PCIスロットが5個付いているマザーボードがありますが,たしか一つのPCIブリッジには4個のスロットしか付けられないはず。どのような仕組みで5個めを使っているのでしょう。
1個のPCIバスには最大で4枚の拡張カードしか接続することができません。1個のPCIバスには最大で10個の拡張デバイスが接続できるのですが,スロットに接続される拡張カードに関しては,1枚当たり2デバイスとして換算されるので,CPU-PCIブリッジ分の数(2個)も差し引くと,拡張デバイスは8個,拡張カードだと4枚になる計算です。PCIバスは非常に高速に動作するので,信号遅延や外部からのノイズ混入などに大変デリケートです。したがって,電気信号的な制限から,製品によっては8個以下のこともあります。
一方で,サーバー用のマザーボードなどでは,4本を超えるPCIスロットを搭載した製品が登場しています。サーバーマシンでは,プロトコル別にネットワークカードを分けて利用したり,ストレージ用のインタフェースなどを複数用意しなければならないことがあるために,4本のPCIスロットでは足りなくなるのです。
スロット数を拡張するためには,「PCI-PCIブリッジ」というものを利用します。これは,PCIバスとPCIバスを接続するための橋渡しを行うものです。このPCI-PCIブリッジを利用することによって,理論的に利用可能な拡張カード数は無制限となります(しかし,前述の電気信号的な制限が先に生じます)。なお,PCI-PCIブリッジによって拡張されたデバイスをPCに認識させるためには,BIOSやOS側でPCIブリッジをサポートしている必要があります。
(伊勢雅英)
TyanのS1668。PCIスロットが5本実装されている