第4章:エイトボール(8-ball)

 もしあなたがビリヤードゲームを一つだけ知っているとしたら、それはおそらくエイトボールでしょう。しかしたぶんびっくりすることになるでしょうが、それはどこかのだれかが決めたハウスルールによるもので、公式ルールでプレイしたことはないはずです。別にハウスルールが悪いわけではありません。公式ルールももともとはどこかのハウスルールであったはずで、より正確に言えばいくつかのハウスルールが組合わさったものでしょう。ハウスルールは公式ルールをもっと気楽にしたもの(アルティメイトプールでのように)かもしれませんし、単に皆の同意の下にいくつかのルールを省略したものかもしれません。いずれにせよハウスルールが面白いのは、その尽きることのない変種によるものです。

 アルティメイトプールには、エイトボールのハウスルールとトーナメントルールの両方が入っています。ゲームのゴールは両方とも一緒です。すなわち、プレイヤーは7つのボールのセット(ストライプまたはソリッド)をポケットした後に、8のボールをポケットします。アルティメイトプールに採用されている公式のトーナメントルールは、全米ビリヤード協会(the Billiard Congress of America (BCA))によって定められたもので、ハウスルールは、私たちがプレイしているものです。前者に特有のルールはエイトボールを代表するものであり、後者は気楽な気分でビリヤードを楽しみたいときに私たちがプレイするルールです。

エイトボール(ハウスルール)

エイトボールのハウスルールでは、1から15までの15個の的球と手球を使用します。プレイヤーのゴールは、最初に自分のボールのセット(ソリッドは1から7まで、ストライプは9から15まで)をすべてポケットし、最後に8をポケットすることです。最初に8のボールをポケットしたプレイヤーが勝ちです。

 エイトボールのハウスルールでは、コールショットをする必要はありません。プレイヤーのイニングは、自分の的球をポケットに入れ損ねるか、ファウルしたときに終了します(下のファウルの項を見て下さい)。

オープニングブレイク

 ハウスルールでのオープニングブレイクは、プリファレンスメニューで指定されたスターティングプレイヤーが行います。ブレイクショットはヘッド線よりも手前から行わなければなりません。これ以外にオープニングブレイクの条件はありませんが、”紳士的なプレイ”という観点からは、これが強制されない場合にも同様にオープニングブレイクを行うことが要請されます。

 プレイヤーがオープニングブレイクでいずれかのボールをポケットすると、そのボールによってプレイヤーのボールのセット(ストライプまたはソリッド)が決まります。ストライプとソリッドの両方をポケットしたときには、どちらかを選ぶように求められます。

 プレイヤーがブレイクでボールをポケットできなければ、そのプレイヤーのイニングは終了し、次のプレイヤーのイニングが始まります。少なくとも一つのボールがポケットに落ちるまでは、テーブルはオープンのままです。

 プレイヤーがブレイクでスクラッチした場合はファウルとなり、通常のスクラッチのルールが適用されます(下のファウルの項を見て下さい)。

 プレイヤーがオープニングブレイクでファウルせずに8をポケットした場合、そのプレイヤーが勝ちとなります。

適正なショット

 オープニングブレイクでどのボールもポケットされなかったときは、プレイヤーのどちらかがファウルせずにボールをポケットするまで、テーブルはオープンのままです。そしてそのポケットされたボールで、プレイヤーのボールのセット(ストライプまたはソリッド)が決まります。

 テーブルがオープンであればプレイヤーはどのボールを狙ってでもショットできますが、プレイヤーのボールのセットがいったん決まれば、手球が最初に当たるボールは自分のセットのボールでなければなりません。

 プレイヤーが自分の的球をポケットできなかったとき、そのプレイヤーのイニングは終了し、相手のプレイヤーのイニングとなります。

ファウル

 プレイヤーが次に述べるような理由によりファウルとなったとき、そのプレイヤーのイニングは終了し、ファウルの間にポケットに入ったプレイヤー自身の的球はすべてスポットに置き直されます。ポケットに入ったその他の的球はそのままにされ、相手のプレイヤーのイニングとなります。

