PIAFS,64Kbps通信の各社の違いは?

NTTドコモの64Kデータ通信とDDI ポケットのα-DATA64では,どちらの64K通信の回線が安定しているのでしょうか?


現在のPHSの無線区間(つまりアンテナからPHS本体)のデータ通信スロットは32Kbpsですが,64Kbps(実効速度は58.4Kbps)での通信はこのスロットを二つ同時に使用することで実現しています。この点はどちらも変わりません。しかし,両者では方式が異なります。

●各社の通信方式
 NTT DoCoMoの64Kデータ通信はギャランティー方式といい,最初に64Kbpsでつながったらずっと64Kbpsのまま,もし通信スロットが一つしか確保できなければ32Kbpsでつながりずっとそのままです。また,64Kbpsで通信中にハンドオーバーなどでスロットが二つ確保できないと,通信は切断されてしまいます。これに対しα-DATA64はベストエフォート方式を採用しています。これは通信状態によって32Kbpsと64Kbpsをフレキシブルに切り替えることができます。つまり,64Kbpsで通信中に片方の回線が切れても,もう一方だけで32Kbps通信を行い,別回線が確保でき次第,64Kbpsに戻すといったことが可能なのです。これによりα-DATA64のほうが通信中に切れてしまうというアクシデントに見舞われる可能性が低く,常に最良の速度で通信ができます。

●PIAFS 2.1とPTE
 また,64Kbpsでデータ通信を行うには,双方ともそれぞれPIAFS 2.0,PIAFS 2.1に対応したアクセスポイントが必要です。PIAFS 2.0を採用するプロバイダは徐々に増えてきていますが,PIAFS 2.1にまで対応したプロバイダはまだほとんどないのが現状です。しかしα-DATA64の場合,DDI内のプロトコル変換装置(PTE)を経由させれば,既存のISDNアクセスポイントに64Kbpsで接続することが可能です。この装置の利用には,別途5円/分の利用料がかかりますが,2000年1月31日までは無料となっています。つまり,それまでに自分が契約しているプロバイダがPIAFS 2.1に対応してくれそうなのであれば,α-DATA64でも問題はありません。また,PIAFS 2.0にすら対応していないプロバイダならば,来年以降はPTEの利用料がかかってしまいますが,α-DATA64でなら64Kbps通信が行えるということになります。
(菊池 功)



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