Platform SDK: DirectX

Direct3DX ユーティリティ ライブラリについて

Direct3DX ユーティリティ ライブラリのアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) は、COM を基にしており、DirectX 7.0 の Direct3D® コンポーネントと DirectDraw® コンポーネントの最上位にあるヘルパー層である。これは、アプリケーションが静的にリンク可能なヘッダー ファイル セットとライブラリ (d3dx.lib または d3dxd.lib) として設計されている。

アプリケーションで Direct3DX ユーティリティ ライブラリにより提供される機能を利用するには、d3dx.lib をリンクする必要がある。しかし、デバッグ アプリケーションの場合は、ライブラリのデバッグ バージョン d3dxd.lib をリンクするとよい。このデバック バージョンは、パラメータやデータ構造体の有効性を検査し、デバッグ エラー メッセージを出力する。エラーが発生すると、デバッグ出力は問題点についてより詳細な説明を提供する。デバッグ ライブラリの実行速度はリテイル バージョンのライブラリ (d3dx.lib) よりも遅いが、アプリケーションをデバッグするにはとても便利である。

Direct3DX ユーティリティ ライブラリは、3D グラフィック開発者のタスクの中で共通するものを簡易化したヘルパー関数を提供している。このユーティリティ ライブラリは Direct3D 直接モードに付属しているので、これを使用するには Direct3D 直接モードの主要部分を理解していることが必要である。

ユーティリティ ライブラリは、Direct3D 直接モードを迅速かつ有効に使用したい開発者のために設計された。退屈なタスクを一部取り除き、ショートカットのツールキットを提供することで、開発者がアプリケーションやゲームの開発そのものにすぐに集中できるようにしている。

Direct3DX ユーティリティ ライブラリは、デバイス設定の列挙、デバイスのセットアップ、フルスクリーン モードとウィンドウ モード共通の実行、サイズ変更処理の実行、ベクトルや行列の演算の計算、およびイメージ ファイル ロード処理やテクスチャ作成処理の簡易化のヘルパー機能を提供している。また、簡単な形状、スプライト、キューブ マップを描画するための関数も提供している。ただし、Direct3DX はシーン階層を提供していなかったり、または X ファイルをサポートしていない。

ユーティリティ ライブラリでは、少なくともユーザーのシステムに DirectX 7.0 がインストールされていることが必要である。Direct3DX ユーティリティ ライブラリは、複数のモニタ設定をサポートしている。ただし、Direct3DX オブジェクトはマルチスレッドについては保証されていない。マルチスレッド化アプリケーションは、Direct3DX オブジェクトにアクセスするには、それ自体のロックと同期プリミティブを追加する必要がある。

D3DX_DEFAULT は事前に定義された値であり、Direct3DX アプリケーション プログラミング インターフェイス (API) のパラメータ、または列挙関数やハンドルであるメンバ関数のパラメータとして使用できる。リファレンスの節で、D3DX_DEFAULT を使用できる場所や、各状況での解釈方法について示す。

D3DX_DEFAULT_FLOAT は D3DX_DEFAULT に似ているが、これは浮動小数点パラメータで使用する。