 スクラッチ: プレイヤーは手球をポケットしてはいけません。スクラッチの後、相手のプレイヤーにヘッドラインより手前でのボール・イン・ハンドが与えられます。

 ヘッドラインより手前からの不正なショット: プレイヤーがヘッドラインより手前でのボール・イン・ハンド(ボール・イン・キッチン)を与えられているとき、最初にキッチンから手球を突き出さないかぎりキッチンの中の的球にショットすることはできません。手球がクッションに当たり、跳ね返ってきてキッチンの中の的球に当たるようなショットは適正です。 注意:プレイヤーは、キッチンの中になければどんな的球にでも、ルールに則ってショットすることができます。

 適正なショットに失敗したとき: プレイヤーは”適正なショット”の項に述べられているようなショットを行わなくてはなりません。

負けの場合

 プレイヤーが自分の的球をテーブル上から全部なくしたとき、プレイヤーは”8をショットする”ことになります。

 プレイヤーが、”8をショットする”時ではないにも関わらず8をポケットすれば、そのプレイヤーは負けとなります。

 プレイヤーが、”8をショットする”時にスクラッチすると、そのプレイヤーは負けとなります。

 プレイヤーが、8をポケットしたときにファウルしていると、そのプレイヤーは負けとなります。

スコアリング

 エイトボールのハウスルールではスコアはつけません。8をファウルせずにポケットしたプレイヤーが勝ちです。

エイトボール(トーナメントルール)

エイトボールのトーナメントルールでは 1から15までの15個の的球と手球を使用します。プレイヤーのゴールは、最初に自分のボールのセット(ソリッドは1から7まで、ストライプは9から15まで)をすべてポケットし、最後に8をポケットすることです。最初に8のボールをポケットしたプレイヤーが勝ちです。

 プレイヤーはコールショットを行わなければなりません。プレイヤーのイニングは、自分の的球をポケットに入れ損ねるか、ファウルしたときに終了します(下のファウルの項を見て下さい)。

オープニングブレイク

 トーナメントルールでのオープニングブレイクは、プリファレンスメニューで指定されたスターティングプレイヤーが行います。ブレイクショットはヘッドラインよりも手前から行わなければなりません。またプレイヤーは的球をポケットするか、少なくとも4つの的球をクッションに接触させなければなりません。

 プレイヤーが上に述べたようなオープニングブレイクを行えなかったときでも、それはファウルではありません。しかし、次のプレイヤーはそのままプレイを続けるか、もう一度ボールを並べて自分がブレイクし直すかを選択できます。

 プレイヤーがオープニングブレイクで的球をポケットした場合、そのプレイヤーのイニングが続きます。しかし、ブレイクでポケットされたボールがプレイヤーのボールのセットを決めるわけではありません。プレイヤーがボールとポケットをコールし、そのショットに成功するまでテーブルはオープンのままです。コールしてポケットされたボールでプレイヤーのセット(ストライプまたはソリッド)が決まります。

 プレイヤーがブレイクで的球をポケットできなかった場合、そのプレイヤーのイニングは終了し、次のプレイヤーのイニングが始まります。コールされた的球がポケットされるまで、テーブルはオープンのままです。

 オープニングブレイクでは、プレイヤーは最初に1のボール(テーブル上で最も番号の小さい的球なので)に当てなくてはなりません。そうできなかったときもファウルではありませんが、プレイヤーはブレイクをやり直すことになります。

 プレイヤーがブレイクでスクラッチし、かつ8をポケットしたとき、次のプレイヤーはボールを並べて直して自分がブレイクするか、8のボールをフットスポットにおいてヘッドラインより手前でのボール・イン・ハンドでショットします。

