壱・ネルフの丘の巻
ぶん:愛野いずみ
え:(惡)
カゴの中には生まれたばっかりの赤ちゃんと、その子の母親が書いたと思われるメモ書きがありました。
メモには、
「この子を、シンジをお願いします…」
とだけありました。
シンジの掌にはキャンディが握りしめられていました。
それから6年後、シンジはアスカと一緒に丘に登りました。
アスカとは、シンジと同じ日に、1時間違いで拾われた女の子。
2人は双子の兄妹の様に仲良しで、今日は2人だけの誕生日を祝いにやって来ました。
「どうして私にはママが居ないのかしら…?ママに私を観て欲しい…」
アスカが俯くと、シンジも悲しい気分になりました。
「ボクだって…。ボクは父さんにとって要らない子供なんだ…」
そう考えると、2人はますます落ち込んでしまいます。
大体、ボク達はいつ生まれたんだろう?
「アンタ、バカァ!?
私達はぁ、6年前の今日、1時間違いでここで拾われたのよ、それでい〜じゃない!このネルフの家が私達の家だし、ゲンドウ先生や、冬月先生がお父さんでお母さんなの!
いい?判った!?」
2人の誕生日は、大体こういう感じで終わってしまうのでした。
でも、シンジは独りでこのネルフの丘に居るのが好きでした。
毎年、誕生日を2人で祝っていたシンジとアスカですが、今年は悲しい事がありました…。
アスカが、どこかのお金持ちの家に引き取られる事になったのです。
惣流家という家で、お医者様をやっているそうです。
シンジはアスカが悲しんではイケナイと思い、一生懸命慰めました。
「大丈夫だよ、アスカ。ボク達、離れても心は一つだよ。手紙毎日書くからね。
ボク、毎日アスカの事考えるから!」
するとアスカは、
「アンタ、バカァ?私はねぇ、お金持ちに貰われて行くのよ!
誰がこんなとこ思い出すモンですかっ!
私を引き取りたいってぇ?と〜ぜぇ〜ん!」
そういって、アスカは後ろを振り返りもせずにネルフの家を出て行きました。
「うっ…ひどい、ひどいや、アスカ…!」
シンジは泣きながらネルフの家を飛び出しました。
その後を、冬月先生が「シンジ君!」と追いかけようとしましたが、ゲンドウ先生は椅子に座ったまま、両手を口許で組んで、「放っておけ、冬月…」と言って止めました。
シンジの目指す場所はただ一つ、ネルフの丘です。
大好きなアスカと大好きなネルフの丘でよく遊びました。
こんな事になるのなら、あの時ネルフの丘でアスカの首を締めてしまえば良かった…と後悔するシンジは、ただ大声を上げ泣くばかりでした。
「アスカ…アスカ、ボクはどうしたらいいんだ?
アスカ、助けてよ、アスカ。ボクを観てよ、アスカ…。
ボクを観てよ!!!!!」
「何を泣いているの?おチビちゃん」
シンジの泣き声を遮ったのは、優しい少年の声でした。
その声にシンジが顔を上げると、目の前には黒いピッタリしたスーツに身を包んだ、美しい少年が立っていました。
夕日にきらめく絹糸のようなプラチナブロンドが、ネルフの丘の優しい風にたなびいています。
シンジが何よりも驚いたのは、彼の赤い瞳でした。赤い瞳がこんなにも優し気に見えるなんて…。
その様に見とれて、シンジはいつの間にか泣き止んでいました。
「この服、なあに?」
シンジは少年の服が気になり、聞いてみました。
「これかい?これはプラグスーツって言うんだよ。ボク達一族の正装さ」
「そうなの?初めて観たよ。着たり脱いだりするの、大変そうだね」
シンジは目を丸くして、少年のプラグスーツを前から後ろからと眺めました。
「これかい?そんなに大変じゃあないよ。こうやって脱げばいいんだよ…」
少年は手首にあるスイッチの様なモノを指で抑える動作から、その衣装を脱ぐ事を始めました。
少年はいとも簡単に衣装を脱ぎ終わりました。
「や、やだ…お兄ちゃん、こんな所で裸になっちゃ…」
シンジは咄嗟に目を逸らしました。
でも、その少年はシンジに近づき、
「大丈夫だよ、おチビちゃん。さあ、ボクを観て…」
と言って、シンジの手を取りました。
シンジは初めて逢う人に手を取られ、怖さと不気味さが入り交じって顔が歪みました。
「一時的接触を極端に嫌うね、キミは…」
少年は赤い瞳を少し細めてシンジを観ました。
その表情がシンジにはとても哀しげに見えて、途端に申し訳なく思えてしまいました。
シンジは取られた手を、少年の手に委ねました。
「いい子だね、おチビちゃん…」
そう言った少年を見上げると、夕日を逆光に纏い、少年の銀色の髪はキラキラと細かく輝き、白い膚は夕日に反射して紅の薄物を身につけているように観えました。
シンジは思わず見とれて、言葉を失ってしまいました。
少年はそのままシンジの目と同じ高さまで屈み、シンジの頬に手をかけました。
その手は、見た目の細さとはうらはらに、シンジの頬に暖かい柔らかさを与えました。
その細い指の1本1本は、シンジの頬を優しく撫でていきます。
シンジはその心地よさに、知らず知らずに瞼を閉じていました。
瞼を閉じた世界は真っ暗だけど、だからこそ敏感に気づく感覚があります。
その感覚は今、シンジの小さな唇に集まっていました。
少年はシンジの頬に手をかけたまま、自分の唇をシンジの唇に重ねました。
それは羽毛を触れていくような軽さで、ついシンジも抵抗するのを忘れてしまう程でした。
シンジは後ろから少年の露な胸に抱きかかえられ、立てた片膝に乗せられました。
