━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コネクトコネクション: KV−29DRX5(SONY) MADOKA ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近ではX680x0の専用ディスプレイが寿命を迎えたという話を良く聞きます。 X680x0のディスプレイを巡る環境もますます厳しくなってきました。一般のマル チスキャンディスプレイの中にはX680x0の信号を映せる物もありますが、多くは 31kHzモードまでしか映すことが出来ず、24kHzや15kHzのモードに対応している 物はほとんどありません。そんな訳で満開の4倍速スキャンコンバータの発売を 待っていたユーザーも多いと思います。(ホントに止めちゃうんですか?) 話は変わりますが、みなさんプレイステーション2はもう手に入れましたか? 我が家では永年愛用していたテレビがちょうど寿命を向かえたことと、近い将来 のプレイステーション2の購入も視野に入れて、最近テレビを更新しました。 ●接続した機器 SONY製 KV−29DRX5 いわゆるFD TrinitronのWEGAです。標準価格は225,000円/実売価格142,500円 でした。入出力関係の仕様は次の通りです。 前面端子 ヘッドホン端子 ビデオ2入力端子(S1映像/映像/音声) 背面端子 BSデコーダ/ビデオ5入力端子(映像/音声) 検波出力端子 VHF/UHFアンテナ端子 BS IF入力端子 AFC入力端子 ビットストリーム出力端子 BS/ビデオ出力端子(S1映像/映像/音声) ビデオ1,3,4入力端子(S1映像/映像/音声) AVマルチ入力端子 コンポーネント1,2入力端子(D3映像/音声) コンポーネント3入力端子(映像/音声) MUSE入力端子 コントロールS端子 「これでもかっ!」というほど入出力端子は充実しています。近い将来のテレビ 放送のデジタル化も視野に入れるとこれぐらいの装備は必須でしょ!? もちろん 画質も申し分ありません。私はSONYの回し者ではありませんから宣伝はこの程度 にして本題に戻ります。 15kHzのRGB信号といえば昔から21ピンRGBマルチコネクタ端子があり、この端 子を装備したテレビやディスプレイも多くありました。実際すでに21ピンRGBマ ルチコネクタ端子を通してX680x0の15kHzモードの映像をテレビに映し出してい るユーザーも多いかと思います。KV-29DRX5にもAVマルチ端子(いわゆるプレステ 専用端子)という12ピンのRGB入力端子を備えており、ここにX680x0のRGB信号を 入力してやろうという事です。今更という感もありますが、この限りなくディス プレイに近いテレビの実力が見たくて「こねこね」してみました。 ●接続方法 プレステ専用端子は21ピンRGBマルチコネクタの出力信号等を省略したもので 内容的には21ピンRGBマルチコネクタのそれと同じ様です。ですからX680x0の水 平および垂直の同期信号を合成して複合同期信号を作って入力してあげれば割に 簡単に映ります。私は変換ケーブルおよび変換コネクタを作成し、実際に次の様 な形で接続しました。X680x0だけでなくセガサターンなども繋ぎたいので、間に 21ピンRGBマルチコネクタを経由することにしました。 ◎変換ケーブルをみる ◎接続例をみる X680x0 アナログRGB信号出力用コネクタ(Dsub15ピン) ↓ 変換ケーブル(Dsub15ピン -> 21ピン) ↓ 変換コネクタ(21ピン -> 12ピン) ← セガサターンなど ↓ マルチAVケーブル(VMC-AYM250) ← プレイステーション ↓ KV-29DRX5 AVマルチ入力端子 ●変換ケーブルおよび変換コネクタの作成 各端子の信号の内容と結線は次の通りです。プレステ専用端子の内容はいろん な情報を元に独自に調べたものです。間違っているかもしれません。先に言って おきますが、仮にこの情報を元にケーブルやコネクタを作成して接続した結果、 新品のテレビや命より大切なX680x0を壊す羽目になっても私には一切責任が持て ません。 