CPU温度計測の仕組み

最近のBIOSでは,CPUの温度などを計測してくれるものがありますが,これはどのような仕組みで実現されているのですか。また,表示される数値はどの程度信頼できるものなのでしょうか。


最近のマザーボードの多くは,ナショナルセミコンダクターのLM75/78という監視機能ICを搭載していて,これを用いてCPU温度の監視を実現しています。
 LM75は,主に温度センサーとして用いられ,A/Dコンバータとデジタル異常温度検出機能を備えたICです。LM78は,コンピュータのハードウェアの監視用に開発されたデータ取得用ICで,電源電圧,温度,冷却ファン速度の監視を行うことができます。また,防犯用にケース開閉(Chassis Intrusion)検出回路入力も備えています。LM75は,追加温度センサー用の入力(BT1#)によってLM78に接続されており,LM78とPCの接続にはISAバスが用いられています。あとは,ISAバスに接続された拡張カードを制御するような要領でプログラムを組めば,CPU温度やファンの回転数などが取得できるというわけです(LM75/78については本誌’97年8/15号のp.181「次世代標準特捜隊 TECHRANGER」で詳しく取り上げています)。
 センサーが発する数字自体は信頼できますので,表示される数値に関しても原則的には信頼できるものといえます。ただし,温度に関していえば,センサーの位置の問題で必ずしも信頼できる数値が出ているとは限りません。CPU温度をどう定義するかにもよりますが,センサーはほとんどの場合はCPUヒートシンクの端に触れるような形で配置されていますので,CPU自体の温度を示しているわけではありません。表示される数値は,通常CPU温度よりも5〜10。cほど低い値になるといわれています。ですから,ここで出る数値はあくまで「目安程度」と考えてください。
(伊勢雅英)
LM75(左)とLM78(右)により,CPUの温度を取得している