αDATA32とPIAFSどっちがいい?

PHSを買おうと思っているのですが,αDATA32とPIAFSってどこが違うのでしょうか。またどちらを選ぶのがお得ですか。


まず,αDATA32がDDIポケットというPHSサービス会社に依存するという点に注意してください。現在,DDIポケットは最も契約数が多い会社ですが,自分が使いたいエリアで使えるかどうかは場所によって違います。
 PIAFSは32000bpsの通信速度(実効29200bps)を持つPHSデータ通信の標準規格ですが,従来のどの通信方式とも互換性はありません。しかし,標準規格であるため多くのプロバイダやパソコン通信サービスがサポートを開始しており,今後も拡大される見込みです。
 αDATA32はDDIポケット独自のサービスだったαDATAにPIAFSを統合したもので,データ通信としては14400bpsまでのアナログモデム接続,αDATAの32000bps同期接続(相手は一般の64000bps同期接続でいい),PIAFS接続の3種類をサポートします。アナログモデム接続,αDATA接続といった既存のインフラをそのまま利用できるので,接続先のPIAFS対応を待たずに済むメリットがあります。また,どの通信方式を利用しても付加料金は必要ありません。FAX送信が可能な点も特徴です。
 独自通信方式のPIAFSですが,NTTパーソナル,アステルではPTEと呼ばれるプロトコル変換装置を準備しており,これを利用して33600bpsでのアナログモデム接続(実効29200bps),FAX送信などを行うことができます。PTEを利用する場合,PTE設置場所までの通話料に加え10円/分の付加料金が必要なのが難点で,一度の接続で最低でも30円の料金がかかります。またPTEが遠隔地にあるときは通話料も割高です。なお,DDIポケットではαDATA32でアナログモデム接続が可能な関係上,今のところPTEは準備されていません。
 データ通信カードの価格も下がってきて,コスト的に優位に見えるαDATA32ですが,難点もあります。DDIポケットは大出力アンテナを用いて1個の基地局で広いエリアをカバーしますが,αDATA32では基地局に変換装置があるため1個の基地局で1回線しかアナログモデム接続/32000bps同期接続を利用できません。
 もっとも,現状ではまだまだPHSデータ通信は契約者数から見ればごく一部のユーザーしか行っていないので,この点はさほど問題にならないでしょう。問題になるほどPHSデータ通信が普及するころには,プロバイダなどが広くPIAFSをサポートするでしょうから,結局変換装置を使うユーザーも多くはないと予想できます。
 最終的にはよく利用する接続先がPIAFSに対応しているならPIAFSもしくはαDATA32,アナログモデムや同期64000bps接続にしか対応していないならαDATA32を選ぶことになるでしょう。
(坪山博貴)