X680x0側 RGBマルチコネクタ プレステ専用端子 D-sub15ピン 21ピン 12ピン 端子 信号名 端子 信号名 端子 信号名 1 R OUT -------- 15 RED -------- 2 RED 2 GND -------- 13 RED GND ---+ 3 G OUT -------- 19 GREEN ---|---- 1 GREEN 4 GND -------- 17 GREEN GND ---+---- 5 GND 5 B OUT -------- 20 BLUE ---|---- 4 BLUE 6 GND -------- 18 BLUE GND ---+ 7 Ys ・・・・・・・・ 16 Ys in 8 GND ・・・・・・・・ 14 Ym,Ys GND 9 N.C 11 AV control ・・・・・・・・ 3 AV control 10 AUDIO L -------- 1 audio in L -------- 11 AUDIO L 11 AUDIO R -------- 5 audio in R -------- 9 AUDIO R 12 GND -------- 3 audio in GND -------- 12 GND 13 N.C 7 C sync in GND -------- 10 GND 14 H-SYNC -| OR |- 9 C sync in -------- 7 VIDEO/C-SYNC 15 V-SYNC -|回路| ※ ・・・・・・・・は特に繋げる必要はないと思われます。 21ピンRGBマルチコネクタ マルチAVケーブルコネクタ 21 1 1 12 ____________________ ______________ l l l l l l l l l l l| | ii iiiiiiiii | / l l l l l l l l l l | ――― ―――  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 20 2 ※ 3番(AV control)はピンがありません 複合同期信号は水平同期信号と垂直同期信号をOR回路に通すことで簡単に得ら れます。本当はTTLなんかを使って合成して、レベルもきちんと合わせる必要が あるのかもしれませんが、回路が大きくなるのと何より+5Vが必要となるので、 ダイオードを使った簡単な回路にしてコネクタ内に収めてしまいました(まぁ、 実際に映ってるからいいでしょ.....いいのかしら?)。私が実際に作成した回路 を次に示します。私は電気回路には詳しくないのでもしかしたら間違いや重大な ミスがあるかもしれません。詳しい方フォローしてくださると助かります。 H-SYNC --->|---+ | V-SYNC --->|---+---- C-SYNC | -->|-- : ダイオード GND ---VVV---+ --VVV-- : 抵抗(200Ω程度) ◎回路を見る ダイオードはジャンク基盤から適当に抜き取って使用しました。またX680x0の 取扱説明書によると水平および垂直同期信号はTTLレベルです。それに対して、 詳しい資料がないので正確なところはわかりませんが、プレステ専用端子の複合 同期信号のレベルは1.0Vp-p程度と思われるます。適当な抵抗でプルダウンして やる必要があります。実際に手元にあった抵抗をいくつか試した所、30〜680Ω の抵抗ではうまく同期が取れましたが、2kΩ以上では同期が取れませんでした。 私の場合200Ωの抵抗を用いて電圧の実測値は1.1Vでした。 ◎コネクタをみる 複合同期信号の代わりに複合映像同期信号(いわゆるコンポジットビデオ信号) を入力してもOKです。ちなみにセガサターン用の21ピンRGBケーブルの場合コン ポジットビデオ信号が割り当てられていました。 今回変換ケーブルおよび変換コネクタに使用した材料は以下の通りです。 ・Dsub15ピン アナログRGBケーブル 1本 200円(ジャンク品) ・21ピンRGBマルチコネクタ オス 1個 260円 ・21ピンRGBマルチコネクタ メス 1個 150円 ・ダイオード(内容不明) 2個 − (ジャンク品) ・抵抗(200Ω程度) 1個 10円 ・モールドケース(70 x 40 x 25mm) 1個 60円 ・配線材 適量 ・ユニバーサル基盤 適量 ・プリント基板の全面シールド部分 適量 (ジャンク品) プレステ専用端子用のケーブルはテレビのオプションとして売られています。 ・マルチAVケーブル(VMC-AYM250) 1本 2,750円(定価3,000円) Dsub15ピン アナログRGBケーブルはぶった切って半分だけ使います。Dsub15ピ ンのオスコネクタとシールド線を買ってきて作っても良いのですが、ジャンクの ケーブルを買ってくる方がずっと安くつきます。