私のWindows 98環境では,40GBのHDDをスキャンディスクすると,エラーが起こります。どうすれば直りますか?
Windows版スキャンディスクの「完全チェック」で繰り返しエラーが発生するのは,Phoenix BIOSを使用したPC特有の症状である場合があります。これはWindows 98(95含む)のIDEディスクドライバとPhoenix BIOSの組み合わせで発生する問題で,一部のPhoenix BIOSが大容量IDE HDDへのアクセスに一般的なLBA(ロジカルブロックアクセス)ではなく特殊なジオメトリ変換方法を用いているからです。この変換方法とIDEディスクドライバの不整合で32GB以降の領域に正常にアクセスできず,これが完全チェックで繰り返しエラーが発生する原因となるのです。したがってDOS版のスキャンディスクは問題なく実行でき,こちらをWindows版の代わりに使用することもできます。
こういった問題の根本にあるのは,IDE HDDへのアクセスがシリンダ,ヘッド,セクタ(この三つを合わせてCHSと呼ぶことが多い)の三つのパラメータで行われていたことです。CHSはそれぞれの値がE-IDEでも0〜16383,1〜16,0〜63となり,これにPCで扱うHDDのセクタ長512バイトを組み合わせるとCHSの組み合わせでアクセスできる最大容量は約8GBになります。ちなみに8GBを超えるIDE HDDでは仕様上のシリンダ数,ヘッド数,セクタ数はほとんどの製品が16383,16,63に固定されています。
したがって8GBを超えるようなIDE HDDではCHS以外の方法でアクセスする必要があり,その代表的な方法がSCSI HDDと同様にすべてのセクタに順番に連続番号を割り振ってアクセスするLBA方式です。Windows 98ではこのLBAに対応しているのですが,前述のとおりPhoenix BIOSの一部ではLBAと異なる方法でIDE HDDにアクセスしているため問題が発生します。
この問題はマイクロソフトも認識しており,修正モジュールを提供しています。
http://www.microsoft.com/windows98/downloads/contents/wurecommended/s_wufeatured/bigide/license.asp
このモジュールを適用するとWindows版スキャンディスクでの問題は回避できます。
もちろんこれが原因ではなく,初歩的なミスとしてスキャンディスク実行時にエラー検出のみを行い,修復を行っていない可能性があります。一度スキャンディスクの設定を確認してみてください。 (坪山博貴)