Microsoft DirectX 8.0 |
キャプチャは、できる限り高速に大量の情報をディスクに保存することが要求されるハードウェア集中型操作である。キャプチャする情報はビデオおよびオーディオ データが一般的である。システムを低速化させるボトルネックの削減は、キャプチャした動画の品質向上のために非常に重要である。
ここでは、キャプチャ アプリケーションを使用するときや、キャプチャ パフォーマンスが最適化されるようにキャプチャ システムをセットアップするときに役立つ、推奨される一般的な操作方法およびヒントと助言を示す。
注 : 必ず使用しているキャプチャ カードのドキュメントを読み、キャプチャ カード固有の情報を確認すること。システムも一定ではないため、ここに示す情報のすべてが使用しているシステム構成に適用するとは限らない。
ここでは次の内容について説明する。
キャプチャは、キャプチャ カードからディスクへの大量のデータ転送を伴う。特定のキャプチャのシナリオにおけるデータの量と求められるデータのスループットを理解するために、次の場合を考える。
高さ 320 ピクセル、幅 240 ピクセルの動画をキャプチャ レート 30 フレーム/秒 (fps)、24 ビット カラー フォーマットでキャプチャするとする。動画に音は入っていない。
すべてのイメージ データをキャプチャして画質を維持するためには、圧縮されていないデータを毎秒何バイト転送する必要があるかを、次に示す式を使って決定する。
転送するビデオ データのバイト数 = 高さ (ピクセル単位) x 幅 (ピクセル単位) x レート (fps 単位) x 色数 (バイト単位)
このシナリオの数字をあてはめると、次の結果になる。
転送するビデオ データは 320 x 240 x 30 x 3 = 6912000 バイト
この動画を目的のサイズ、フレーム レート、および色数で 1 秒間キャプチャするには、約 690 万バイトのディスク領域が必要になる。これに 60 秒を掛けると、1 分間の数字が求められる。この場合は毎分のキャプチャに 414,720,000 バイトが必要になる。必要なデータの量を減らすには、この式のいずれかのパラメータの値を小さくする。つまり、サイズの小さいイメージをキャプチャするか、毎秒あたりのフレーム数を減らすか、色数を減らす。ただし、イメージの要求が高いためにシステムの負荷が限界に達し、毎秒あたり可能な最大メガバイト数でキャプチャすることが求められる場合は、システムをできる限り最適化する必要がある。最終的に、再生時の動画の表示に影響するのは、どのようなキャプチャ設定を用いるかということである。
前に示した数字は音のない動画の例である。ビデオと同時にオーディオもキャプチャする場合は、必要なオーディオ データの量を増やす必要がある。たとえば、44 キロヘルツ (kHz)、16 ビットのステレオで録音された CD 品質のオーディオの場合、毎秒約 172 キロバイト (KB) が必要になる。さらに、オーディオ キャプチャは非常に CPU 集中型であり、オーディオ データとビデオ データの同期化 (唇の動きと音を合わせるときなど) は遅延の原因にもなる。
選択した設定に応じた必要なデータ転送量をシステムで満たせないこともあり得る。キャプチャを実行する場合、システムがポーズする、ビデオの動きが一定でなく不安定 (スムーズでない)、一部のフレームが欠落している (ディスクに保存されていない) などの問題が起きることがある。このようなイメージを再生した品質は一般に満足できるものではない。このような問題を避けるために、キャプチャに合わせてシステムを最適化する方法がいくつかある。
ここに示す推奨事項は、キャプチャ パフォーマンスを最適化するという目標の実現に役立つ。同時に、システムはそれぞれ異なるため、あるシステムでパフォーマンスが向上しても別のシステムでは効果がない場合もあるので注意すること。
キャプチャは多量にハードディスクを消費するので、キャプチャに使用するハード ドライブ (データ ドライブまたはデータ ディスクとも呼ばれる) 上のファイルを最適化することは、キャプチャ パフォーマンス最適化の最も重要な作業である。次の一覧は、データ ドライブ最適化の目標と、目標を実現するためのテクニックを示す。ここに示すのは推奨されるテクニックであり、特定のキャプチャ要件に対しては効果的でない場合もある。使用するテクニックは要件と資源に応じて明確に定まる。