仮に断線していたとしてもどう せ使うのは半分だけですから問題ないでしょ?! プリント基板の全面シールド部分とはグランドなどで全面銅が貼られている部 分のことで、12ピンAVマルチケーブル用の端子を作るのに使いました。私の知る 限り、このコネクタ用の端子だけは市販されていないので何かのジャンクから取 り出すか、自らの手で作り出すしかありません。私の場合ジャンクのプリント基 盤から全面シールド部分を切り出して図の様に加工しました(なにかジャンク品 ばかり使っているような.....)。基盤の厚さが1.5mm程度でシールド部分が20mm 角もあれば作れると思います。手順を簡単に説明します。 (1)表面の緑色の絶縁コート(名前何てゆーの?)をサンドペーパーで削り取る。 (2)16.5 x 7.0mmの凸状に基盤を切り出す。 (3)カッターナイフ等で図の様なパターンに表面の銅を削り出します。 (4)コネクタに合せて両側の網掛け部分を削り、厚さを調整する。 (5)パターン下部の幅広に取った部分に配線材をハンダ付けします。こんないい加減な説明で解りますか? 12ピンAVマルチケーブルをぶった切って 直接配線すればコネクタを作る必要もありませんが、プレイステーションが繋げ なくなってしまいます(それに、このケーブル定価で3,000円もするのよね〜〜)。 インターネットを検索してみると皆さん色々な方法で繋げていらっしゃいます。 市販のコネクタを加工して作っている方もいらっしゃいました。まぁ好き好きで すから、試される方はいろいろ工夫してみてください。 その他のコネクタについても結線が済んだら、最後にもう一度、結線に間違い はないか、各端子がショートしてないかテスターで確認してください。 ●動作確認 動作確認は ACEで行いました。 実際にゲームをいくつか立ち上げて確認しましたが、15kHzモードのものは何 れも問題なく表示されました。画質は全く申し分なく純正ディスプレイの比では ありません。映像はDRCプログレッシブモードと呼ばれる525p(480p)のモードで 出力されているようです。プログレッシブスキャンなので画面のちらつきがなく 一瞬、31kHzモードが映っているのかと見間違うほどでした。テレビ内でアップ スキャンコンバートしている訳です(そのおかげでバーチャコップが出来なかっ たりもする訳ですが......)。 ◎画面写真 アフターバーナーやスペースハリアー等は「爽快感120%」って感じです。29イン チの画面は何といっても迫力があります。ただ残念なことに有効走査線数480本、 240ライン分しか映りません。垂直振幅をいじっても480本分ですっぱり切られて いて表示されませんでした。格闘ゲーム等はほとんど問題ありませんが、シュー ティングゲームは画面の下の部分が1キャラ分切れるので、自機が消えると一瞬 戸惑います。グラディウスUなどでは取ったカプセルの数が全く分かりません。 まぁ、お金を掛けずに15kHz対応ディスプレイを手に入れようというのですから、 これぐらいは目をつむりましょう。 15kHz以外のモードはどうでしょうか。24kHzモードは予想通り全く同期が取れ ませんでしたが、31kHzモードでは1ライン上に2ライン分表示され、1ライン毎に 左右に振り分けた様な映像になりました。ですから31kHzモードで起動した後、 コンフィグレーション等で15kHzモードに切り替える様なゲームでもメニューを 勘で操作する必要はありません。 ●最後に.... 私はこれまでもビデオボードを使ってテレビやプロジェクタに出力して楽しん でいましたが、画質については「まぁ、こんなものだ」と諦めていました。しかし 今回の映像を見た時には大変感動しました。「もう、元には戻れない」って感じで す。 この手のテレビはどこの家でも大概は居間に置いてあるので、一人暮らしでも なければX680x0と同じ部屋には置いてないと思います(我が家も例外ではありま せん)。しかしX680x0を複数台所有している方や、ただ部品取り用として眠って いるだけのX680x0をお持ちの方は、ゲーム専用機として活用してあげては如何で しょうか。 我が家ではプレイステーション2はまだ購入していませんが、もしテレビの横 にプレイステーション2を立てたら、一緒にX680x0を並べて、元祖マンハッタン シェイプの威厳、風格というものをお友達に見せてあげたいと思います。 ◎マンハッタンシェイプ (EOF)