1999ねん7がつ16にちこうしん

「げっかん・みすてりーでらっくす」(かどかわしょてん)の、CLAMPのひとたんとうなの。「おおしまたろう」さんだよ。『すき。だからすき』のこととか、こわいおはなしとか、ためになるおはなしとか、いろいろよめるの。いぬがすきなんだって。


はじめてご覧いただく皆さん、はじめまして。昨年から『ミステリーDX』の編集をしている角川書店の大島太郎と申します。今後お見知り置きを。それから、すでに私をご存じの方がいらしたら、どうぞこれからもよろしく!
あらためて自己紹介をいたしますと、出生地は東京、性別は男です(最近は女性でペンネームが男性みたいな方も多いので、念のため。といっても、もちろん私の場合本名ですが…)。それと、「なんでコラムのタイトルがこんななの? 」ということについては、「なんとなくミステリー風に」と考えていたら、古い歌の一節が浮かんできて頭を離れないので、場違いとは知りつつにも付けてしまったというのが真相です(決して、「今夜も残業かぁ…」という愚痴から付けたわけではありません!!)。
さて、自分の話が出た所で、あまりご興味がないかも知れませんが、今回は私の生まれ育った家の稼業について少々お話したいと思います。父はサラリーマンではなく、犬を訓練する仕事をしていました(今もしているはずです)。こう話すと、よくあるリアクションとして「警察犬や盲導犬を育てていらっしゃるんですね」というのが一般的なのですが、そうではありません。普通のご家庭で飼っている犬に「芸」ではなく「しつけ」を施す仕事といえば、少しイメージが湧くでしょうか? わがまま放題大きくなって家人の言う事をきかない犬を再教育するだとか、コンテストに出て見劣りしない品格やら身のこなしを小さい頃から教えるとかいった、割と地味で根気のいる仕事だったようです。何匹も収容していろいろ教え込む訓練所が学校だとすれば、私の父はさしずめ家庭教師というところでしょう。ここまでお話しても、実際はどういうことをしているのか、やはりよくわからん、というのが正直なご感想かと思います。そんなわけですから、子供の頃は先生や友達に説明するのが一苦労でした。そんな面倒もありましたが、ペットショップでもないのに、いつも犬に囲まれて暮らせたというのは、今から考えると最高に幸福な日々でした(最もたくさん飼っていた時期には子犬も含めると30匹以上いました。まさに犬ハーレム状態)。
それももう昔の話で、現在は、道で人様が犬と散歩している姿を見ると、うらやましくてため息が出る始末です。一人暮らしの勤め人にはどうしても犬を飼うのは難しいのです。ロボットではない本物の犬と暮らせる日を夢見て、まずは今月も仕事を頑張ってまいります。と、いうわけで急に編集者の顔に戻りますが、『すき。だからすき』の単行本がただいま大好評発売中です! 雑誌の連載同様、ぜひ手にとってお楽しみください!
では、また来月。

 

テキスト/大島太郎


ESSAY