使っているモデムの最大転送速度は36.6Kbpsなのに,インターネットを使うためにダイヤルアップ接続をしたときに表示される転送速度は「115200bps」となります。なぜでしょうか。
モデムの速度といわれているものには,通信先のモデムと自宅のモデムの間の速度とは別に,モデムとPC本体の間の速度というのもあります。表示されている「115200bps」というのは,このモデムとPC本体の間の,いわゆるシリアルケーブルでつながっているPC本体のシリアルポートとモデムの間の速度なのです。
なぜ,モデムそのものの通信速度ではなく,別の通信速度があるのでしょうか。それは,モデムでの通信ではデータのやり取りの内容を圧縮して行っていますが,受信したデータを展開すると,当然データ量が増えることになります。データが増えるにもかかわらず,通信速度が圧縮時の速度と同一になっていると,増えた分のデータを送受信する分がモデム間の通信よりも時間がかかってしまい,最終的に通信が追い付かなくなってしまうのです。
モデムの機能としては,通信が追い付かなくなってもフロー制御によってデータが失われることがないようになっていますが,モデムの性能分に見合った通信速度が得られなくなってしまうので非効率です。
現状では,多くの場合シリアルポートの設定速度は115.2Kbpsにすることが多いようですが,どうもモデム自体の通信速度が33.6Kbps以上,例えば56KbpsのモデムやTAなどになると,それらの性能を生かし切るだけの余裕はないようです。
これを解決するには高速シリアルカードなどを増設して速度を向上させるか,また,シリアルポートによっては115.2Kbps以上の設定ができるものもあるそうなので,場合によってはそれらをマシンに導入して解決することもできるでしょう。
Windows 95での通信速度の表示は,MODEM.INFによって設定されているので,どうしても表示を33.6Kbpsにしたい場合には,MODEM.INFを持っているモデムのATコマンドで修正するしかないでしょう。また,メーカーによってはこれに対応したMODEM.INFを配布しているところもあるので,メーカーのホームページなどを確認してみてください。
(恣岡 悄)
モデムの図