自作機の増設用にHDDを購入したさい,Windows 98 セカンドエディション(以下Windows 98 SE)のOEM版も購入しました。このWindows 98 SEをインストールしようとしたところ,「このバージョンのセットアップではアップグレードできないオペレーティングシステムが,コンピュータにすでにインストールされています。Windows 98のアップグレードを入手してください。(メッセージSU0168)」とのエラーメッセージが表示されインストールすることができません。CD-ROMの中にある「SETUP.TXT」に記述されている「メッセージSU0168」に関する対応方法を実行しても事態に変化はありません。このWindows 98 SEを現在稼働中のシステムに上書きインストールする方法はないのでしょうか。私の現在使用しているOSは,Windows 95のOEM版で,サービスパック1をインストールしたものです。
結論からいうと,Windows 98 SEに限らずOEM用のWindows 95/98は,すべてのバージョンですでにWindows 95/98が導入されている環境にインストールを行うことはできません。例外として同じバージョンのWindows 95/98が導入されている場合には再導入になりますから,インストールが可能です。
●Windows 98 OSR
OEM用のWindowsは正確にはOSR(OEM Service Release)と呼ばれますが,もともと使用許諾が「新規購入のPCにプリインストールされる場合のみ」ですから,OS単体での使用許諾はありません。要するにアップグレードインストールは使用許諾に反するので,インストーラがアップグレードインストールに対応していないのです。これ以外にもプリインストールされたPC以外にインストールするだけで使用許諾に反することになります。随分ケチだなと思う人も多いでしょうが,その分OSRは安価に提供されますから,価格相応の使用許諾といえるでしょう。もっとも,日本のように事実上単体販売を許している場合(マザーボードかHDDとの同時購入)には,この使用許諾もかなり曖昧になるのですが。
Windows 95 OSR2のようにリテールパッケージに先んじて新機能を搭載する場合もありますが,これはOSおよび新機能の動作をプリインストールするPCメーカーが動作確認する前提であり,動作確認のとれていないPCでのトラブルを防ぐための処置です。OSR2はそれ以前のWindows 95からOSのカーネル部まで変更されていますから極端にいうとWindows 95と98と同じくらいの違いがあり,これを星の数ほど存在するPCで動作確認をするには膨大な時間が必要なので,マイクロソフトではリテール販売を見送ったようです。これにはWindows 95 OSR2の出荷時点でWindows 98の開発が進んでいたこともあるでしょう。
●OSRの種類
Windows 95/98のOSRは大きく四つのバージョンに分類されます。
Windows 95
Windows 95 OSR2.x
Windows 98
Windows 98 SE
これら四つの分類中にも細かなバージョンがあります。ちなみに試用承諾を無視した話になりますが,同じ分類になるバージョン同士では上書きインストールは可能なようです。例えばWindows 95 OSR2.xにはOSR2.0/2.1/2.5が存在しますが,2.1でUSBサプリメントが追加,2.5でドライバ群の追加とデバッグのみで,OSの根本の部分には変化がありませんから,相互に上書きインストールも可能です。もちろんなんら動作保証はありません。
質問の場合,その場での対処ならば新規インストールされるのが一番だとは思いますが,どうしても中のデータをそのまま使いたいとお思いならば,Windows 98 SEのアップグレード版を入手して,インストールするのが賢明なのかもしれません。
(坪山博貴)
Windows 98 Second Editionアップグレード版パッケージ
問:マイクロソフト カスタマーインフォメーションセンター
TEL :03-5454-2300,TEL:06-6245-6995