本誌 P46 〜 P48

新技術 CyberDog を使いこなそう

 Cyberdogのベースとなるのは、OpenDocというAppleの新技術だ。Cyberdogは、OpenDocという環境における「インターネットのための」部品だ。Cyberdog J-1.2bを利用するためには、あらかじめOpenDoc J-1.1をインストールしておく必要がある。
 なお、インターネットに接続に必要な書類として、システムにOpenTransport 1.1+TCP/IP、またはMacTCP2.04以上が適切に組み込まれていることが必要。まったく初めてインターネットに接続するユーザーのために、この部分から説明する。

 漢字Talk7.5.5環境では、インターネットに接続するのにTCP/IPを使う。機種によっては、例外的にMacTCPを使う場合もあるが、それについては後述する。
 コントロールパネルからTCP/IPを起動すると設定画面が現われる。ここでインターネットの「経由先」を選択する。

 漢字Talk7.5.3や7.5.5へアップグレードしたPerforma 5200、5300、6200、6300、では、インターネットに接続するのにTCP/IPではなく、MacTCPを使う。
 まず、コントロールパネルからMacTCPを起動し、MacTCPの設定をしておく。そして、TCP/IPの場合と同じように、PPPソフトウェアで接続先の情報やモデムの動作環境などを設定しておく。

 OpenDocをインストールする作業はきわめて単純。CD-ROMに収録されているインストーラを実行すればよい。「インストーラ」というアイコンをダブルクリックするとOpenDocのインストーラが起動する。OpenDocをインストールしたら、今度はCyberdogの番だ。こちらもインストーラが収録されているので、それを実行すればよい。


 CyberDogツアーは、WWWや電子メール、ネットニュースなど、Cyberdogがサポートするさまざまなインターネットサービスを利用するための拠点となるものだ。絵画模様の各アイコンボタンがそれらの機能の入り口になっている。ただし、これらを利用する前に、Cyberdogの初期設定をしておかなければならない。ツアーウィンドウが開いているときに、メニューバーの「編集」メニューから「Cyberdog初期設定」を選択する。すると、「Cyberdog初期設定」ウィンドウが開く。このウィンドウの左側のフィールドから項目を選択して初期設定を行なう。例えば、WWWについての設定は、左側のフィールドで「Web」をクリックし(その右側の項目が切り替わる)、設定するわけだ。

 それぞれの設定が終わったら、「OK 」ボタンをクリックしてツアーウィンドウに戻る。あとは、アプリケーションメモリを増やしておこう。正確にいうと、CyberdogはOpenDoc書類なので、書類そのものに割り当てられるメモリを増やすことになる。「ファイル」メニューから「文書情報」を選択し、表示されるダイアログで「サイズ」ボタンをクリックする。ここで表示されるダイアログでメモリの増減を設定するのだが、「OpenDoc標準サイズ」のメモリ割り当てがデフォルトで極端に少ないのは何とも心許ない。この値を2000〜4000の間に設定しておけば大丈夫だろう。

 Cyberdogでwwwを利用するには、ツアーウィンドウ内の「Explore」をクリックする。CyberdogのWebブラウザが起ちあがる。他のURLのWebページに移動するには、ウィンドウ上部の「ロケーション(URL)」フィールドにアドレスを入力する。また、Cyberdogの初期設定でコントロールを表示するように指定した場合は、ウィンドウ左上のポップアップメニューから移動前のWebページに戻ることもできるし、右上の矢印ボタンで前後のWebページに移動することもできる。

 Exploreで気に入ったWebページが見つかったら、URLアドレスを登録してみよう。Cyberdogは「ノートブック(Notebook)」という名のOpenDoc書類に登録する。Cyberdogの初期設定の「一般」項目で、「標準ノートブック」(Cyberdogに標準に用意されている)が設定されていれば、「Cyberdog」メニューの「ウィンドウ」から「標準ノートブックを表示」を選択することで、アドレスの一覧が表示される。ノートブックはURLアドレスだけでなく、電子メールアドレスやFTP、Telnetのサーバーアドレスまですべて一元的に管理できる。  URLアドレスをノートブックに登録するには、ウィンドウ左上の書類アイコンをノートブック上にドラッグ&ドロップするか「Cyberdog」メニューから「ウィンドウをノートブックに追加」を選択する。これで、次回からは標準ノートブックを開いて、登録したWebページのタイトルをダブルクリックするだけで直接移動できるようになる。ノートブックには、Netscape用のブックマークをそのまま登録できる。Netscapeのブックマークファイルは、「システムフォルダ→初期設定→Netscape」という深い階層のフォルダにある。覚えておこう。

 Cyberdogの電子メール機能は「Mail」、ニュースリーダーは「News」だ。これらを使うためには、当然のことながらメールサーバーやニュースサーバーの設定が必要となってくる。次にその解説をしよう。

 「メール/ニュース」メニューの「メール&ニュース設定」を選択し、表示されるダイアログで、メールサーバーやニュースサーバーなどを設定する。設定項目は、他のアプリケーションのものとほぼ同様なので、迷うことはないだろう。自分の使用しているプロバイダーのサーバーに合った設定を行なおう。

 設定が終わったら、さっそく電子メールのやり取りを行なってみよう。ツアーウィンドウで「Mail」をクリックすると、Cyberdogでメールをやり取りするための「メールトレイ」ウィンドウが表示される。メッセージを作成してメールを送信するには、「新規」ボタンをクリックする。メッセージ作成画面が現われたら、メッセージの「主題」、「宛先」、そしてメッセージの内容を作成し、添付書類があれば「同封」ボタンでファイルを指定する。そして「すぐに送信」ボタンをクリックすれば、メッセージが送られる。メッセージのフォーマットとしては、「RTF(MIME)」を指定しておけば、絵入りのカラフルなメッセージを作成、送信することができる。通常は、プルダウンメニューから「標準テキスト」を選択しておいて、プレーンなテキストのみのメッセージを送信するほうが安全。
 さて、メールを受け取るには、「メールトレイ」ウィンドウで「チェック」ボタンをクリックすればよい。すると、メールサーバーへのアクセスが始まり、メールが新たに来ていれば、それを「イントレイ」に格納する。「イントレイ」に入ったメールは、ダブルクリックで中味を見ることができる。

 ツアーウィンドウで「News」をクリックすると、「News Groups」ウィンドウが表示される。ここには、先に登録しておいたニュースサーバーが表示される。デフォルトで登録されている「cyberdog.apple.com」については、そのニュースグループも表示される。新規に追加したニュースサーバーについては、その名前をダブルクリックすると、ニュースグループを登録するかどうかを聞いてくる。「実行」をクリックすると、ニュースグループの登録が始まる。

Cyberdogには、インターネットに加えてAppleTalkネットワーク経由でAppleShareサーバーや共有フォルダにアクセスする機能が付け加えられている。いわばセレクタの機能をCyberdogに持たせたようなものだが、これにより、リモートマシンにインターネット感覚でアクセスできるようになっている。


1997年初頭、MacOS 8に先だち、英語版System 7.6がリリースされる。このバージョンに、OpenDocやOpenTransportの最新版とともにCyberdogが標準添付される。また、Apple純正のLiveObject(旧称OpenDocパート)も多数出揃い、いままではOpenDocコンポーネントの代表として、種実験台のように捉えられてきたCyberdogが、「インターネット・プロダクツ」として完全に一本立ちする。やっとCyberdogが、NetscapeやInternet Explorer、Eudoraといったインターネットツールと同じ土俵に立つ。漢字Talk 7.6と正式版Cyberdogの登場が今から待ち遠しい。