ハード ドライブのヘッドは、連続的なファイルを読み書きする方が、ディスク上の別の不連続な場所をシークせずに済むため効率的である。Microsoft® Windows® のデフラグ (Defrag.exe) のようなツールを使ってデータ ディスクを最適化する。データ ドライブとオペレーティング システム ドライブの両方を最適化する。オペレーティング システム ドライブは、ドライバ (オーディオ ドライバやビデオ ドライバなど) を使用するとき、システム キャッシュに書き込むとき、レジストリに書き込むとき、オーバーレイを使用するときなどに使われる。Windows 9x スキャンディスク ツールを実行し、データ ドライブとオペレーティング システム ドライブの完全性を確認する。
ファイル領域の割り当ては時間を消費するので、キャプチャの前にファイルを割り当てる必要がある。キャプチャしたデータがキャプチャ ファイルに入りきらない場合、システムはファイルのための追加領域を割り当てなければならず、これもキャプチャ低速化の原因になる。必要に合った十分な大きさのファイルを割り当てることによって、キャプチャ実行中のファイル領域割り当てを避け、低速化を防ぐ。キャプチャしたデータを保存するには元のキャプチャ ファイルと同じ容量が必要なので、キャプチャしたファイルを別ファイルとして保存できるだけの空き領域がハード ディスクになければならない。キャプチャ ファイルも定期的に最適化すること。
Microsoft® Windows NT® 4.x と Windows 2000 にはスキャンディスクやデフラグ ツールが付属していないので、このテクニックが特に役に立つ。ディスク全体またはディスク パーティションをキャプチャ ファイル専用にすると、キャプチャ ファイル領域を整理された連続的な状態に保ちやすい。このようなディスクまたはパーティションは、フォーマットして再度ファイル領域の事前割り当てを行うことや、ディスクまたはパーティションのほかのファイルを気にせずに最適化を実行することができる。専用キャプチャ ドライブをフォーマットするときは、ディスク上の古いデータをそのまま残すクイック フォーマットではなく、完全フォーマットを実行してディスクを初期化する。
データ ドライブを整理された状態に保つために、キャプチャしたイメージはデータ ドライブまたはデータ パーティションとは別のディレクトリに保存する。ドライブ全体をキャプチャ専用にすることができない場合は、キャプチャ ファイル用の領域を割り当て、ファイルを最適化してから、(Windows 9x の場合) Windows 9x スキャンディスク ツールを実行する。
キャプチャ ファイルをディスク上の唯一のファイルとして割り当てた場合、またはディスクの最初のパーティションの唯一のファイルとして割り当てた場合は、ファイルはディスクの外側から開始する。ハード ディスクの外側の部分へのアクセスは、ディスクの内側の部分へのアクセスよりも高速である。キャプチャ専用にできるハード ドライブがない場合は、ディスク ユーティリティを使ってキャプチャ ファイルをディスクの開始位置に移動できる。
キャプチャ セッションのたびに必要に応じてこれらの目標を再確認し、ディスクが最適なパフォーマンスを実現するように設定されていることを確認すること。毎回キャプチャ セッションの前にデータ ディスクを最適化し、保存したファイルを再生する前に、保存したイメージを含むドライブを最適化する。
Windows 9x コントロール パネルの [システム] アイコンには、キャプチャ パフォーマンスを最適化するためにオフにできるオプションがいくつかある。キャプチャのような高い帯域幅の状況では、可能な最大限のデータをドライブに書き込むことと、ソフトウェア最適化またはシステム変更のチェックに時間を消費しないことが重要である。次のオプションをオフにする。
Windows 9x でこれらのオプションにアクセスするには、[スタート] メニューをクリックする。[設定] の [コントロール パネル] をクリックし、[システム] アイコンをダブルクリックする。目的のタブをクリックし、次に示すように操作する。
新しい設定を有効にするには、マシンを再起動する必要がある。
注 : ほかのアプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、キャプチャ セッション完了後は必ずこれらの設定を元の値に戻すこと。
キャプチャ以外の目的でシステムに割り込む原因または CPU 時間を消費する原因となるものはすべて、キャプチャのパフォーマンスを低下させる可能性がある。次の作業を実行してシステムのパフォーマンスに影響するかどうかを確認する。
ここでは、これまでに示したその他の推奨事項を実行した後に試す価値のある、キャプチャのパフォーマンスを向上させるためのさまざまなヒントと助言を示す。推奨事項はハードウェア関連とソフトウェア関連に分けられてる。
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