どうしてCD-R書き込みが失敗するのか

4倍速書き込みのCD-Rドライブを買ったのですが,4倍速だと書き込みに失敗します。2倍速なら大丈夫なのですが,どういった点が問題なのでしょうか。


Windows 98になってディスク周りの処理が大幅に改善されたためか,CD-Rの書き込み失敗談も少なくなってきましたが,一方でユーザー数が増えたため初歩的なトラブルは多くなっているようです。書き込みに失敗する原因は,ソフトウェアに起因する問題と,ハードウェアに起因する問題が考えられます。

●ソフトウェアに起因する問題
 まず,ソフトウェア側から見た場合,つまるところCD-Rの書き込みにどれだけのマシンパワーを割り当てられるかがポイントとなります。バランスよくチューンされたマシンであれば,裏タスクで仕事をさせても足を引っ張られることは少なくなってきています。
 もちろん8倍速で書き込む場合には,最低転送速度が1200KB/秒を常時上回るHDDをテンポラリに使う必要がありますが,よほど古いものでなければ,これをクリアしていないものはまずありません。最近のSlot1クラスのマシンを使っている場合,報告書をまとめたりする程度の処理であれば,現在一般的な2/4倍速書き込みドライブを使うぶんには問題になることはほとんどないようです。ただし,システムドライブにテンポラリを取ると処理待ちが起こり,瞬間的にこれを下回る危険性は残ります。同時に別タスクを使う場合,テンポラリ用のHDDを用意しておくと安全です。
 ここでCD-Rを作成するときのポイントをまとめてみましょう。エラーの中で最も多いのがバッファアンダーランによる書き込みの中断ですが,これは以下の項目に気をつければ十分回避できるものです。
@省電力モード(HDDの電源を切る)を無効にしておく
Aスクリーンセーバー,スケジュールタスクを無効にする
B可能な限り裏タスクや常駐ソフトを停止させ,同時にほかの処理をさせない
Cネットワークから切り離す
 実際にテストを行ったところ,ノートPCを含めほとんどの構成で問題なく書き込めました。CPUパワーもそれほど必要なく,Pentium/100MHzあたりのマシンでもまず失敗しないはずです。
 つまり,普通に使っていてストレスがない程度のマシンであれば,CD-Rを焼くためにとくにパーツ交換などの必要はありません。現在うまく焼けていない場合には,まずOSのチューニングをしてみることをお勧めします。
 最近のトラブル事例では,バッファアンダーランの原因としては@の省電力機能が働いてしまったため,HDDからのデータ転送が滞るというケースが多いようです。
 Windows 98は,標準設定では15分間キー入力がないとHDDへの給電を切ってしまいます。CD-Rへの書き込み中でも実行してしまうため,CD-Rドライブへ送るべきデータが用意できずに書き込みに失敗してしまいます。省電力モードの設定は,コントロールパネル→[電源の管理]から行えますので,CD-R書き込み時は設定を変更しておきましょう。
 ABですが,問題になりやすいのはワクチンソフトやスケジュール管理ソフト,スクリーンセーバーなどで,すでにメモリにロードされている場合を除き,フロントタスクに出てくると一時的にHDDを占有する可能性があります。
 Cのネットワークについては,CD-R書き込みマシンに対する共有を切断する程度で大丈夫ですが,ブロードキャストが多い場合は,LANケーブルを抜いてしまったほうが確実です。
 これらはハイエンドマシンを使っている場合でも設定しておく必要があります。逆にいうと,これらに留意しておけば,通常の用途にはパワー不足気味のマシンでも,CD-R作成機として十分実用になります。

●ハードウェアに起因する問題
 ソフトウェア的なものと比べるとハードウェアに起因する問題は切り分けが簡単です。基本的には配線のチェックで解消できます。
 最も多いのが粗悪なケーブルを使っていたり,ケーブル長が長すぎることによるトラブルです。とくに前者はなかなか発見できませんが,けっこう多いのでここまでの対策で効果がなかった場合は試してみる価値があります。複数台のSCSI機器を接続している場合には,CD-R作成に必要な機器以外を外して,できるだけシンプルな構成にしてからテストしてみてください。これからケーブルを用意する場合は,必要最小限の長さのものを購入するようにしたほうがいいでしょう。
 ターミネータの設定が間違っていたというケースもよくあります。SCSIはバスの両端に経路の終わりを示すターミネータを取り付ける必要がありますが,複数台の機器が接続されている場合に,経路の途中にある機器の内蔵ターミネータが有効になっていると信号が錯綜してしまい,データが化けたり,場合によっては機器の破損の原因となります。これは両端で正しく終端してやれば改善されます。
 ここまでやればほとんどのトラブルは解消するはずですが,ごくまれにどうしても相性が悪いSCSIカードとCD-Rドライブの組み合わせも存在します。これらの多くはミニポートドライバあるいはファームウェアの更新で改善できます。一度ftpサイトなどで新版がないか確認しておくといいでしょう。それでもどうしてもうまくいかない場合は,SCSIカードの交換を考えたほうがいいかもしれません。
(菊地 潤)


CD-Rの書き込みを行うときは「電源の管理のプロパティ」で省電力機能をオフにしておこう