少年は後ろからシンジのつむじに軽く口付けし、そのまま首筋へと唇を這わせました。
少年の手はシンジを支えていたはずが、何時の間にかシンジのシャツの中に忍び込んでいました。
もう片方の手はシンジの半ズボンの中に…。
ズボンの中の少年の手は、シンジの誰も触った事のない部分に辿り着きました。
「あンっ!…お兄ちゃんっ!」
シンジは力を入れて、少年の手を抑えようとしましたが、6歳のシンジでは少年にかないませんでした。
シンジは小さいので、少年は指だけで弄んでいます。
今まで、トイレに行く時しか使わないと思っていた所が、少年の指に併せて固くなっていった様な気がします。
シンジは思わず、
「い、痛いよ…」
と声を漏らし、初めて経験する自分の固さに戸惑い、痛みすら感じました。
「大丈夫…、すぐに楽にして上げるからね…」
少年は一つも表情を変えずに相変わらず指を動かしています。
「はぁ…はぁ…」
少年の語り掛けに、シンジの高く細い吐息が混ざります。
シンジは段々尿意に似たものを下半身に感じました。
「お兄ちゃん…、ボク、トイレに行きたいよ…」
シンジは頬を染めて、少年に振り返って言いました。
「それはね、トイレじゃあないんだよ、おチビちゃん」
「じゃ、じゃあ何なの?…あっ…」
「おチビちゃんにはまだ早いよ」
少年はそう言って、クスクスと笑いました。
気が付けば、シンジのお尻の辺りに何か固い物がさっきから触れています。
少年は、前で動かしていた指を、自分の形のいい唇に含み、十分に唾液で湿らせました。
シンジは霞んだ視界でその様子を眺めました。
白く長い指は、夕日に光る細い糸を伴って、少年の唇から離れました。
「これは、リリンならば誰でもやっている事なんだよ…」
少年はシンジの耳元に優しく吐息交じりに語りかけます。
そして、指はシンジの半ズボンの中に戻り、ただ指が辿り着いた場所は、さっきとは違う所でした。
もっとシンジの奥の方…シンジ自身も指を触れないような場所でした。
「…ハッ…お、お兄ちゃん…」
少年を振り返ったシンジの目には、うっすらと涙が浮かんでいます。
少年は優しく唇と舌を使って、シンジの涙を綺麗に吸い取ってくれました。
「う…お兄ちゃん…、何するの…?ボク、恐い…」
「ボクが恐いかい?ボクが嫌いかい?おチビちゃん」
それでも泣き止まないシンジに、少年は更に優しいキスを降る様に与えます。
シンジの濃い睫毛が、少年の唇に当たって心地よいくすぐったさを与えてくれるお礼として…。
そうしている間にも、少年の指はシンジの緩やかに隆起した二つの山を割っていきます。
そして、シンジの中へと繋がる小さな窪みへ。
そこは、固く閉ざされています。
「お…兄ちゃん…こんな…事…ゲンドウ先生に見つかったら怒られちゃうよ…」
シンジは泣きじゃくりながら少年に訴えます。
でも少年は、相変わらずシンジの顔や首筋に口づけるだけで、指の動きも止めようとはしません。少年の指 にやや力が入り、シンジへの入り口に突きつけました。
「やっ…んん…!」
シンジの細い声がネフルの丘に響きました。
それでも、少年は第一間接くらいまでシンジの中に進入してきました。
「あっ…」
シンジの顔が苦痛に歪みます。
「子供でもこういう苦痛の表情は色気があるものなんだね、壮絶なくらいに…。
それとも、おチビちゃん、キミが特別なのかな?クスクス…」
少年はゆっくりゆっくり、第一間接までを前後させます。
その度にシンジの顔は引き裂かれるような痛みを堪えた表情になります。
そんな顔を見ると、ますます止められなくなってしまうのでした。
「あ…んん………ふ…」
シンジの声が苦痛から快楽のそれへと変化するにつれ、シンジの入り口も徐徐に少年の指を受け入れるようになってきました。
「あ…あン…」
「やっぱり、キミには素質があるようだね。
ボクが期待した通りだ…。素晴らしいよ、おチビちゃん」
「あっ…お、お兄ちゃん…!」
冬月先生に短く切りそろえてもらったシンジの小さい爪が、少年の膝に食い込む様が、切ない程痛々しく見えます。
けれども、シンジが快感を得ようとした瞬間、少年の指がスッと離れました。
「…お兄ちゃん……??」
シンジが潤んだ瞳で少年を見上げます。
その瞳には、『どうして止めるの?』という幼い抗議と幼い媚びが、早含まれているのを少年は見過ごしませんでした。
「うん、ゴメンね、おチビちゃん。ボクはもう行かなきゃ…。
でもね、またボク達はすぐに会えるよ。ボクはキミに会うために生まれて来たのだからね…」
素早くスーツを着込むと、少年はシンジの頭を撫でながら優しく語りました。
その様が心地よくて、シンジは思わず微笑みました。
「笑った顔の方が可愛いよ、おチビちゃん…」
シンジが振り返った時、その言葉だけを残して少年の姿は消えていました。
「あ、お兄ちゃん…?お名前…、聞くの忘れちゃったな…」
でも、シンジは思ったのでした。あのお兄ちゃんは王子様だ。ボクだけの王子様!と…。
続くわよ〜ん(笑)
★すっかり謎の少年の手練手管にとろかされてしまった6才のシンジ! 彼はこれからマトモな人生を歩む事が出来るのか?? (私は無理だと思う…(汗)) 次号、相田家に引き取られる事になったシンジ------ そこでシンジは丘の上の王子様に似ている少女と出会う事になる。 そして、さらに…!! |