 プレイヤーがオープニングブレイクでファウルせずに8をポケットした場合、ブレイクをやり直すか、8のボールをフットスポットに置いてショットを続けます。

適正なショット

 テーブルがオープンであればプレイヤーはどのボールを狙ってでもショットできますが、プレイヤーのボールのセットがいったん決まれば、手球が最初に当たるボールは自分のセットのボールでなければなりません。

 ショットが適正であるには、プレイヤーは的球をポケットするか、手球が的球に当たった後に手球、またはいずれかの的球がクッションに接触しなければなりません。

 プレイヤーが自分の的球をポケットできなかったとき、そのプレイヤーのイニングは終了し、相手のプレイヤーのイニングとなります。

セーフティ・プレイ

 エイトボールのトーナメントルールでは、セーフティ・プレイが許されています。プレイヤーはセーフティ・プレイを行うことによって、ファウルすることなしに自分のイニングを終了できます。セーフティ・プレイは、”適正なショット”の項で定められているようなショットでなくてはなりません。セーフティ・プレイの後、そのプレイヤーのイニングは終了し、相手のプレイヤーのイニングとなります。セーフティ・プレイを行ったとき、自分の的球がポケットされた場合にはそれらのボールはスポットに置き直され、それら以外の的球はポケットされたままとなります。

アルティメイトプールでセーフティ・プレイを宣言するときには、セーフティショットを行う前にヘッドレールの所にある、真鍮の"Quarter Note Software"の飾り板をクリックします。クリックした後に気が変わり、ふつうのショットをすることにしたときには、単に的球とポケットをクリックします。

無効なショット

 次に述べるようなショットは無効ですが、ファウルではありません。プレイヤーが無効なショットをしたときには、ポケットされた自分の的球はスポットに置き直されます。他の的球はポケットされたままで、相手のイニングとなります。

 的球とポケットをコールしない ─ プレイヤーはどのショットの前にも、的球とポケットをコールしなければなりません。

 指定したポケットに的球をポケットできない ─ プレイヤーは、自分が指定したポケットにしか的球を入れられません。

 指定していない的球がポケットしているが、指定した的球がポケットしていない ─ プレイヤーが指定した的球をポケットできなかった場合、自分のセットの的球で指定していないボールがポケットされているときは、そのボールはスポットに置き直されます。相手のセットの的球の場合はポケットされたままとなります。

ファウル

 プレイヤーが次に述べるような理由によりファウルとなったとき、そのプレイヤーのイニングは終了し、ファウルの間にポケットに入ったプレイヤー自身の的球はすべてスポットに置き直されます。ポケットに入ったその他の的球はそのままで相手のイニングとなり、相手にボール・イン・ハンドが与えられます(ボール・イン・ハンドとは、プレイヤーが手球をテーブルの上のどの場所にでも置いて良い、ということを意味します。ヘッドラインより手前に限りません)。

 スクラッチ: プレイヤーは手球をポケットしてはいけません。

 ヘッドラインより手前からの不正なショット: (このルールはスターティングプレイヤーがブレイクでスクラッチしたときにのみ適用されます)プレイヤーにヘッドラインより手前でのボール・イン・ハンド(ボール・イン・キッチン)が与えられているとき、最初にキッチンから手球を突き出さないかぎりキッチンの中の的球にショットすることはできません。手球がクッションに当たり、跳ね返ってきてキッチンの中の的球に当たるようなショットは適正です。

 適正なショットに失敗したとき: プレイヤーは”適正なショット”の項に述べられているようなショットを行わなくてはなりません。

負けの場合

 プレイヤーが自分の的球をテーブル上から全部なくしたとき、プレイヤーは”8をショットする”ことになります。 注意:”8をショットする”際にファウルまたは無効なショットをしたとき、8のボールをポケットしないかぎり負けとはなりません。

 8をポケットしたとき、ファウルまたは無効なショットをしていれば負けとなります。

スコアリング

 エイトボールのトーナメントルールではスコアはつけません。8をファウルせずにポケットしたプレイヤーが勝ちです。

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