MOのダイレクトオーバーライトというのは,普通のものとどう違うのですか。
従来のMOのデータ記憶には,事前にディスク上の磁気方向を揃えておき,データを記録したいところにのみレーザーと磁気を加えて磁気方向を反転させ記録する「光強度変調」方式が採用されています。
外部磁界を加えながらレーザースポットにより狭い範囲を加熱することで,高い記憶密度を得られるようになっています。しかし,書き込みを行うためには事前に磁気方向を揃えておかなければならないため,書き込み動作は,@消去A書き込みBベリファイ(書き込まれたデータの確認)という3ステップ(3回転)が必要でした。
一方,ダイレクトオーバーライト方式(光変調オーバーライト方式)は皮膜の多層化と,この多層膜の加熱位置の制御(レーザー照射強度を2段階に変調)によって,データの消去と書き込みを同時に行うので,書き込むための動作が2段階になるため,その分高速化されているわけです。
なお,ダイレクトオーバーライトを行うには,ドライブとメディアがともに対応している必要があります。ダイレクトオーバーライトで書き込んだメディアは,非対応のドライブでは読み出せません。
(吹田智章)