落雷からPCを守りたい

落雷でPCとルーターとプリンタが壊れてしまいました。防ぐ方法はないでしょうか? また,落雷事故ではまずどこが壊れるのでしょうか?



雷でPC本体や周辺機器が壊れるという現象は珍しくありません。雷は,主にAC電源や電話回線といった,外部と接続されている部分からPCに入り込みます。
 もちろん,現在のPC(の電源)は簡易な雷対策が施されていますし,モデムやTA,あるいはADSLモデムにも同様の雷対策が施されています。ただ,一般的な電源ユニットや電話機器の雷対策は,瞬時の高電圧(高電流)で特定の部品を「飛ばす」ような仕掛けです。雷で対策部品が飛ぶ機器そのものは使えなくなる(そのパーツを取り替えれば使用できることもある)ので,表面的には壊れたのと同じ結果になります。
 また,これらの機器に対策が施されていても,PC本体(マザーボードなど)が壊れてしまうことがあります。電話回線やAC電源に瞬時に超高電圧がかかり,電磁誘導や,接続されているグラウンドアースなどを介して雷がPCを襲う可能性があるからです。
 PC本体に雷の影響が達すると,PC本体はもちろんのこと,PCにケーブルで接続されているプリンタやスキャナに被害が及ぶ可能性があります。さらに,LANケーブルを伝ってほかのPCにまで被害を与えることも珍しくありません。
 このような雷の被害を防ぐため,PCの周辺機器として雷対策パーツが市販されています。電話回線用のサージ(瞬時の高電圧,高電流)防止アダプタや,雷対策OAタップなどがPCショップで売られていますから,利用するといいでしょう。これらは確実とは断言できないまでも,それなりの効果が期待できます。
 なお,雷対策パーツには広くバリスタという部品が使われています。バリスタは特殊なセラミックスを電極で挟んだもので,通常の電圧では絶縁体ですが,一定の電圧を超えると陶器部分が絶縁破壊を起こし電極間がショート,サージがPC本体に及ばないよう機能します。安価な雷対策OAタップなどは,このバリスタだけを用いたものが一般的です。バリスタは有効なサージ防止として機能しますが,その構造上,一度雷などでサージが流れると,継続使用ができない(性能が落ちている)という欠点もあります。雷などでサージが起こると肝心のバリスタが傷んで使えなくなっているということを忘れないようにしてください。
 バリスタに頼るだけでなく,雷対策用の回路が組み込まれた高性能の雷対策パーツも市販されています。やや高価なのが難点ですが,バリスタだけの対策パーツとは違い,一度の雷で使えなくなってしまうことはありませんし,高い信頼性が期待できます。雷が多発する地域に住んでいる読者は,導入を検討してみるといいでしょう。(米田 聡)




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