オンボードでビデオメモリを持っているビデオカードと,メインメモリの一部をビデオメモリとして使う内蔵ビデオでは,どのくらい速度差がありますか? 体感できるほどでしょうか。
Intel 810に代表される統合型チップセットはビデオ機能を内蔵し,メインメモリの一部をビデオメモリとして使用することでPCの低コスト化を実現しています。これらはもともと低コスト化を目的としており,最初から描画速度を重要視していない傾向があります。
これに対して通常のビデオカードは,統合チップセットが登場したこともあり,高速な描画速度を持たないとその存在価値も薄れてしまいます。安価でそこそこの性能の単体ビデオカードを利用するより,統合チップセットを使ったほうがずっと低コストになるからです。
もちろん,安価でそこそこの性能を持ったビデオカードは今でも存在しますが,単体のビデオカードは高性能な3D描画能力を持つ製品が主流です。したがって現実の製品ではメインメモリのー部をビデオメモリとして使用するかしないかという点が描画速度を決定しているわけではないといえます。
これらを前提としますが,2D描画ならば統合チップセットと最新の3Dビデオカードを比較しても描画速度の差を体感することは難しいでしょう。しかし,3D描画ではフレームレート,描画クオリティともにかなりの違いがあります。この点はビデオメモリの違いも影響しますが,どちらかといえばビデオ機能自体の描画能力の差のほうが影響は大きいと考えられます。
結論をいえば,現在主流のインターネット中心の利用なら,統合チップセットでも単体ビデオカードでもほとんどの場合,描画能力の違いを感じることはできないでしょう。逆に最新の3Dゲームを楽しみたいならその差はかなり大きくなります。
もう一つの注意点を挙げましょう。統合チップセットでメインメモリをビデオメモリとして使用する場合,メモリアクセスの問題から(描画以外にもメインメモリへ頻繁にアクセスが発生するため)全体の処理能力も低下する点を注意すべきです。せっかく高クロックのCPUを使用するなら,単体のビデオカードを使用したほうがベターといえます。
(坪山博貴)
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