ノートPCでHDDを換装したいのですが,ネジ穴の位置が違うと換装できないと聞きました。どういう意味ですか。また,換装するうえで注意すべき点があれば,教えてください。
HDD換装にあたって,気をつけたいポイントは以下のとおりです。
@ネジ穴の違いを確認する
「ネジ穴の位置が違う」とは,HDDの側面にあるネジ穴の位置が「真ん中寄り」か,「端寄り」かの違いです。このネジ穴はHDDを固定するために用意されていて,ネジ穴の位置が違うと,新しいHDDを固定できないことがあります。
ただし,HDDには底面にもネジ穴があります。底面のネジ穴を使用してHDDを固定する機種,あるいは,HDDパックの金具がネジ穴の位置が違うドライブにも対応した機種であれば,ネジ穴の位置に関係なくドライブを固定できます。
誤ってネジ穴が異なるHDDを買ってきてしまった場合,HDDを固定するフレームを加工して,固定可能にするか,直接的ですがビニールテープでHDDを固定するなどの工夫が必要になります。
AHDDの厚さに注意しよう
2.5インチのHDDには,厚さの違うドライブが数種類あります。現在,ショップで販売されているドライブは,8.45mm,9.5mm,12.5mm,12.7mmの4種類です。新しいHDDを購入する前に,まず,自分のノートPCが搭載できるHDDの厚さを知る必要があります。
HDDの厚みに関しては,「小は大を兼ねる」ので,標準搭載されているHDDより薄型のドライブであれば,原理的に搭載可能です。
B8.4GBを超えるHDDに対応しているか
最近では,厚さが9.5mmでも,12GB以上のディスク容量を持ったドライブが登場してきました。ところが,ノートPCの中には,8.4GBを超えるHDDを認識できない機種があるので,古いノートPCを持っている人は注意が必要です。
自分のノートPCが8.4GBを超えるHDDに対応しているかどうかは,PCメーカーのWebサイトやユーザーサポートに問い合わせてみるのが一番です。
裏技ですが,メルコのホームページ(http://www.melcoinc.co.jp/qa/over8gb.html)にある「8.4GB超IDE HDドライブ対応確認ユーティリティ(試作版)」を使用すれば,自分のノートPCが8.4GBを超えるHDDをサポートしているか,簡単にチェックできます。ただし,あくまで試作版なので,判定が必ずしも正しいとは限りませんので注意してください。
C相性の問題
HDD換装によって,パワーマネジメント機能がおかしくなる場合があります。具体的には,サスペンド後にレジュームしない,あるいは,ハイバネーション機能が正常に動作しなくなる,などです。これはノートPCのBIOSとHDDのファームウェア(HDDの情報をBIOSに知らせるシステム)がうまく対応しないために起こります。現在では,ノートPCとHDDの親和性が上がってきたので,相性の問題は起こりにくくなりましたが,できるだけもともと搭載されていたHDDメーカーのものに合わせたほうがリスクは少なくなるでしょう。例えば,IBM製のHDDが搭載されていたノートPCでは,同じIBM製の大容量HDDにするべきです。相性の問題は解決しにくいので,このルールは守っておいたほうが無難です。
※
以上のように,HDD換装はある程度のリスクが伴います。HDD換装を行うと,本体の保証期間内であっても無償保証が効かなくなることも頭に入れておきましょう。自分でHDD換装する自信がなければ,アップグレード業者に依頼したほうがいいかもしれません。
(関口哲司)
写真1 同じ厚みのHDDでも,ネジ穴の位置が異なるものもある
写真2,3 厚みの違うHDD。8.45mm,9.5mm,12.5mm,12.7mm,17mmだ