SCSI BIOSって何でしょうか? BIOSなしだと何ができないのでしょうか?
BIOSの意味はマザーボードBIOSなどと同じで「Basic Input Output System」の略称です。要するにSCSIでの基本的な入出力を司るわけですが,何ができるかできないかということになると,まず挙げられるのは,SCSI BIOSがないと接続したSCSIデバイスからOSの起動ができないということです。SCSIカードはベンダーや使用しているチップによって仕様が異なりますから,SCSI BIOSがないとマザーボードBIOSがSCSIデバイスを制御できないのです。正確にいえば,SCSI BIOSはマザーボードBIOSがHDDを制御する機能を乗っ取り,マザーボードBIOSがIDE HDDにアクセスする場合と同じ手順でSCSIデバイスにアクセスすることを可能にします。したがってSCSI BIOSがあれば,マザーボードのBIOS経由でHDDにアクセスするDOSなどではSCSIデバイスからも起動できますし,ドライバなしでアクセスすることも可能です。ただしSCSIのCD-ROMドライブなどはもともとマザーボードのBIOSでは制御できませんから,SCSI BIOSがあってもドライバが別途必要になります。
これ以外にはSCSIの機能に関する設定があります。最近はSCSI機器がターミネータ機能を持つのが普通ですから,これらのオン/オフなどの設定があります。またSCSI-1(初期のSCSI規格)の時代にはほとんどSCSIの設定はなかったのですが,現在のようにさまざまな転送方法がサポートされると,状況に応じて転送方法を設定する必要があります。例えばUltra SCSIでは接続されたデバイス数によって許容されるケーブルの最大長が変化するので,わざとUltra転送機能を無効にするようなこともあるわけです。トラブル回避のために特定のデバイスだけ転送速度を落とすといったこともよくあります。
SCSI BIOSの役目は,このようにSCSIデバイスからの起動のサポートと,各種設定の実行だと思えばいいでしょう。SCSIデバイスから起動しないならSCSI BIOSの役目は半分は不要になりますが,現在のUltra Wide SCSI,Ultra2 Wide SCSIなどではかなり多くの設定が存在します。そこで結局SCSI BIOSは必須ということになります。実際これらの高機能なSCSIカードでSCSI BIOSを持たない製品はほとんどありません。
現在でもFast SCSIでSCSI BIOSを持たないSCSIカードが販売されていますが,BIOSの代わりに付属のソフトウェアでSCSIのブート以外の各種設定が可能になっていることが多いようです。
(坪山博貴)
アダプテックジャパンの「ULTRA2 SCSI CARD 2930U2」(価格:オープンプライス 実勢価格:2万8800円 問:アダプテック プリセールスサポートセンター TEL:03-5992-3071)。このカードもSCSI BIOSでさまざまな設定ができる