HTML の開発

HTML は World Wide Web 文書作成に使用されるマークアップ言語である。 HTML の正式な仕様はしばらくの間は開発途上にあるのだが、 Web ブラウザはそれぞれその仕様に含まれない固有のタグを認識していることがある。人が "全 HTML タグ" のリストが欲しいというときは、一般的にいって、作者の意図通りにそのページを正確に表示させるには自分のページにどのタグを入れればいいのか知りたい場合が多いだろう。 The Bare Bones Guide to HTML はこの要求を満たすために考案されている。私は今日の主要なブラウザがサポートしているタグをすべて含めようとしてきたが、この作業を本質的に不明確なプロセスとしてしまう微妙な違いがたくさんある。もしあなたが HTML 2.0、 HTML 3.0、 Netscape 拡張タグの間の違いについてよく知らないなら、ご自分の Web ページにどのタグを使うか決める前にこの節を読むことをお勧めする。

HTML 規格は Internet Engineering Task Force (IETF) の保護の下に開発されている。 HTML 2.0 は 1994 年 6 月の時点での HTML の最新仕様が成文化されているが、これは一般的に受け入れられている標準である。 HTML 2.0 を構成するタグは決まっているが、その正式な仕様説明はいまだ "最終検討" の段階にある。現存するすべてのブラウザの最新版はこの HTML 2.0 タグをすべて認識し、同じように表示するはずである。

HTML 3.0 は HTML 2.0 を元に構築され、多数の新しいタグが追加される。現時点で、 HTML 3.0 規格は "開発中" であり、 HTML 3.0 案の仕様には、しばらく安定を保っていて変更などありそうもないものがある一方で、 HTML 3.0 の開発が進むにつれて(Table タグのように)根本的に改正されたものもある。 IETF は来年中には HTML 3.0 規格を決定したい考えだが、多くのブラウザメーカーはどんどん先を行き、その拡張機能が欲しいために、ドラフト案をベースに HTML 3.0 のいくつか(しかし全部ではない)を実装している。 HTML 3.0 タグのどれを Bare Bones Guide to HTML に含めるか決める際には、 Netscape Navigator を使ってきて、 NCSA Mosaic for Macintosh と Windows は判断基準とした。それは 1995 年 6 月の時点でこれらの製品がブラウザ市場の 85% を占めていることを一貫して示す調査があったからだ。 Web ブラウザ市場の競争は激しいので、 Netscape と Mosaic が実装している HTML 3.0 タグを現在サポートしていないブラウザも、競争から脱落しないために近い将来実装すると考えられる。

Bare Bones Guide to HTML のリストにある HTML 3.0 タグを使うかどうか決める際には、あなたのページを見る人のことを考慮に入れるべきだ。一般的な配布を目的としてページを作りたいなら、大多数の人は正しく表示されたページを見るだろうから、これらのタグを利用する意味があるだろう。一方、ある特定の人々に向けてデザインしようとする場合、あるいはあなたのページに全ての人(例えば表組みのようなものを認識できないのが一般的なテキストベースのブラウザを使っている人などが含まれる)がアクセスできることが重要な場合は、 HTML 2.0 にとどめるべきだ。

公式な HTML 2.0 と HTML 3.0 タグに加えて、ブラウザメーカーは各社独自の "拡張" HTML をもたらした。拡張タグコレクションの中で最も広く行き渡り最もポピュラーなものは Netscape の作成したものである。いくつかの調査によれば Netscape Navigator は Web サーフィン人口の 70% 近くの人に使われているという。正確な数字は疑わしいが、 Netscape Navigator が今日使われている中で檀徒つの人気のあるブラウザだということは間違いない。 Netscape Navigator は HTML 3.0 規格のいくつかを最初にサポートしたブラウザの一つだが、 Netscape はまた HTML 3.0 案に含まれていないタグを多数実装している。その結果、多くの人は間違ってそういったタグ(例えば <BLINK> や <CENTER> など)を HTML 3.0 タグだと思い込んでいるのだが、事実は非標準の拡張タグなのだ。しかし、 Netscape Navigator はあまりに広く使用されているので、そして多くの Netscape 拡張タグを使えば作者が Web ページの外観をかなりコントロールできるので、 Netscape 拡張タグは極めてポピュラーになったのである。

こういった理由で、私は Netscape 拡張タグを Bare Bones Guide to HTML に含めた。これらのタグを使う際には、他のブラウザを使っている人には同じようには表示されないのだということを認識するべきだ。また、 Netscape タグはどの公式規格の中にも含まれないものであり、それらを将来のブラウザがサポートするかどうかは Netscape も誰も保証していないのだということも考慮に入れるべきである。 Netscape は今日のブラウザ界で支配的だが、将来は変わるかもしれないし、公式な HTML 規格の将来のバージョンは Netscape のアプローチからもっと離れていく可能性もある。したがって Netscape タグを使うべきかどうかはあなた自身の問題だ。私は自分のページにこれを使っているが、 Netscape Navigator を使っていない人々でも正しく表示できることを確かめるために、 Web にあげる前には常に他のブラウザで自分のページを表示させてみている。

