デジタルカメラを使っていると,単3電池を大量に消費します。そんなわけで値段の安い電池をまとめ買いしようかと思ったところ,知り合いに「マンガン電池よりも,アルカリ電池にしたほうがいい」といわれました。これはなぜですか。また,単3電池で使われている各種電池の違いを教えてください。
電池は種類によって違った特性を持っています。アルカリ電池は,ある時点までは定格の電圧を保持し,その後電圧が急速に落ち込むという傾向があります。これに対してマンガン電池は使用時間に従って電圧がじょじょに落ちていきます。図を見ると分かるように,マンガン電池は電池の容量を使い切らないうちに必要電圧を下回ってしまうので,残りの容量がむだになってしまいます。逆にアルカリ電池は容量を使い切る寸前まで一定の電圧を維持しています。この傾向は必要電圧が高くなればなるほど顕著になります。そのためデジタルカメラなど,必要とする電圧が高い機器ではアルカリ電池のほうが効率的です。
次に電池の種類ですが,現在一般に使われている主なものは以下のような特徴を持っています。
●マンガン電池
最もスタンダードなタイプの電池で,価格が安いため昔から広く使われています。使っていくうちに,電圧がだんだん下がっていくので,ある程度低下したところで交換します。
●アルカリ電池
マンガン電池に比べると,長寿命で大きな電流を取り出すことができる電池です。マンガン電池の3倍程度と高価ですが,寿命が3倍以上となっているため,コストパフォーマンスの面でも優れています。基本的に充電はできません(秋葉原のパソコンショップでは「充電可能なアルカリ電池」というものも販売されているようです)。
●ニッカド電池
従来からある,最もポピュラーな充電池です。通常の乾電池の代わりに使える製品が揃っていて,通常の乾電池より大きな電流を取り出すことができるものもあります。大きなパワーを必要とするラジコンなどでよく利用されています。
●ニッケル水素電池
水素吸蔵合金を使った充電池です。ニッカド電池に比べて高容量で,メモリ効果(完全放電をしないで充電を繰り返すと,充電できる容量が下がっていくという現象)の影響も比較的少なくなっています。
最近の乾電池型充電池は,ニッカド電池よりもニッケル水素電池が増えてきています。これは,ニッカド電池に含まれるカドミウムが公害の原因となるので,環境面でより安全なニッケル水素電池が選ばれているというわけです。瞬間的なパワーはニッカド電池に劣りますが,スタミナがあるため,デジタルカメラなどの電子機器にはお勧めです。
●リチウム電池
充電できるタイプと,できないタイプがあります。電圧が3Vと高く,電源部を小型にできるため,カメラやビデオカメラなど小型の機器に使用されています。長期保存可能,使用可能温度の幅が広い,液漏れが少ないなどの理由から,さまざまな用途に使われています。
(寺崎基生)
図 アルカリ電池とマンガン電池の特性の違い