富田様
 ご返事拝見しました。昨夜はつい狼狽のあまりあのような、「そらもよう」の記 事に抗議する文章をお送りしましたが、読み返せば今も意見は変わらないものの、 対応の仕方として、なにもこれまでのメールのやりとりを公開するなどと、大げさ に騒ぎ立てることもないかな、と思われてきました(それでもとりあえず僕のHPにア ップすることを前提に「青空文庫と八月舎のニアミス資料集」というのを作っては みました。興味ある方が沢山おられるようなら、アップしてみようとは考えていま す)。
 繰り返すようですが、昨日の記事に僕が引っかかったのは、まずはご返事の中に も触れられていましたように「私の作品を引き合いにして立論されるのは困る(敵役 にされるのはかなわない)」というのも一つだし、もう一つ、何といってもこれが主 なのですが、最初にいただいたメールの中では
 「入谷さんからのご提案に関して、検討するべき点があるとすれば、PDFというフ ァイルフォーマットだと思いますが、私自身はなんら問題ないと思います」
 と書かれていたのが、一対一のやりとりを離れるやいなや一転して
 「PDF(Acrobat)の扱いに関しては、呼び掛け人の中で多少意見のばらつきがあ る。私(富田倫生)は基本フォーマットに含めることに反対しているが、」
 と百八十度、意見が変わってしまったということです。私宛のメールの中でこう 書かれていたなら私ははじめからPDFを放棄してtxtデータでの掲載をお願いしてい たでしょう。私にとって、重要なのは中身であって形式ではないからです。ここの 部分が、「私は立論のための道具にされてしまったんだな」と感じた理由です。
 でもまあ、それも仕方ありますまい。私はやっぱりどんな形ででも実を採りたい です。
 そこで一言。
 「エキスパンドブックに馴染んだ皆さん、ここで取り上げられたPDFとはどんなも のか、実際にお確かめになってみてはいかがでしょうか。readerをお持ちでない方 も、入谷芳彰の図書カードからすぐに簡単にダウンロードすることができます。ダ ウンロードしたら、作品を開いてみてください。そうして試しに読んでみてくださ い。読み終わって、残るのが二つのフォーマットの可読性についてのご意見ではな く、今読んだばかりの小説に関する印象であったならば、作者にとってはこの小事 件も無駄にはならなかったことになります。そしてそうなることを、作者は心より 祈っています」

入谷芳彰


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