E-IDEは規格がごちゃごちゃになっていてよく分かりません。ATAPI,Ultra ATA/33,DMA/33などを整理して教えてください。
PC/AT互換機の標準インタフェースとなっているE-IDEですが,最近の急速な進歩により,名称などがかなり紛らわしくなっていますね。
まず,最も基本的なHDDインタフェースのE-IDEですが,旧来のIDEの最大528MBを拡張して,8GBまでのHDDを接続できるようにした規格です。接続できるドライブの数は,IDEの2台までから4台に増えました。転送レートもPIO方式で約11MB/sec,DMA方式で約16.6MB/secと,IDEの2〜2.5倍に高速化しています。
PIOとDMAの違いは,簡単にいうとデータ転送をCPUが行うのか,デバイスが直接行うのかの違いです。もちろん,CPUを介さないDMAのほうがCPUの負荷が小さく,高い転送レートを実現できます。
ATAPIというのは,AT Attachment Packet Interfaceの略です。ANSI(米国規格協会)が定めた規格で,IDEにCD-ROMドライブやテープドライブなどのHDD以外のドライブを接続できるように定めました。
分かりにくいのが,Ultra DMA(UDMA),Ultra ATA(UATA),DMA/33などと呼ばれるものです。実は,これらはすべて同じ規格を指していて,正式にはUltra ATAと呼ぶのが正しいようです。
Ultra DMAは厳密にいうとUltra ATAで実現できるプロトコルのことで,主にチップセット側から見たときの仕様のためインテルはこの名前を使うことが多いようです。
Ultra ATAはストレージデバイス側から見たものでQuantumがこう呼んでいます。
DMA/33というのは,Ultra DMAの性能から付けられたあだ名のようなもので,これも前述のものと同じことを指しています。DMA方式で,ATAPIの2倍の転送レート33MB/secを実現しています。次の規格として66MB/secのDMA/66がありますから,こちらと区別するためにDMA/33と呼ばれることが多いようです。通常のDMAでは,信号の立ち上がり時のみにデータを出力していましたが,Ultra DMAでは立ち下がり時にもデータ出力を行うことによって,2倍の転送レートを実現しているのです。
Ultra ATAを利用するためには,対応したチップセット(430TX以降),対応HDD,対応ドライバが必要となります。どれか一つでも欠けていると通常のATAPIと同じ転送レートしか得ることはできません。
Ultra ATAで33MB/secの転送レートが得られると説明してきましたが,この数字はインタフェースの規格としての数字であり,実際の転送レートがここまで高速になっているわけではありません。あくまで最高で33MB/secのデータを送ることができるというものです。
Ultra ATA/66というのは,今年の春にQuantumが発表した規格で,名前のとおり66MB/secの転送レートを実現します。現段階では,まだ対応機器やチップセットは市場に出ていませんが,’99年中には登場する見込みです。基本的には従来との互換性は保たれるとのことですが,ケーブルの変更なども予定されているようで,実際に互換性があるかどうかは気になるところです。
(寺崎基生)