8/15号のSCSI特集の中で「SCSIバスを分岐してはいけない」とありますが,これは具体的にどういう意味ですか?
8/15号p.140で「SCSIバスは絶対に分岐してはならない」とお話ししましたが,読者の方々から「分岐するとはいったい何か」というご質問を受けたので,改めて補足します。
まず大原則として,SCSIバスは「一直線」でなければならないと規定されています。これは,SCSI機器を一列に数珠つなぎしてゆく接続形態です(図1)。一般的なSCSI機器では,入り口と出口の2個のコネクタしか存在しませんから,一直線以外の接続形態,例えばケーブルを2本に分けたりして接続するという形は想像しにくいかもしれません。
しかし,Wide系のSCSIカードを用いると,いとも簡単にSCSIバスの分岐接続を行うことができてしまうのです。Wide系のSCSIカードには通常,内蔵用に68ピンWideと50ピンNarrowコネクタ,外付け用に68ピンWideのコネクタ(Diamond Fire port 40では50ピンNarrow)の合計3個のコネクタが装備されています。もしコネクタすべてにSCSI機器を接続すれば,図2のようにSCSIバスがY字に分岐してしまうことになります。SCSIバスを分岐させて使用すると,SCSI機器内のターミネーションヒューズが破損したり,SCSIカード自体が破壊されてしまうことがあるので,非常に危険です。
したがって,WideのHDDとNarrowのCD-ROMドライブを別々の内蔵コネクタに接続し,外付けスキャナなどを接続するようなケースは,非常に危険であることが分かるでしょう。このような場合には,内蔵コネクタを1個だけにしなければなりません(図3)。例えば,CD-ROMドライブを50→68ピン変換器で68ピンWideに変換して,内蔵コネクタをWide一つにしてしまいます。こうすればSCSIアダプタの内蔵50ピンは開く形になるので,安全に外付け接続が可能になります。なお,50→68ピン変換器はUltra Wide上位バイトのターミネーションを行うことができませんので,SCSIアダプタ 〜CD-ROMドライブ(50ピン)〜 HDD(68ピン)の順につながなければなりません。
(伊勢雅英)