することのないユニークな名称を,ワークグループ名は接続するPCに共通の名称を入力します。
 ここまでの設定が終了すればネットワークコンピュータでお互いのPCを認識できるはずです。あとはエクスプローラで共有したいドライブやフォルダを選択,右クリックのメニューから共有設定を行えばOK。必要ならネットワークコンピュータの右クリックメニューでネットワークドライブを自分のドライブに割り当てることもできます。
(吹田智章)



図 IPアドレスのネットワークパートとホストパート