CD-Rを作成するときの,「MODE1」「MODE2 XA」とは何ですか。
CD-RやCD-RWの物理フォーマットは通常のCD-ROM,さかのぼればベースになった音楽CDと同じものを採用しています。要するに音楽CDがベースになったCDメディアはすべて物理フォーマット,つまりデータを記録する最小単位であるセクタ長は共通です。MODE1,MODE2 XAといった記録モードはこのセクタの使い方の違いです。
CDのセクタ長は2352バイトであり,音楽CDではこのセクタに75分の1秒分のデータがめいっぱい詰め込まれています。音楽CDは16ビット(4バイト)ステレオ,44.1kHzですから1セクタには588サンプルが記録され,75セクタで1秒分(44100サンプル)になります。音楽CDとCD-ROMには,記録されている情報が音,つまり前後するデータに連続性があるか,まったく相関性がないかという違いがあります。音楽CDは波形なので,読み出せないデータが存在しても前後のデータからある程度補間することができますが,CD-ROMはこうはいきません。プログラムなどは1バイトでもデータが欠ければ正常に動作しない可能性が非常に大きいからです。そこでCD-ROMでは2352バイトの1セクタ内にデータは2048バイトとし,同期信号,アドレス情報を付加してセクタ単位でのアクセスを可能にし,さらに強力なエラー訂正信号を付加しました。これがMODE1のフォーマットです。
CD-ROMでも動画を記録する場合,エラー訂正よりも情報量が重要なことがあります。記録されているデータはあまり前後で相関関係を持ちませんが,デコードしてしまえば前後するフレームごとに相関関係があります。つまり多少データが欠けても動画としては成立します。そこでMODE2ではMODE1からエラー訂正信号を除き,記録可能なデータ量を2336バイトまで増加させています。MODE2はVideoCDの記録などに用いられています。
CD-ROMの記録フォーマットはイエローブックで規定されていますが,このイエローブックではMODE1とMODE2の混在を許していません。したがって1枚のメディアにエラー訂正が重要なプログラムやデータと動画データを効率よく記録する方法としてMODE1とMODE2を混在させることができないのです。そこでMODE2にMODE1と同等のエラー訂正機能を持たせたFORM1(記録可能データ量2048バイト)と,FORM1からエラー訂正信号を取り除いてデータ記録量を優先した(記録可能データ量2324バイト)FORM2を策定しました。これを使用した記録方式がCD-ROM XAやMODE2 XAと呼ばれるものです。CD-ROM XAはプログラムや文字情報とともに動画などを効率よく保存する場合に用いられます。
(坪山博貴)
画面 CD-R/RW作成時に,モードの選択を行える(画面はB’s Recoder GOLD)