多くの人は自分の Web ページに HTML 3.0 や Netscape タグを使うべきかどうか強い関心を持っている。違いを理解しているなら、あなたやあなたのページを見る人にとって最良の結果をもたらす方を選べばいいというのが私の意見だ。 Bare Bones Guide to HTML はこのアプローチを反映している。このガイドは公式な HTML 2.0 や HTML 3.0 の仕様書ではないが、これを使えば、どのタグが広く実装されていて、どの規格にそれが対応しているのかということがわかるはずだ。

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プロローグ

プロローグ項目はファイルの一番最初に置くべきだ。プロローグは公式仕様書の一部であり、その文書が HTML のどのバージョンに準拠しているかを示すものなのだが、一般的にブラウザは HTML 文書を認識するのにプロローグを必要としない。正確なプロローグのシンタックスは、使用している HTML DTD (文書形式定義)がどのバージョンであるかに依存している部分が大きい。しかし、ほとんどの Web ページ作成者はそんな面倒なことに注意を払う必要はないのである。 Web を一般公開で使用するためにページを作っているなら、プロローグを省略してもなんの問題も生じないのが一般的だ。

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<XMP>

HTML 2.0 仕様書の最新草案では <XMP> を使わないように推奨している。これは " わりとよく使われ、実装されもするのだが、それに反して技法を処理するのに伴って不適当な相互作用を多数" 引き起こすからだ。そのため替わりに <PRE> タグを使うべきだ。

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<BLOCKQUOTE>

提案されている <BLOCKQUOTE> タグの表示は左右にインデントをとるというもので、このタグが素材を引用するためではなくむしろ(HTML 2.0 では直接サポートしていない)インデントを作るために使われることが多い。すべてのブラウザがこういう具合に表示するわけではないことに注意。特に NCSA Mosaic for Windows は <BLOCKQUOTE> タグ内の素材をインデントしない。

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行揃えタグ

現行バージョンの Netscape Navigator と NCSA Mosaic はパラグラフと見出しタグで行揃え属性をサポートしている。そしてこれらのタグは HTML 3.0 がもっと広範に実装されるにつれてすべてのブラウザが認識するはずである。しかし、多くのページはいまだに Netscape の <CENTER> タグを使用している。 <CENTER> の主な利点は HTML 3.0 の行揃えタグを認識しないブラウザを混乱させないということだ。そういうブラウザでは <P ALIGN=CENTER> は通常の <P> タグとして読み込まれる。こうして中揃えにしようとしているテキストの前によけいなパラグラフの分け目(2つのキャリッジリターン)を挿入してしまうのだ。反対に、 <CENTER> は単に未知のタグとして無視され、文書内によけいな余白を入れたりはしない。問題は <CENTER> タグが HTML 3.0 規格と真っ向から衝突することである。 <CENTER> タグは中揃えされた素材の周囲のパラグラフの分け目を意味するが、 <CENTER> タグを認識しないブラウザでは単に無視され、作者の意図したようには文書が表示されない。 HTML 3.0 行揃えタグを認識するブラウザが多くなるにつれて、非標準の <CENTER> タグよりも <P ALIGN=CENTER></P> を使うことがだんだん望まれてくるだろう。

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<P> タグ

ほとんどの HTML タグは "コンテナ&guot; となっている。つまり開始タグと終了タグがあってテキストはその間に置かれるということだ(例えば <B>これは太字です</B>)。それとは逆に <P> タグは最初パラグラフ間に空白行を作る単独のタグとして定義された。このアプローチの問題は将来的に中揃えや右揃えなどのパラグラフを作れないことだ。これは行揃えするテキストの開始と終了をマークする方法がないからである。したがって HTML 3.0 案はその初期から <P> をコンテナタグとして定義してきた。これでパラグラフは <P>テキストがある</P>のように表現され、始めの <P> タグには行揃えやその他の属性を含めることが可能になった。コンテナ版をサポートするブラウザは <P> をスタンドアロンタグとしても適切に表示する。現行(1995 年 6 月 15 日現在)の HTML 2.0 仕様書案でも、 <P> をコンテナとして定義している。たとえ HTML 2.0 ドキュメントがそう書かれていないとしてもである。 Bare Bonse Guide to HTML では単独の <P> タグを HTML 2.0 の、コンテナ版を HTML 3.0 の要素としてリストに加えたが、これはこの方がページを表示するほとんどのブラウザの現状をより正確に反映していると考えているからである。

現在主要なブラウザはほとんど <P> をコンテナタグとしてサポートしているが、そう遠くない将来(あえて推測すれば 1995 年の終りまでには)すべてのブラウザがそうなるようだ。そうなっても単独の <P> は以前として正しく表示されるはずだが、人々はその増えた機能を使うために次第にコンテナ版に移行していくだろう。

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表組みタグ

HTML 3.0 の表組みタグは完全には安定していない。重要な改訂版が 6 月始めリリースの仕様書案の中で提案されたが、最終規格ではどうなるのか依然としてはっきりしていない。 Netscape Navigator や他のブラウザは HTML 3.0 試案の初期の頃のバージョンをベースに表組みを実装し、 Netscape は往々にして HTML 3.0 案のタグ(特に表組み幅を扱うタグ)と衝突する独自の拡張を追加している。

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Copyright © 1995 Kevin Werbach.
Last updated August 24, 1995.

Translated into Japanese on August 29, 1995
by Hisashi Nishimura