CardBus,ZVポート,16/32ビットなどPCカードの規格とその違いについて教えてください。
まず整理しますが,32ビットPCカードとCardBusは同じ意味です。したがってここでは16ビットPCカード,CardBus,ZVポートの三つの区分で話を進めます。
16ビットPCカード
ISAバスをベースにしたもので,インタフェース構造もISAスロットに近く,一般にPCカードというとこれを指します。規格としてはPCMCIA 2.1/JEIDA 4.2と呼ばれ,現在は統一してPCカードスタンダードと呼ばれます。
ISAバスをベースにしているためデータ転送レートはISAバス同等と今となってはそれほど速くなく,基本的にPlug & Play(PnP)仕様ですがISAバスのそれと同様に完全なPnPではありません。ただしデータ転送レート的にはモデムや10MbpsクラスのLANカード,フラッシュメモリなどでも十分なので,現在でも広く使用されています。またモデムなどではハードウェアリソースの割り付けがISAバスと同等なことから,MS-DOSベースのアプリケーションからでもとくにそれ用に対応することなくPCカードを利用できるのがメリットです。
CardBus
32ビットPCカードともいわれ,PCカードのPCIバス版といえます。データ転送レートも最大133MB/secとPCIと同等で,インタフェース構造もPCIに近いものです。ハードウェアリソースの制限が小さいので,ほぼ完全なPnPが実現されています。デスクトップPCのISAスロット,PCIスロットの関係と大きく異なるのは16ビットPCカードとまったく同じコネクタを使用していることです。当然そのままでは電気特性的に問題があるため,コネクタ部の周囲にアース用の接点を追加するという苦肉の策で高速なデータ転送を可能にしています。以前はプリインストール専用のWindows 95 OSR2以降でしかサポートされてませんでしたが,Windows 98がサポートしたことで普及に弾みがついています。現在はストレージデバイス用のインタフェース(IDE,SCSI),100MbpsクラスLANカードなどが中心です。
ZVポート
ZVポートの「ZV」はZoom Videoの略です。基本的に16ビットPCカードに近いのですが,インタフェースとビデオチップが直結され,動画再生のためにビデオチップへの直接データ転送が可能な点が大きく異なります。このため対応したビデオチップと併用することでCPUへの負荷を小さく抑えながら,MPEGなどの高画質動画再生が可能になります。その性格上ビデオキャプチャー,テレビ再生,MPEG再生カードなどがほとんどです。
(坪山博貴)